年齢とともに顕著になる肌の乾燥。実は、この乾燥が、免疫力とも大きく関係しているのだとか……! 皮膚は体の一番外側にあり、さまざまなアレルゲンから守るバリアの役目を果たしています。つまり、肌を乾燥させないことが免疫力アップにつながるのです。そのメカニズムとNG習慣を、東京有明医療大学保健医療学部鍼灸学科教授・一般財団法人東京医学研究所附属クリニック医師の川嶋朗先生に詳しく伺いました。
≪目次≫
●カサカサ肌にならないために!潤いを与えて免疫力アップ!
●肌の“バリア機能”のしくみ
●肌だけじゃない! 体の中の乾きやすいパーツは?
●あなたは大丈夫? 肌の乾燥を招くNG習慣
●教えてくれたのは……
カサカサ肌にならないために!潤いを与えて免疫力アップ!
肌には、おもに4つの働きがあります。「皮脂や汗を通して老廃物を排出する機能」「体温を一定に保つ働き」「感覚器としての機能」、そして「外敵の刺激から、体を守るバリア的な働き」です。このバリア機能の維持に、潤いは欠かせません。肌は、体のなかでももっとも大きい臓器。胃や腸、肝臓や腎臓が正常であることが健康に直結するように、病気になりにくい体をつくるためには、肌の乾燥やトラブルを放置しないことが、とても大切です。
肌の保湿は、年齢を重ねるほど心身を守る要となります。しっかりと肌に潤いを与えて、肌から免疫力を高めましょう。
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肌の“バリア機能”のしくみ
肌の潤いを守っているのは、肌のもっとも表面の「表皮」の一番上にある角質層。この角質層には、水分保持に関わる「天然保湿因子(NMF)」、角質の細胞の間にある「細胞間脂質」、そして、角質層の表面にある皮脂膜があり、これらが肌の潤いを維持してバリア機能の役割を担っています。肌が乾燥するとかゆみを感じるのは、神経が過敏になったり、アレルゲンが侵入しやすくなることが原因です。
乾燥肌
乾燥で肌のバリア機能が弱くなると、外からの異物が入り込みやすく、また、刺激に弱くなります。肌の表面の皮脂膜は、体にとって大切な防護服なのです。
潤っている肌
肌がきちんと潤っていると、紫外線のダメージなど外からの刺激に対してきちんと抵抗でき、異物が侵入するのを防いでくれます。
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肌だけじゃない! 体の中の乾きやすいパーツは?
肌が加齢とともに水分を保持する力が失われるように、全身の細胞も水分量が減っていきます。それによって、肌だけでなく粘膜が乾燥して起こるのがドライマウスやドライアイです。肌と同じように、潤いは免疫力ですから、それぞれのパーツも乾燥によってバリア力が低下し病気や不調の原因になっていきますので注意しましょう。
●ドライアイ
ドライアイとは、目の乾燥です。年齢による水分量の低下ももちろんありますが、長時間スマートフォンやパソコンに向かう習慣も大きな要因。涙が不足して目が乾くと、傷がつきやすい、目が疲れやすいといったことが起こります。
●ドライマウス
ドライマウスの原因は、唾液量の低下です。年齢による水分量の減少のほか、ストレスや薬剤の副作用、病気が原因となることがあります。口内が乾燥すると、歯周病や虫歯菌といった菌が繁殖しやすくなり、口臭も気になるようになります。
あなたは大丈夫? 肌の乾燥を招くNG習慣
●日焼け
肌にとって、もっともダイレクトにダメージを受ける外敵からの刺激のひとつが紫外線です。紫外線を浴びると、紫外線から肌を守るために活性酸素が発生しますが、過剰な紫外線を浴びるとそれが細胞にダメージを与え、肌の保湿成分を奪うことに。日焼け対策をしっかりして、日焼けしたと感じたときは保湿をしっかりしましょう。
●季節・湿度
肌は、体の一番外側にあるので、外の環境の影響を大きく受けます。冬になると肌が乾燥するのは、外の空気が冷えて湿度が低いから。そして湿度の高い夏も、冷房の効いた環境で年中乾燥に肌がさらされていると考えましょう。皮脂膜から水分が奪われて乾燥が進み、肌のトラブルを招き、バリア力も低下させます。
●加齢
年齢とともに肌の水分量が失われていき、新陳代謝が悪くなるため肌のターンオーバーも正常にできなくなってきます。コラーゲンやヒアルロン酸といった保湿成分も年齢とともに減少しますので、しっかりと保湿をすることが必要不可欠。コラーゲンは、肌に塗ることの効果は認められているので、飲むより塗るほうが効果的です。
●生活習慣
肌に限らず、免疫力を高めて潤いを維持するためには日々の食事や運動、睡眠といった習慣が欠かせません。細胞間脂質の主成分であるセラミドは、寝ている間に生成されます。細胞に必要な栄養素をしっかりとり入れて適度に運動して、よく眠ることを軽視せずに意識して過ごしましょう。
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●教えてくれたのは……
川嶋 朗(かわしま・あきら)先生
【Profile】
1983年北海道大学医学部医学科卒業、2003年東京女子医科大学附属青山女性・自然医療研究所クリニックを開設、2014年には東京有明医療大学保健医療学部鍼灸学科教授、一般財団法人東京医学研究所附属クリニック自然医療部門を担当し、現在に至る。西洋医学と代替・伝統医療の統合を目指し、日々診療を行う。著書に『こむら返りは自分で治せる!』(宝島社)など。
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(抜粋)
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編集:藤田都美子
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WEB編集:FASHION BOX、株式会社エクスライト