椅子から立ち上がったときや重い荷物を持ったとき、くしゃみをしたとき……。ふとした瞬間に少しだけ漏れてしまう「尿漏れ」。30代以上の大人の女性に多い悩みですが、その原因は出産や加齢、運動不足などにより「骨盤底筋」が緩むことにあります。気にせず毎日をごきげんに過ごすためにも、改善に向けて「骨盤底筋トレーニング」を始めてみませんか? 今回は骨盤底筋とはなにか、そして基本のトレーニング方法などについて、理学療法士の田舎中真由美さんに教えてもらいました。
そもそも骨盤底筋とは?
骨盤底筋は「骨盤底筋群」といって、恥骨と尾骨の間に位置する筋肉の総称。その上にある膣や膀胱、直腸などの内臓を正しい位置に支える役割を担っています。これが緩むと、くしゃみなどで腹圧がかかったときの刺激を受け止めきれず、自分の意思に反して尿が漏れてしまう原因になるのです。
ほかにも、お風呂上がりに膣に入ったお湯が後から垂れてくる「湯漏れ」や、下垂した子宮や直腸などが骨盤から出てしまう「骨盤臓器脱」になる可能性もあります。
基本の骨盤底筋トレーニング
改善するためには、骨盤底筋を鍛えて機能を回復する必要があります。ポイントは「持久力」と「瞬発力」を鍛えること。コツを掴めば誰でも取り組みやすい簡単なトレーニングなので、ぜひ日常に取り入れてみてくださいね。
HOW TO骨盤底筋トレーニング(持久力)
❶ 膝を立てて、仰向けに寝る。
➋ 「膣を締め上げる」または「お尻の穴を締める」ようなイメージで、息を吐きながら骨盤底筋を引き締める。
❸ そのまま5秒ほど維持する。
❹ 息を吸いながら骨盤底筋を緩める。
❺ ➁~④を10回×3セット/1日行う。慣れてきたら、維持する秒数や回数を増やしていく。
「持久力」のトレーニングは、内臓を支える力を取り戻すのが目的です。次は、「瞬発力」のトレーニング。基本的には「持久力」のトレーニングと同じように骨盤底筋を動かしますが、「引き締めてすぐに緩める」を繰り返します。くしゃみなどでかかる急な腹圧に耐える力を養います。
HOW TO骨盤底筋トレーニング(瞬発力)
❶ 骨盤底筋を「引き締めてすぐに緩める」を繰り返す。この時息を止めないように注意して。
➋「引き締めてすぐに緩める」を10秒で5回×6セット行うことから始めて、最終的には1秒で10回×3セットをめざす。
慣れてきたら、座っているときや立っているときなど、日常生活の中でもトレーニングを取り入れて習慣化すると、さらにGOOD。テレビを見ながら、キッチンに立ちながら、通勤中に…など、「ながらトレーニング」ができるようになれば、尿漏れの悩みが解消される日も近いでしょう。
ただし、注意したいのは骨盤底筋ではなくアウターマッスルを使ってお腹をへこませてしまうこと。一番骨盤底筋を意識しやすいのが、骨盤底筋に内臓の重みがかからない寝そべった状態なので、まずはそこから始めてみてください。
監修/理学療法士 田舎中真由美さん
理学療法士による質の高いリハビリテーションを受けられる「フィジオセンター」のセンター長。産後の骨盤周りのゆるみや尿漏れ改善に詳しく、著書に『胸ひらきで調子のいい自分がずっと続く』(イマジカインフォス)『まゆみんが教える!!骨盤底機能』(ヒューマン・プレス)がある。https://s-d-m.jp/talents/myumi-tayanaka/
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