戦闘機のパイロットと同じ!? 「通勤ラッシュ」がもたらすストレスレベル

通勤ラッシュのストレスは戦闘機パイロットと同等! 日本人は長時間通勤で疲れ果てていた

テレワークでラッシュ時間の通勤がなくなり、ホッとしている人も多いでしょう。新型コロナウイルスの流行は経済に大打撃を与え、生活を根本から変えてしまいましたが、唯一よかったのは通勤時間が減ったり働き方がフレキシブルになったことじゃないでしょうか。

 

テレワーク万歳! 電車通勤は戦争のような地獄だった

通勤がいかにストレスか、イギリスで衝撃の研究結果が出ています。神経心理学者のデビット・ルイスが電車通勤者125人の血圧と心拍数を測定したところ、平常時の2倍以上(平時65の心拍数が145まで上昇)に達することがわかりました。
さらに通勤中、乗客の脳の活動は極端に低くなることもわかりました。ルイス氏はその状態を「通勤健忘症」と名づけました。これは外界からの刺激を遮断することで心を守ろうとするストレス反応で、極度のストレスにさらされる戦闘機のパイロットや群衆を鎮圧中の警官にもみられます。通勤客には、戦闘機のパイロットと同じレベルのストレスが毎日のラッシュでかかっているわけです。
同じくイギリスの西イングランド大学ブリストル校での調査で、1日あたり20分、通勤時間が延びると19%の賃金カットと同じストレスを受けることがわかりました。多くの人が通勤時間が長くなってでも給料の高い仕事を選ぶため、ストレスのマイナス分を給料のプラス分で埋めようとしていると考えられます。

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通勤で疲れ果てる日本人

通勤ラッシュのストレスは戦闘機パイロットと同等! 日本人は長時間通勤で疲れ果てていた

世界の平均通勤時間(片道)は32分30秒(リージャス社調べ 2014年度)で、日本は39分6秒です。これはかなり長時間の部類に入ります。ちなみに最長はセネガル共和国で67分30秒だそうです。国土交通省によれば、通勤電車の混雑度も「大抵座っている」21.2%、「時々座る」36.5%、「ほとんど立っている」42.3%で、約80%の人がほぼ立って通勤しています。
疲れがとれない慢性疲労のマーカーとして、アシルカルニチン(熱産出にかかわる物質)が使われます。往復の通勤時間が60分を超えるとアシルカルニチンの量が減少するので、通勤疲れがたまり始めるラインはそのあたりだとわかります。ですが、日本人の往復での平均通勤時間は1時間20分前後。ほとんどの会社員が該当します。
曜日ごとにストレスマーカーのアミラーゼ活性を調べると木曜日がピークになります。木曜日に難しい話をするのはやめたほうがよさそうです。
年齢が高くなるにつれてアミラーゼ活性が低下しなくなり、終わりなくストレスを感じているようです。悲しくなるデータです。

 

教えてくれたのは……

サイエンスライター 川口友万(かわぐち・ともかず)

【Profile】
富山大学理学部物理学科卒。パソコン誌編集者を経てフリーに。ラーメンから都市伝説までなんでも科学で読み解くことを得意とする。科学関連のテレビ出演多数。「サイエンスにもっと笑いを」がモットー。ストレス解消法は酒と風呂とマンガ。
フェイスブック https://www.facebook.com/tomokazu.kawaguchi.73

【著書・監修本】
『ラーメンを科学する』(カンゼン)
『なんでも未来ずかん』(講談社)監修
『みんなのための「ストレスチェック制度」明解ハンドブック』(双葉社)
『オーラ!? 不思議なキルリアン写真の世界』(双葉社)
『ホントにすごい! 日本の科学技術図鑑』(双葉社)監修
『ビタミンCは人類を救う!!』(学研プラス)
『大人の怪しい実験室』(データハウス)
『あぶない科学実験』(彩図社)
『媚薬の検証』(データハウス)
『実録 本当にあった警察の心霊事件簿』(学研プラス)北芝建との共著

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編集:光元志佳、中澤雄介(オフィスJ.B)

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Web編集:FASHION BOX

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