八田先生

【PMS対策】生理前は自分を大切にする時間。心と体が軽くなる習慣づくり/医師監修

月経前症候群(PMS)によるイライラ、落ち込み、体調不良……。本当はいつもごきげんでいたいのに、振り回されて自己嫌悪になってしまうこと、ありますよね。つらいときの改善に向けた過ごし方や心の持ちようについて、産婦人科医の八田真理子先生にお話をお聞きしました。

PMSの対処法を教えてくれたのは…

八田先生八田真理子先生

ジュノ・ヴェスタクリニック八田 院長。日本産科婦人科学会婦人科専門医。生理異常、子宮疾患、不妊や更年期の相談などを幅広く診療し、思春期から老年期まで多くの女性に寄り添う。

 

 

 

女性ならではの「らしさ」を愛おしみ、生理前を「蓄える期間」に

 

Q.そもそも、PMSとは何でしょうか?

八田真理子先生(以下、八田先生)

お腹や胸の張り、頭痛、腰痛、吐き気、眠気、イライラ、落ち込みなど、生理の3~10日前から起こるさまざまな不調を月経前症候群(PMS)といいます。症状には個人差があり、生理が始まると症状がなくなるのも特徴です。

月経前の体は「もしかすると小さな命が宿っているかも」と考えているような状態で、妊娠に向けて体がエネルギーを蓄え、守りの態勢に入っています。だからこそ外的な刺激に敏感になり、症状に表れてしまうのです。個人的には、母性的な本能もあるように思いますね。

 

Q.つらい症状を軽くする方法はありますか?

八田先生

健康の基本である、食事・運動・睡眠の3つが整っていない人はPMSの症状が強く表れる傾向にあるので、クリニックでも治療に加えて生活習慣の改善をおすすめすることがあります。ポイントを押さえて、取り組んでみましょう。

 

[食事]改善につながる栄養を意識して摂ろう

特に注意したいのは、ダイエットで糖質を制限している人。糖は脳を動かすのに大切な栄養素で、不足するとイライラが増すことがありますから、まったく食べないのは体にもよくありません。痩せたいからと白米を抜くことはせずに、主食・副食・主菜・副菜の「4皿が並ぶ食卓」を心がけると、おのずと栄養バランスが整っていきますよ。

おかずには、PMSの症状がある方が不足しがちなビタミンB6や亜鉛が摂れるものがおすすめ。さらにお味噌汁や納豆など、発酵食品を加えると理想的です。

最近、PMSの症状にγ(ガンマ)-トコフェロール、γ-トコトリエノール、エクオール、カルシウムも有用であるという研究結果(*1)も発表されたので、意識して摂るようにすると症状の改善が見込めるかもしれません。

食事だけでは必要な摂取量を確保するのが難しいときは、サプリメントも活用しながら不足分を補いましょう。


■PMSに悩む女性が取り入れたい栄養素

ビタミンB6:赤身の魚やささみなど脂の少ない肉類に多く含まれる。感情をコントロールする神経伝達物質をつくるのに必要なビタミンで、イライラや落ち込みなどの精神的な症状を緩和できると考えられる

亜鉛:体内で作れないミネラルで、PMSの症状がひどい人は慢性的に欠乏している傾向。亜鉛を多く含む食材は牡蠣や豚レバー、牛肉など

γ(ガンマ)-トコフェロール、γ-トコトリエノール:大豆油や米油に多く含有。ナトリウムを緩やかに体外に排出し、むくみを軽減する働きを持つと考えられる

エクオール:大豆を食べると体内で生成される成分。月経周期に伴う女性ホルモンの急激な変動を整えるように働くことで、さまざまな不調を和らげることが期待される

カルシウム:イライラの軽減が見込める


 

[運動]悩むより動いてすっきり!

運動習慣がない人は血液の巡りが滞りやすいので、冷えやむくみなどを引き起こし、気分も晴れません。PMSがあると運動する気にならないかもしれませんが、例えば月経前に腰が痛い、重い感じがするという方は、運動することで血流が促されて、すっきりすることも多いですよ。運動で子宮の血行がよくなると月経痛の改善も見込めますから、生理が来てからの体も楽になる場合があります。

運動方法は軽いウォーキングやストレッチなど、自分が気持ちいいと思えるものなら何でもOK。汗をかくと、気持ちのリフレッシュにもつながります。どうしてもやる気が起きないときは、入浴やマッサージも一つの方法です。

 

[睡眠] 朝、心地よく起きられる心がけを

理想は1日平均7時間以上の睡眠時間を確保すること。遅くとも深夜0時~2時の間には、布団に入っておけると良いですね。

しかし日本の女性の睡眠時間は世界一短いといわれており、子育てや介護でまとまった睡眠を取れない方も多いでしょう。そんな時は睡眠の長さよりも質を重視して。例えば、お昼に10~15分程度でも体を休める時間があれば、夜の睡眠の1時間に相当するといわれています。また、寝る前にはスマートフォンの使用は控えるなど、起きたときに「気持ちよく眠れた」と思える、心地よい時間を持てるように心がけてみましょう。

 

Q.不調がつらくて、周りの人に当たってしまうことも……。後から自己嫌悪になります。

八田先生

PMSがつらくて、悲しくなってしまうときもありますよね。ですが、PMSは見方を変えれば妊娠ができる女性ならではの「らしさ」でもあり、ネガティブに捉える必要はありません。生理前は「エネルギー蓄える時期」として、映画や読書に没頭したり、ただのんびりと過ごしたり、自分の心と体に意識を向けて、大切にしてあげる時間に充てていただきたいです。自分の体を責めないで、愛おしく思えたら、心が軽く、体も楽になるかもしれません。

 

取材・文章=リンネル編集部

*1 提供:大塚製薬 日本女性医学学会雑誌 29(4) 578-587, 2022 「γ-トコフェロール,γ-トコトリエノール,エクオールおよびカルシウム含有食品の黄体期における不定愁訴軽減効果:無作為化プラセボ対照二重盲検クロスオーバー比較試験」 著者:樋口 智子、上野 友美、内山 成人、吉原 達也、松木 俊二、髙松 潔 Title: The effects of γ-tocopherol, γ-tocotrienol, equol and calcium supplementation on premenstrual symptoms: a randomized, double-blind, crossover trial

Authors: Tomoko Higuchi, Tomomi Ueno, Shigeto Uchiyama, Tatsuya Yoshihara, Shunji Matsuki, Kiyoshi Takamatsu

Journal: Menopause&Women’s Health Jpn 29(4) 578-587, 2022

 

 

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