繊細な気質を兼ね備えているにもかかわらず、外交的な方もいるでしょう。刺激を追い求めることからHSP(Highly Sensitive Person/人一倍繊細な人)ではないと思うかもしれませんが、結論を急いではいけません。
世の中には活動的で刺激を追い求めるタイプの繊細な人も存在します。そんな自覚のある方は、もしかしたら「HSS(刺激追求)型HSP」かもしれません。
≪目次≫●「繊細な人」の気質があるのに活動的な人は「HSS(刺激追求)型HSP」かもしれません
●刺激に弱いのに刺激を求める矛盾を抱えた刺激追求型HSP
○HSS型HSP特有の悩み
●エネルギッシュで活動的な裏ではすごく疲弊している
●教えてくれたのは……
「繊細な人」の気質があるのに活動的な人は「HSS(刺激追求)型HSP」かもしれません
「繊細な人」の気質があり、以下の項目に半分以上チェックがついた人はHSS型HSPの可能性があります。
□珍しいものを目にしたら、 確かめてみないと気が済まない
□毎日同じ人たちと一緒にいると飽きてしまう
□知らない人に話しかけるのはワクワクする
□第三者に「あなたのやることは予測がつかない」と言われたことがある
□海外旅行や行ったことのない街に旅するのが好き
□ジェットコースターなどスリルのある乗り物が好き
□知らない場所を探検するのが好き
□刺激的なことをいつも求めている
□新しいことにチャレンジするのが好き
□何もせずにじっとしているのは嫌い
刺激に弱いのに刺激を求める矛盾を抱えた刺激追求型HSP
繊細で傷つきやすく、感受性豊かで内向的というのが、一般的なHSPの特性です。アーロン博士の研究では、このHSPの特性を持ちながら、外に対して自ら刺激を求める特性を併せ持つタイプの繊細な人がいることが明らかになっています。
High Sensation Seekingの頭文字を取って、「HSS型HSP」(刺激追求型HSP)と呼ばれ、HSPのうち30%しかいない、つまり人口の約6%しかいないマイノリティです。
刺激追求型HSPは、刺激に弱いのに刺激を求めるという矛盾を抱えています。新しいものに目がなく、好奇心が旺盛です。冒険心にも富んでいて、スリルを追求する傾向があります。その半面、飽きっぽく、趣味をコロコロ変えるようなところもあります。この気質は、まるで自分で問題を引き寄せているかのよう。根本的にはHSPの気質があるため、刺激を受け続ければ疲れてダウンするのはいうまでもありません。
HSS型HSP特有の悩み
同じHSPでも刺激追求型HSPの悩みは、通常のHSPとは多少異なります。しかし、刺激によってダウンしてしまうのは同じです。
本当の自分と周りから見える自分のギャップに悩む
本来の自分は繊細で傷つきやすいのに、活動的な気質が前面に出てしまうため、「いつもポジティブで元気」「心臓に毛が生えていそう」など、真逆の印象を持たれてしまいます。誰にも理解されないという悩みをいつも心に抱いています。
リーダーや幹事を任せられ、そつなくこなすが、あとでぐったり疲れる
エネルギッシュで社交的。話をしても楽しい人が多い上に、HSPの気が利く特性も持ち合わせているため、リーダーや幹事に適任です。しかし、任されるとがんばりすぎてしまい、任務が終わるとぐったりしてしまいます。
人に関わりすぎて背負わなくてもいい責任を負ってしまう
リーダーなどを任されやすいだけでなく、正義感も強いので、人間関係の揉めごとの渦中に身を投じてしまいがちです。「自分のせいでこうなった」と思ってしまうこともあるため、背負わなくてもいい責任を背負ってしまいます。
「繊細な人」の気質があるのに活動的になりすぎ、刺激過多で疲労する
エネルギッシュに動き回っていたと思ったら、急に電池が切れたように元気がなくなります。HSPと同じ刺激への対処をすることでオーバーヒートを未然に防げます。刺激を追求したあとはリラックスして休む時間を作るようにしましょう。
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エネルギッシュで活動的な裏ではすごく疲弊している
「じっとしていられない」「熱しやすく冷めやすく、飽き性」という特性は、一見すると発達障害(ADHD)のようにも映るため、自分が発達障害だと思い込む人も少なくありません。確かに似ている部分もありますが、刺激追求型HSPには発達障害のように注意散漫なところや空気を読めないという部分はなく、一つのことに向き合うのであれば、ミスもなくしっかりパフォーマンスを発揮できますし、社会に適応もしています。しかし、職歴をたずねると転職を繰り返している場合が多く、理由を聞くと「すごく疲れてしまい、会社に行けなくなりました」「疲労感で大事な用事をすっぽかしました」などの答えが返ってきます。活動的な裏では、すごく疲弊しているのです。
また、「刺激を求めて活動的になったあとにダウンしてしまう」というのは、躁(そう)状態とうつ状態を繰り返す「双極性障害」の特徴と重なるところもあります。そのため、刺激追求型HSPの人は「自分は精神疾患を抱えているのではないか」と悩むことも多いようです。もし悩んでいるなら、子どものときはどうだったかを思い出しましょう。
今の悩みや気質が子どもの頃から連続性を示しているようであれば、刺激追求型HSPの可能性が高いかもしれません。
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教えてくれたのは……
新宿ストレスクリニック 名古屋院院長
本 将昂(もと・まさたか)先生
【Profile】
精神保健指定医。日本精神神経学会認定精神科専門医。
2011年、京都大学医学部卒業。京都大学医学部附属病院精神神経科、大阪赤十字病院精神神経科、関西青少年サナトリューム、新宿ストレスクリニック 梅田院勤務を経て、2018年8月より新宿ストレスクリニック 名古屋院院長に就任。患者一人一人の悩みと向き合うていねいなカウンセリングと診療に定評がある。
新宿ストレスクリニック
新宿ストレスクリニック 名古屋院
(抜粋)
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監修:本 将昂
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構成・文 大橋美貴子
イラスト モリナオミ
編集 入江弘子
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