こんにちは、私用iPhoneのプレイリストに「はじめての桂歌丸」が入っている「FASHION BOX」の中の人です。
前回、推し落語家の柳亭小痴楽(りゅうてい こちらく)さんに撮りたてホヤホヤ写真をお借りしたワタクシ(会社PCの壁紙に設定したりしていない自分を褒めてやりたい……)。すっかり味を占めたので、引き続き落語人気を盛り上げるべく、独断と偏見を軸に語ってまいります。
今回は、落語にちょこっと興味がわいたときにオススメの作品まとめです!
《目次》
【前回の記事はコチラ】
女性からデートに誘うなら“落語”がオススメ! #落語女子
寄席未満の落語初心者に贈る作品まとめ
前回、女子が落語を聴くことのメリットを簡単にお伝えしましたが、そうはいっても寄席(よせ)という未知の世界へ足を踏み入れるのは、それなりに勇気がいりますよね。現地でどう振る舞えばいいのか、っていうか本当に楽しめるのか……。知らないラーメン店に1人で入ることには何のためらいもない私ですら、寄席デビューにはハードルを感じたものです。
そこで落語がテーマの映画やドラマ、本、漫画を集めました。これらの作品に触れてみれば、落語ってどんなものなのか、なんとな~くわかるはず。
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■落語初心者向けの映画
『億男』
2015年の本屋大賞にもノミネートされた同名小説が原作。
一男(かずお)は兄の借金を肩代わりすることになり、妻&娘とは別居中。朝から晩まで働き詰めの生活を送っていた。そんなある日、偶然手に入れた宝くじで3億円が当選。これで家族とやり直せると喜ぶ一男だったが、大学時代の親友・九十九(つくも)に大金を持ち逃げされてしまい……。
一男と九十九は、大学の落語研究会で意気投合した間柄。劇中には、大学時代に2人がモロッコへ旅行するシーンも出てくる。砂漠の中で九十九が披露するのが、得意な噺(はなし)だという「芝浜」。酒飲みの夫が、大金が入った財布を拾った夢を見たことで心を入れ替えて働き始める、お金と夫婦愛にまつわるストーリーだ。
実はこの「芝浜」という落語が、物語全体のカギを握ることに。少し長い噺だけれど、一度聴いてから映画を観れば楽しさ倍増のはず!
ちなみに大学時代の回想シーンでは、一男が「死神」を演じる姿が少しだけ登場する。映るのは一瞬でも、役者さんの演技力の高さに感動するのだが(当たり前ですね)、この「死神」を聴くなら、本作の落語指導をしている立川志らくさんのものがオススメ。オチの部分、死神の残酷さに鳥肌必至(もっとも、志らくさんの「死神」はDVDには含まれておりません。一男の「死神」、九十九の「芝浜」ロングバージョンは特典映像として収録されています)。
『億男』
Blu-ray&DVD好評発売中
発売元 : アミューズソフト
販売元 : 東宝
『しゃべれども しゃべれども』
こちらも原作は佐藤多佳子さんによる同名小説。
主人公は“三度の飯より落語が好き”な二ツ目の落語家・今昔亭三つ葉。とはいえ目立つ存在ではなく、師匠に指導を頼んでも体よくあしらわれてしまったり、パッとしない日々を過ごしていた。だが、ふとしたきっかけで出会った話下手な美女や、いじめられっ子の小学生、口下手な野球解説者に落語「饅頭怖い」を教えることになり……。
前座が寄席で鳴らす太鼓の練習風景など、落語家の日常が垣間見えるシーンに萌える。劇中でカギとなる噺は「饅頭怖い」と「火焔太鼓」。
『DVD しゃべれども しゃべれども』
(アスミック/新潮社 角川映画)
■落語初心者向けのドラマ
『タイガー&ドラゴン』
落語ドラマの金字塔と言っても過言じゃないのが、宮藤官九郎さんが脚本を手がけたコチラ。
笑いを忘れたヤクザの山崎虎児が、落語家の林屋亭どん兵衛に弟子入りし、さまざまな噺を覚えていくというストーリー。劇中では、落語の噺がショートムービー仕立てで観られる場面もあり、初心者でも噺の筋が追いやすい構成になっている。また取り上げる作品は「芝浜」「饅頭怖い」「粗忽長屋(そこつながや)」「子は鎹(かすがい)」など有名な古典のネタが中心。寄席デビュー前の予習作として、超ピッタリだ。
『タイガー&ドラゴン 完全版 Blu-ray BOX』
発売元:TBS
販売元:ポニーキャニオン
価格:¥31,200(本体)+税
(c) TBS
『ちりとてちん』
貫地谷しほりさんがヒロインを務めた、朝の連続テレビ小説。
福井生まれの主人公が、大阪で上方落語家を目指すストーリー。ヒロインが弟子入りする“上方落語の四天王”と呼ばれた落語家の徒然亭草若を故・渡瀬恒彦さんが演じた。
ただいま放送中の『なつぞら』が朝ドラ100作目にあたることを記念し、思い出の名シーンについて視聴者アンケートを取ったところ、劇中で渡瀬恒彦さんが落語「愛宕山」を披露する場面がなんと100作中の1位にランクイン! 『タイガー&ドラゴン』と並び、落語女子を増やしたに違いない名作だ。
『ちりとてちん』
発行・販売元:NHKエンタープライズ
問合せ:NHKエンタープライズ ファミリー倶楽部
電話:0120-255-288
■落語初心者向けの漫画
『昭和元禄落語心中』
漫画をあまり読まない私でも、楽しめた作品。第21回手塚治虫文化賞新生賞を受賞、アニメ化&ドラマ化されているという情報からも、ストーリーの面白さは推して知るべし。
元ヤクザの与太郎が出所後、向かった先は昭和最後の大名人といわれる落語家・八雲の高座。刑務所の慰問で八雲が演じた「死神」が忘れられず、弟子入りを志願したのだった。八雲の家には他界した人気落語家・助六の忘れ形見である少女・小夏も暮らしており……。
八雲を中心に繰り広げられる複雑な人間関係と、落語愛、時代背景が“昭和”だからこそのレトロな世界観にどっぷりハマること必至。BL的な要素があると評されることも多い作品だが、個人的には孤高の天才・八雲の“ツン”なところに、秘めた腐女子心がくすぐられた。
ちなみに著者・雲田はるこさんのインタビューは「このマンガがすごい!WEB」に掲載されている。「落語マンガではなく落語家マンガ」「『続きを実際に見に行きたい』と思ってもらえるように」など、創作秘話も必読。
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雲田はるこ『昭和元禄落語心中』インタビュー 祝☆アニメ化!! アニメ版の影響で“あの”キャラクターに変化が!?
