占って欲しい=途方に暮れている?【ここからは、オトナのはなし】

女性の心の代弁者、人気作家LiLyの連載「ここからは、オトナのはなし」。赤裸々に語られる等身大の女性の結婚、恋愛、仕事、夫婦、セックス……。キラキラしたものとは違ったリアルなオトナの女性の姿がここに。


幸運、引き寄せの法則(サーフィン度 ★★★★★)

「ねぇ、お母さん?」
子どもの頃に私は聞いた。
「どうして嘘をついたらいけないの?どうして物を盗んだらいけないの?」
悪いとされていることだというのはわかるけど、損得で考えると疑問が残った。もし嘘や盗みが一生バレなければ結果的には得をしたことにならない?と。とても純粋にそう思ったのだ。

「たとえバレなくても、運が悪くなるから」。母の答えはそれだった。
「運が悪くなるって、とてもとても怖いことよ」
幼心になんだかゾクッとしたのですごくよく覚えている。

その会話から三十年ほど経った今、母の言葉がストンと腹に落ちる。

目に見えないものの怖さ。ウラを返せば、目に見えないものの凄さ。

スピリチュアルな話といえばそうだけど、私はあくまでリアリスト。
ここで少し本題からはそれるが、書き手である私のスピリチュアルなものに対する信仰レベルを明記してからすすめたい(ここにズレがあるとその後の文章の浸透度が変わってくるので、わりと重要)。

多くの女性がそうであるように、占いは大好き。だけど「占って欲しい」と「私は途方に暮れている」は同義語だと思っている程度には常に冷静。

占いと不安は絶対にセット。
「途方に暮れる」とはつまり、自分が大丈夫なのかどうか、もう自分ではよくわからない状態。「あなたは大丈夫だよ」と励ましてくれる友達はいても、「うん、でもあなたには私の未来まではみえないじゃん?」と無茶なことを思うほどに不安定な状況(笑)。

「自分は大丈夫だと信じたい気持ち」が、友達ではなく占いへと人を走らせる。自分の生まれ星座を握りしめ、未来への道しるべを血眼になってその中に探す程度には、人は誰もがクレイジー(笑)。

しかし、週刊で発行される占いを読んで“自分に当てはまりすぎている!”という衝撃を受けた時などは、同じ占いを愛読している友達へと走って戻る。

「ねぇ、今週も当たりすぎてるんだけど、コレ書いてる人、私のこと見てない?」
「や、マジでそのレベル。これペンネームだけど、実際は書いてるの鈴木(身近にいる男友達・仮名)じゃね?」「す、鈴木!!マジウケル。そうかもしれないわ、この前私鈴木に恋バナしたし(笑)」「あいつ、いつの間に副業で大ブレイク(笑)!!」
切実さの高い不安→占い→品格の低い笑い(元気になる方程式)。

——そう。恋をして占いを読む「乙女心」も、人生の中にすがりつける言葉を求める「弱さ」も持つが、リアルをジョークに変えて笑い飛ばすことを愛する「シニカル層」に私は属している。

SATCで言えば、シャーロットではなくミランダ寄りの人種だと言えばわかりやすいだろうか。実際に占いに行っても“この程度の話なら私にだってできるわ……。全部知ってることだし……”などと思ってしまいがちな、ヤリヅライ相手。それなのにどうして占いへ行くのかと言えば、自分に都合の良いところは信じることもできるから(呆笑)。

つまりは自分を騙すやり方すら熟知しているのだ。他人にはそう簡単に騙されない。幸運を呼ぶツボを売りつけるハードルはマックス高いと言えるだろう。

〈続く〉

【Profile】LiLy

出典: FASHION BOX

作家。81年神奈川県出身。蠍座。N.Y.、フロリダでの海外生活を経て上智大学卒。著作多数。この連載からの最新刊『目もと隠して、オトナのはなし』(宝島社)が好評発売中!プライベートでは2児の母。

(otona MUSE編集部)
text : LiLy
illust : ekore
edit : Satoko Ishikawa[vivace], FASHION BOX
※ 画像・文章の無断転載はご遠慮ください
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