気の向くまま日本各地を巡るクルマ旅や、魚釣りや登山など趣味の時間を充実させるための前乗りなど、車中泊のスタイルは様々。だがクルマに泊まるという、日常とは異なる空間で過ごす刺激的な時間は共通だ。車中泊をするなら、完全にフラットな空間を確保できるクルマを選びたい。就寝時は多少の段差や傾斜さえ、とても気になるもの。室内空間の広さよりも、重視するべきポイントだ。
普段使いも考えるなら、ボディタイプで選びたい車中泊向きのクルマ
車中泊をするためのクルマの条件は、ベッドとなるフラットなスペースの形状につきる。ミニバンに多い、座面をフルフラットにするタイプは、シートのクッションが利いて、ベッドのように使える。しかしクルマのシートは、通常走行時のホールド性や衝突安全性に対応するため、立体形状になっている。ベンチシートタイプであっても、真っ平らにはならない。車中泊用の専用マットが用意されている車種でも、多少の凹凸は覚悟する必要がある。
一方で、後部座席を前方に倒して、ラゲージと一体で広いスペースを生み出すタイプは、フラットな空間を作りやすい。ただ、平らではあるものの、前方が高くて後方が低く傾斜している車種が多い。アンダーフロアに近いため、冬は底冷えしやすく、断熱に配慮する必要もある。
フラットな就寝スペースを作れるかどうかがカギ
フルフラット型
座面をフラットにすることでベッド状態にするもので、3列シートミニバンに多く採用されている。形状的に凹凸が発生するので、安眠のためには専用のマットやアンコが欲しい。
ラゲージ拡大型
シートの座面を前方に倒し、ラゲージから続く広いスペースをベッドとするもの。凹凸は少ないが、全体的に傾斜している場合がある。アンダーフロアからの底冷え対策も必要。
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TYPE 1:軽自動車
コンパクトなボディサイズだが、シートアレンジ次第では充分な就寝スペースを確保可能。ハイト系のワゴンなら、居住性も上々だ。
SUZUKI EVERY WAGON
広い室内が魅力の軽キャブワゴン。秀逸なのがハイルーフ車に装着できる、純正アクセサリーの「2段ベッドセット」。ラゲージを上下2段に分けられるため、最大で4人が就寝可能。荷室長も1955mmと、ゆったり寝られる。
全長×全幅×全高3395mm×1475mm×1815~1910mm
¥1,370,000~
お問い合わせ:スズキ お客様相談室
TEL:0120-402-253
オプションの2段ベッドで4人就寝が可能
ベッドキットとベッドマット、乗降ボードのセットで(¥184,000)、通常時の収納性も抜群だ。
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TYPE 2:トールワゴン
4~5人乗りで背が高めの乗用車は、運転しやすいコンパクトなサイズと、居住性を両立。荷室重視で、車中泊にも適しているクルマが多い。
HONDA FREED+
※用品装着車
コンパクトミニバン「フリード」の5人乗り仕様。リアシートを倒せば、セミダブルサイズのフラットな空間が確保できる。ホンダならではの超低床フロアなので、就寝部分の下に荷物をしまう場所が確保できるのも魅力だ。
全長×全幅×全高4265~4295mm×1695mm×1710~1735mm
¥1,984,000~
お問い合わせ:Honda お客さま相談センター
TEL:0120-112010
ベッドの下に荷物が置ける超低床フロア
就寝時は荷物の置き場に困りがちなだけに、床下に収納スペースがあるのは便利だ。
TOYOTA SIENTA FUNBASE G(ハイブリッド車)
5人乗りの「ファンベース」なら、後席をチルトダウンで収納すれば、フラットな空間が生まれる。前席を前にスライドさせると、最大で2065mmのベッドサイズが確保可能。背の高い人でも充分に就寝可能だ。
全長×全幅×全高4260mm×1695mm×1675mm
¥2,202,727~
お問い合わせ:トヨタ自動車 お客様相談センター
TEL:0800-700-7700
背の高い人も就寝可能な広々としたベッドサイズ
後部座席は6:4の分割可倒式。背もたれを倒せば、フラットなシートが出現する。
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TYPE 3:ミニバン
スペースにゆとりのあるミニバンは車中泊の本命だが、シートアレンジとの兼ね合いで、平らなスペースの確保は意外に難しい。
Volkswagen GOLF TOURAN
7人乗りのミニバンとしては珍しく、2、3列目シートがフラットに折りたためる。荷室からつながるスペースはほとんど傾斜がなく、広々とした就寝場所が確保可能。通常時の運転性もシャープ。ディーゼル車も設定。
全長×全幅×全高4535~4540mm×1830mm×1670mm
¥3,528,000(税込み)~
お問い合わせ:フォルクスワーゲン カスタマーセンター
TEL:0120-993-199
2、3列目がフラットになる7人乗りのミニバン
ホイールベースが2785mmと広々。オプションの電動パノラマスライディングルーフを装着すれば、寝ながら星空を楽しめる。
Mercedes-Benz V 220 d Marco Polo HORIZON
※欧州仕様車
ポップアップルーフを装備した、メーカー純正のキャンピングカー。最大で5人が就寝可能で、ルーフ右側にはサイドオーニングを装着。運転席と助手席は回転機能が追加され、後席と対面形式のレイアウトにできる。
全長×全幅×全高5150mm×1930mm×1960mm
¥9,380,000(税込み)
お問い合わせ:メルセデスコール
TEL:0120-190-610
ポップアップルーフ付きのメーカー純正キャンパー
ポップアップルーフには2人が、下はベンチシートをフラットにすれば3人が就寝可能。
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TYPE 4:SUV
多目的に使えるSUVは、アクティブな外見や走破性の高さ、運転時の視界のよさで、大人気のカテゴリ。車中泊に適した車種も多い。
VOLVO XC90
ボルボのフラッグシップSUV。日本では7人乗りのみラインアップしているが、2列目と3列目シートはほぼ平らに収納可能。2040mm×1192mmのベッドスペースが確保でき、フロア下のサブトランクには就寝時も荷物が収納可能だ。
全長×全幅×全高4950mm×1930~1960mm×1760~1775mm
¥7,581,818~
お問い合わせ:ボルボ・カスタマーセンター
TEL:0120-922-662
普段は7人乗車可能なフラッグシップモデル
2、3列目シートは独立して倒せる。2列目中央座席はジュニアシートを内蔵しており、形状変更が可能だ。
Mitsubishi Motors OUTLANDER PHEV
近距離は充電のみの電気自動車として、長距離はハイブリッド車として使用できるプラグインハイブリッド車。100VのAC電源(コンセント)が付いており、エンジン停止時も1500Wまで電化製品が使用できる、車中泊にぴったりの一台だ。全長×全幅×全高4695mm×1800mm×1710mm
¥3,581,000~
お問い合わせ:三菱自動車 お客様相談センター
TEL:0120-324-860
最大1500Wの電化製品が使えるプラグインHEV
荷室長は1740mmだが、前席シートをスライドすれば拡幅可能。幅は975mm~1305mm。
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撮影/岩田一成、近藤浩之、木村武司、佐藤亮太
文/岩田一成、渡瀬基樹、渡辺圭史
スタイリング/伊藤良輔、栃木雅広(quilt)
※五十音順で表記
(MonoMaster 2020年12月号)
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WEB編集/FASHION BOX