女性が抱える健康課題を技術や知識・サービスで解決するフェムテック(フェムケア)。男性版のメンテックという言葉もある。
フェムテック・メンテックという言葉や考えが普及するとともに、知名度が急上昇したのが男性更年期。専門外来をはじめ検査キットや対策グッズなど、幅広いサービス・アイテムが世に出ているなかで、あの女性向けサービスが男性更年期のプログラムを展開し、注目を集めている。
法人向けフェムテックサービス『ルナルナ オフィス』が男性更年期プログラムを実証導入!
株式会社エムティーアイが運営する『ルナルナ』は、2000年に女性向け健康情報サイトとして誕生した。2010年からスマホアプリの提供を始め、女性の生理管理や排卵日予測、妊活・妊娠・出産、ピルの服薬など、女性向けの幅広い健康情報サービスを提供している。
その法人向けサービスが『ルナルナ オフィス』だ。株式会社エムティーアイと、そのグループ会社で産婦人科向けオンライン診療システム『ルナルナ オンライン診療』を運営する株式会社カラダメディカ、丸紅株式会社の合弁会社である株式会社LIFEM(ライフェム)が運営し、企業を対象とした婦人科医師によるセミナーの実施や医療機関と連携したオンライン診療サービスの提供を行っている。それにより、月経や妊活・不妊治療、更年期に対する全社的な理解促進および症状の改善を支援している。その『ルナルナ オフィス』が今年から実証導入を開始したのが、男性更年期プログラム。
『ルナルナ オフィス』の男性更年期プログラムとは?
『ルナルナ オフィス』の男性更年期プログラムの概要は大きく3つ。
① 男性の更年期症状に関するセミナーの実施
泌尿器科医師による、心身の不調などの知識を深めるセミナー。男女問わず全従業員向けに実施する。セミナー実施が難しい場合などは、セミナー動画の提供を行う。
② 希望者に向けたオンライン診療の実施
『ルナルナ オフィス』のオンライン診療サービスを活用し、男性更年期外来の受診による更年期に伴う症状の改善をサポート。医師が必要と判断した場合は、漢方の処方も行う。
③ 効果検証の実施
男性更年期プログラム参加者には、約半年後にアンケートをとり、症状の改善度や、仕事のパフォーマンスへの影響について、効果検証を実施する。その結果は企業へフィードバックされる。
男性更年期プログラムを利用する流れを聞いた
広報担当者に、『ルナルナ オフィス』の男性更年期プログラムを利用する際の流れを聞いた。
「まずは導入いただいた企業様の従業員を対象に、男性更年期障害に関する基礎知識を学んでいただくために、泌尿器科の専門医によるセミナーの実施、あるいはセミナー動画を提供します。セミナーは男女関係なく全従業員が受けることができ、会社全体のヘルスリテラシーをあげることを目的としています。
その後、希望する35歳以上の男性従業員には、オンライン診療を通じた男性更年期外来受診の機会を提供します。自身のスマートフォンまたはPCより、オンライン診療サービス『ルナルナ オンライン診療』を使って『ルナルナ オフィス』の提携医療機関に予約、受診していただきます。オンライン診療では医師への相談が可能なほか、医師が必要と判断した場合には漢方の処方がされ、漢方は自宅に郵送されます。従業員のオンライン診療の受診や漢方の処方にかかる費用は基本的には企業様負担です。
約半年後にプログラム参加者にアンケートをとり、症状の改善度や、仕事のパフォーマンスに効果があったかなど、効果検証の結果をまとめ、企業へフィードバックするところまでを提供しています」
企業が『ルナルナ オフィス』の男性更年期プログラムを導入した際、最初に行われる、泌尿器科の専門医によるセミナーの内容がこちら。(写真はセミナー動画の一部分)。
男女問わず全従業員がセミナーを受けることができ、男性更年期障害に関する基礎知識を学んでいく。
『ルナルナ オフィス』の男性更年期プログラムの未来
男性更年期プログラムは現在実証導入中であり、広報担当者によると、現在の導入先は「ポーラ・オルビスホールディングス様とエムティーアイの2社のみ」。今後は、実証による効果検証の結果などを踏まえ、本サービスとして提供予定だという。
現状、企業が『ルナルナ オフィス』を導入した理由は、女性従業員が多いため女性をサポートするサービスとして導入する場合もあれば、女性従業員が少ないからこそ手厚くサポートしたいと導入する場合もあり、ケースバイケース。共通しているのは、「女性活躍や健康経営の一環として導入していただくことが多い」とのこと。将来的に男性更年期プログラムが新サービスとして加わることで、『ルナルナ オフィス』はより幅広い企業にアプローチできそうだ。
文/金山 靖 写真提供:株式会社LIFEM