更年期の女性によくある悩みとして、デリケートゾーンの乾燥やかゆみ、尿もれ、性交痛などがあります。今はこうした悩みを解消に導くためのさまざまな選択肢が広がってきています。「更年期だから仕方がない」と諦めず、自分に合う方法を取り入れてみませんか?
更年期によくあるデリケートゾーンの悩み
更年期の女性に起こりやすいデリケートゾーンの症状を総称して「GSM(閉経関連泌尿生殖器症候群)」と呼びます。具体的にどんな症状があるのかをまとめました。
生殖器の悩み
外陰部や膣の乾燥、かゆみ、痛み、灼熱感、性交痛、おりもののにおいが気になる、などが挙げられます。これらの症状は、加齢に伴いデリケートゾーンが乾燥して刺激に弱くなることや、更年期以降に女性ホルモンが減少して膣が委縮することなどが原因といわれています。
排尿の悩み
尿もれ、頻尿などが挙げられます。これらの多くは、骨盤の底にある骨盤底筋群という筋肉がゆるむことで起こります。骨盤底筋群がゆるむ原因として、妊娠・出産、加齢、肥満、女性ホルモンの減少などが考えられます。
予防とセルフケアについて
デリケートゾーンの不快な症状は精神的なストレスになりやすいもの。そこで、解消のために注目されているのが「フェムテック」です。フェムテックとは、月経や出産、不妊、更年期など、女性特有の健康課題をサポートするツールのこと。
ここでは、GSMの予防法やセルフケアに役立つフェムテックアイテムなどをご紹介します。
デリケートゾーンを清潔に保とう
デリケートゾーンは常に下着をつけていることでムレやすく、そこへ尿や汗、おりもの、経血などが混じり合うことで刺激を受けやすくなります。かゆみなどの肌トラブルを防ぐには、デリケートゾーン専用のソープで肌を優しく洗い、清潔に保つのがおすすめです。乾燥が気になるときはデリケートゾーン専用の保湿剤もあります。
また、肌を締めつけず、通気性の良い下着や衣類を着用することも大切です。生理中はナプキンをこまめに取り替えるほか、月経カップを使うという方法も。月経カップは膣に挿入して経血を溜めるもので、上手に使えばデリケートゾーンのムレや不快感の軽減が期待できます。
トレーニングを取り入れよう
尿もれや頻尿の予防、改善には、トレーニングで骨盤底筋群を鍛えるのが有効です。自分でできる簡単な骨盤底筋トレーニングをご紹介します。
1.仰向けに寝て足を肩幅に開き、両膝を軽く曲げて立てる。
2.そのまま5秒程度、肛門、尿道、膣をきゅっと引き上げるように締める。その後はゆるめて体をリラックスさせる。
3.締める、ゆるめる、を10回繰り返す。
治療方法について
GSMのつらい症状は我慢せず、病院を受診しましょう。一般的な治療方法をご紹介します。
ホルモン補充療法
ホルモン補充療法は、加齢に伴い減少した女性ホルモンを補充することで症状を改善させるものです。飲み薬、貼り薬、塗り薬などがあります。
非ホルモン補充療法
潤滑剤などを使用して性交時の痛みをやわらげるほか、レーザー治療などがあります。レーザー治療は、膣に炭酸ガスレーザーを照射し、コラーゲン生成を促すことで症状を緩和させるものです。
尿もれ・頻尿には薬物療法や手術も
尿もれや頻尿の種類によっては、尿意をやわらげる薬などを使った薬物療法や、手術が有効な場合もあります。
(まとめ)
以前はタブー視されていたデリケートゾーンの悩みですが、今はオープンに話すことが増え、悩みを解消に導くフェムテックの商品やサービス、治療の選択肢が増えています。デリケートゾーンの悩みは決して珍しいものではありません。一人で悩まず、自分に合う商品やサービスを活用したり、医師に相談したりして症状をコントロールしていきましょう。
構成・文/大人のおしゃれ手帖編集部 画像協力/PIXTA
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