生理は女性のみの問題、とされていたのは過去の話。とはいえ、パートナーが生理の時は、聞いていいもの? ダメなもの? 日本国内のフェムテック市場のパイオニアとして注目を集める企業「fermata(フェルマータ)」の共同創業者であり、CCOの中村寛子さんにお話伺いました。
「今日は生理?」って聞いていいこと? ダメなこと?
━━「フェムテック」の広がりとともに、女性の健康課題をオープンに話す機会も増えてきました。とはいえ、パートナーへ生理のことは伝えづらいと思っている人も。男性から「生理って聞いてもいい?」という質問が……。
中村さん 私は個人的にはいいと思います。ただ、今までfermataでご一緒してきた方を振り返ると「男性側のパートナーは聞きたいと思っていても、女性側のパートナーは実は言うことがすごく恥ずかしい」という方がとても多くいらっしゃるなぁと感じていて。一概に、無理やり聞き出すということはしないほうがいいのかなぁと感じています。女性側に「それ聞いてどうするの?」という気持ちと、単純に「恥ずかしい」という気持ちがあるだろうから、聞く理由を伝えるべきかなと思いました。単に「機嫌悪いのが嫌だからその日は会わないようにするよ」はアウトだと思うんですけどね(笑)。ただ、女性側が答えたくないのであればそれは尊重してあげてほしいなと、思います。
「今日の調子は?」体調をお天気アイコンでシェア
中村さん fermataでは、その日の仕事量と体調(メンタル含む)のコンディションを「晴れ」「曇り」「雨」などのお天気アイコンで示してもらうやり方を採っています。例えば「曇り」だったり、「雨」が降っていたりしたときは、仕事量を配慮したり。詳細を言う、言わないはその人の自由なのですが、ほとんどのメンバーは「PMSがちょっとつらい」など理由を言っていますね。
これは聞いた話ですが、パートナー間でこのスタンプを送ったら「ちょっと……」という暗号にしておくなどあるかと思います。「ペアケア」のように、生理周期を大事な人にシェアできるサービスもありますし、コミュニケーションの仕方は様ざまな選択肢があるかと思います。
「ペアケア」は、LINEを利用した生理日予測・パートナー共有サービス。ペアケアの公式LINEアカウントを友だち追加すると、生理日や排卵日を予測し、日々の体調記録を恋人や家族、友人などパートナーと共有することができる。
「フェムテック」をきっかけに相互理解のある社会を目指す
中村さん 私たちが開催しているフェムテックフェスは女性限定ではなく、誰でもウェルカムというような場所にしています。昨年10月に開催した展示イベントでは、全体の2〜3割は男性が参加しました。もちろんビジネス目的の方もいらっしゃいますし、そうでもない方もいらっしゃったのですが、参加することで女性には、こういう悩みがあるんだぁと気づいていただく大きなきっかけ作りとなったのではないかと思います。それはもちろん、男性だけでなく女性であっても、性についての正しい知識量や、生理痛がある、ない、などには個人差があると思うんです。お互いが歩み寄るには「自分はそういう体験をしたことないけどこの人はそう思うんだ」という気づき。フェムテックが相互理解のきっかけになればいいなと思います。
教えてくれたのは……fermata CCO中村 寛子さん
Edinburgh Napier University 卒業後、デジタルマーケティング企業に入社。その後、女性エンパワメントを軸にジェンダー、年齢、働き方、健康の問題などまわりにある見えない障壁を多彩なセッションやワークショップを通じて解き明かすダイバーシティ推進のビジネスカンファレンス「MASHING UP」を企画プロデュース。2019年、杉本亜美奈さんと「fermata」を設立。「フェムテックが集まるECサイトも」https://hellofermata.com/
宝島社では女性誌11誌男性誌2誌、計13誌合同によるフェムテック・フェムケア啓発プロジェクト「もっと話そう! Hello femtech」を2021年12月25日(土)より始動しました。
フェムテックの認知度向上を通じて、女性の健康問題に係わる具体的な話題を話す機会を増やすことで、女性がより活躍できる社会に繋げ、ひいては男女関係なくヒトが生きやすい社会を目指すための活動です。
HelloFemtech 特設ページはこちら
→https://fashionbox.tkj.jp/femtech
取材・文=吉田彰子