http://konomanga.jp/interview/54827-2
落語家・立川志ら乃師匠に聞く!「落語マンガ」って、ぶっちゃけどうですか? 国立演芸場花形演芸大賞銀賞・受賞記念!【目ききに聞くスペシャル】
http://konomanga.jp/special/29398-2
『昭和元禄落語心中』(講談社)
著:雲田はるこ
■落語初心者向けの本
『談志の遺言』
2011年に他界した落語家・7代目 立川談志(たてかわ だんし)の名言集。
高座で学んだ人生の金言や、厳しくも愛情あふれる談志流・弟子育ての名言、世相をぶった切る放言などなど。国会議員を務めたり、落語協会と対立の末に自身が家元となる落語立川流を創設したり、波瀾万丈な人生を送った談志ならではの奥深すぎる言葉を味わって。
せっかくなので本書から、落語に関する言葉3つを引用しておきましょう。
■落語とは人間の業の肯定
落語とは、ひと口にいって
「人間の業の肯定を前提とする一人(いちにん)芸である」といえる。
なら業の肯定がある一人芸であれば、
それはすべて落語なのか、と問われれば、
私は“そうだ”と答えている。
―『あなたも落語家になれる 「現代落語論」其二』/三一書房―
■落語が語るもの
“人間の業の肯定”とは、非常に抽象的ないい方ですが、具体的にいいますと、人間、本当に眠くなると、“寝ちまうものなんだ”といっているのです。分別のある大の大人が若い娘に惚れ、メロメロになることもよくあるし、飲んではいけないと解っていながら酒を飲み、“これだけはしてはいけない”ということをやってしまうものが、人間なのであります。
―『あなたも落語家になれる 「現代落語論」其二』/三一書房―
■手塚治虫
常識に対する非常識の世界、人間の持つ夢と欲望、そして惨め過ぎる程の人間の事実の姿、それらすべてを手塚治虫(かみさま)と落語は語っているのだ……。
―『努力とは馬鹿に恵えた夢である』/新潮社―
以上『談志の遺言』(宝島社刊)より
https://tkj.jp/book/?cd=02619001
著:立川談志 監修:吉川 潮
『赤めだか』
立川談志の弟子・立川談春(たてかわ だんしゅん)が、前座の修業時代のことを書いた自伝エッセイ。
「上の者が白いと云えば黒いもんでも白い」という落語の世界。
弟子入り直後に味わった談志流カレー(シチューにラッキョウや豆板醤、納豆のタレなどを入れたメニュー)や、なぜか派遣された築地での魚河岸勤務、ハワイ旅行ではワイキキビーチをグンゼのももひき姿で遊泳する談志のアテンド……など。こんな破天荒な上司はマジで勘弁願いたい、と思わされる、驚きのエピソードの数々。だが、その支離滅裂さや時折見せる弟子への愛情に、不思議と惹かれてしまう。
談志の人間的魅力が伝わってくる一冊。
『赤めだか』(扶桑社文庫)
著:立川談春
『今夜も落語で眠りたい』
コラムニスト・エッセイストとして活躍する著者・中野翠さんは、実は落語好き。20年間、眠りにつくときには好みの落語を聴いてきたそう。
そんな中野さんによる「超個人的落語体験記」。古今亭志ん朝(ここんてい しんちょう)、八代目の桂文楽(かつら ぶんらく)、五代目 古今亭志ん生(ここんてい しんしょう)、十代目 金原亭馬生(きんげんてい ばしょう)など昭和の名人によるお気に入りの噺を紹介している(お上手な自作似顔絵付き)。
小難しくなく親しみの持てる語り口で、落語を知らない人でもとっつきやすいはず。熱のこもった解説を読めば、未知の作品でも聴いたことがあるように錯覚。そして実際に聴いて、どんな噺なのかを確かめてみたくなる。
本書の中で中野さんは、落語テープを聴き始めたときの頃を「なにぶんにも知識に乏しく、どこから手をつけていいのかわからない。地図もガイドブックもなしに、いきなり海外旅行に行くようなもの」と説明されている。まさにそんな「どこから手をつけていいのかわからない」読者に激推ししたい本だ。
(っていうか、私も「どこから手をつけていいのか……」なので、この本を参考に開拓していこうと思います!)
『今夜も落語で眠りたい』(文春新書)
著:中野翠
文・編/FASHION BOX
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