「新型うつ病」とは？ 20代にみられる精神疾患の特徴や周囲の対応法

「新型うつ病」とは？

最近、「新型うつ病」という、今までのうつ病とは違うタイプの精神疾患が登場しています。今までのうつ病は中高年での発症がほとんどでしたが、新型うつ病は20代を中心に多く現れます。仕事や勉強でのトラブルがもとで発症し、抑うつ的になったり仕事ができなくなったりします。

「うつ病」は自責、「新型うつ病」は他罰

若い世代に増えている新型うつ病は、未成熟な精神のままで社会人になり、担うべき責任から逃げようとして発症する新しいタイプのうつ病です。
以前は「パーソナリティ障害」や「逃避型うつ病」と呼ばれていた病気で、厚労省による診断基準症状には、

・気分の反応性（楽しい出来事には気分が明るい）
・食欲の増加、体重増加
・過眠
・鉛様の麻痺（身体が鉛のように重い）
・拒絶過敏性（他人の言動にひどく敏感）

などの特徴があります。
病気かどうか微妙な病気で、新型うつ病の患者は、会社では体の不調を訴えて仕事もしないのに、なぜか休日は元気で外に遊びに行ったりします。うつ病にかかると自殺するほど追い詰められていきますが、新型うつ病では「軽やかな自殺企図」と呼ばれ、絶対に死なない程度の自殺を試みます。具体的には、刃が深く入らないように調節したカミソリでリストカットをしたり、救急車を呼んでから睡眠薬を飲んだりすることです。

本来のうつ病は自責、つまり、なんでも自分の責任だと考えて精神的に追いつめられる病気です。新型うつ病は他罰、自分の非を絶対に認めず、すべて周りのせいにします。何かネガティブなことがあれば、全部、人のせいです。
職場でも、「こんな仕事しかさせてくれない会社が悪い」、「俺はこんな仕事をするために、この会社に入ったわけじゃない」などと、ずっと文句を言うわけです。しかも、それが新入社員で、入社して3カ月ぐらいしか経っていなかったりすることが多いのです。就職してすぐに職場の人間関係を理由に会社に出てこなくなったり、病気になったのは会社や上司のせいだと主張し、裁判沙汰になる例もあります。
ストレスチェック制度でも、新型うつ病の社員は、わざと高ストレスになるように回答して、「じつは、上司のせいでこんなことになってるんです」といった“逆パワハラ”をする可能性があり、要注意です。
パーソナリティが未熟なケースが多く、昔であれば甘えていると一蹴されていたことでしょう。専門家の間では、新型うつ病は病気として扱うよりも、中学生程度のメンタリティしかない子どもとして扱い、それまでの教育で欠けていた他人との付き合い方や社会システムの理解などを再教育する必要があると考えられています。

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教えてくれたのは……

サイエンスライター川口友万（かわぐち・ともかず）

【Profile】
富山大学理学部物理学科卒。パソコン誌編集者を経てフリーに。ラーメンから都市伝説までなんでも科学で読み解くことを得意とする。科学関連のテレビ出演多数。「サイエンスにもっと笑いを」がモットー。ストレス解消法は酒と風呂とマンガ。
フェイスブックhttps://www.facebook.com/tomokazu.kawaguchi.73

【著書・監修本】
『ラーメンを科学する』（カンゼン）
『なんでも未来ずかん』（講談社）監修
『みんなのための「ストレスチェック制度」明解ハンドブック』（双葉社）
『オーラ!? 不思議なキルリアン写真の世界』（双葉社）
『ホントにすごい！日本の科学技術図鑑』（双葉社）監修
『ビタミンCは人類を救う!!』（学研プラス）
『大人の怪しい実験室』（データハウス）
『あぶない科学実験』（彩図社）
『媚薬の検証』（データハウス）
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