女性が抱える健康課題を技術や知識、サービスで解決することの総称とされるフェムテック/フェムケア。性教育も、そのひとつに含まれるといわれている。女性の健康課題について、日本人の理解が乏しい要因のひとつは、子どもの頃に丁寧な性教育を受けていないことといわれており、今の子どもたちにきちんと性教育を受けさせようという動きが高まっている。その流れのなかで、中学生・高校生をはじめとする10代向けの性教育サイト「セイシル」に注目が集まっている。
10代が抱える性のモヤモヤを知れる、話せる「セイシル」
第二次性徴を迎え、ココロもカラダも大人に移りゆく中学生・高校生をはじめとする10代に向けて、幅広い性の知識や自分らしい生き方を見つけるためのヒントを提供するというコンセプトでオープンしたのが、性教育サイト「セイシル」。
「恋愛・セックス」「男性のからだ」「女性のからだ」「避妊」「性感染症」「多様な性」「マスターベーション」など、10代が抱えるあらゆる性の疑問や悩みを10個のカテゴリーに分類し、それぞれに対し、産婦人科医や泌尿器科医、臨床心理士、LGBT啓発団体の代表など約50人がそれぞれの立場から回答している。
セイシル https://seicil.com
性の知識がわかりやすく得られる読み物ページも豊富
「セイシル」のサイト内には、10代の性の疑問や悩みに専門家が回答するページのほか、わかりやすく性の知識を解説する読み物ページもある。同サイトのオリジナルキャラクター、性の妖精・モヤパンが、中高生が抱えるココロとカラダの変化や性について、丁寧かつわかりやすく解説してくれる。
性の妖精・モヤパン
モヤパンが解説するテーマは、「ニキビ」や「体毛」、「なぜ人と比べてしまうのか」など二次性徴時に起こるカラダとココロの変化についてから、「セックス」「避妊」「性感染症」「多様な性」「マスターベーション」と性にまつわる知識まで幅広く網羅している。
なかでも、「はじめてのセックス、その前に。わたしたちのHow to SEX」というページでは、なんのためにセックスをするのかという心構えから、リスクや事前準備、いざというときのヒントまで、コミカルな絵で細かに解説されている。
例えば、セックスとはなにかを解説する際、イギリスの動物学者、デズモンド・モリスが唱えた「ふれあいの12段階」という考え方を紹介し、性のふれあいには段階があることを紹介している。
また、事前準備の項目では、セックス前の確認リストを提示し、項目について考えたり話し合ったりすることの大切さを説いている。
確認リストは、自分ひとりで考えることと、ふたりで話し合うことに分かれており、お互いに相手の気持ちを確認することが意識されている。
困ったときの相談窓口一覧ページも
「セイシル」には、中高生が抱える悩みや問題が相談できる窓口のリストも掲載。性に関する悩みはもとより、カラダの悩みやココロの悩み、勉強の悩み、生きづらさ、ネットでのトラブルなど、それぞれの悩みを相談できる専門窓口を紹介。家族や友達に言えないモヤモヤをときほぐす道筋もつくっている。
サイトオープンの理由
「セイシル」を運営しているのは、TENGAのグループ会社として2016年に設立した、性の悩みや不安のない明日をめざす「TENGAヘルスケア」。同社は性にまつわる製品を発表する業務だからこそ、性に関する質問や悩みをもらうことが多くあり、そのなかで誰かを傷つけたり自分が傷ついたりしないためにも、性に関する知識は必要不可欠だと考えるようになったという。また、性教育について行った実態調査で、もっと習うべきトピックスとして性的暴行・ハラスメント、性病、性交の同意が上位に上がったことや、SNSで性被害に遭う児童や中高生が増加していることを受けて、中高生をはじめとした10代が気軽にアクセスできるウェブサイトで、専門家による幅広い性の知識を得られる環境づくりを後押ししたいと開設したそう。
【今回のまとめ】
日本には、性にまつわる話をしづらい空気があり、学校でも家庭でも丁寧な性教育が行われていないことも多い。しかし最近、適切な性知識を得る機会を設けたり、恥ずかしがらずに性の話ができる雰囲気をつくろうという動きがあったり、性教育の日常化が進んでいるように思える。ここも誤解されがちだが、性教育とはセックスの知識だけでなく、ハラスメントなどの性的被害や異性のカラダへの理解も含まれる。そういう意味で、性教育は若者だけでなく大人にも、もっと身近なものになっていく必要があるだろう。