[アパレルの闇や食品ロスなど]社会問題を学べるおすすめのドキュメンタリー映画は?

社会問題に映画で向き合う! サステナブルな未来を目指す「ユナイテッド・ピープル」配給作品を解説

taraさんと考える私と地球に心地よい暮らし

地球と私たち生物のサステナブルな未来のために、今何ができるのか。モデルのtaraさんと一緒に学び、実践する連載です。自分ごとに捉えることがなかなか難しいさまざまな社会問題。ドキュメンタリー映画で現状を知ってみるのはいかがでしょうか。社会課題の映画を数多く取り扱っている、ユナイテッドピープル株式会社代表取締役の関根健次さんとtaraさんの対談にも注目です。

 

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<キーワード>気候変動や貧困などの社会課題

貧困、紛争、森林破壊、食品ロスなどの甚大な社会問題は自分ごとにするのが難しい。でも、生々しい姿をとらえたドキュメンタリー作品は、視覚から多くの気づきを与えてくれます。

[アパレルの闇や食品ロスなど]社会問題を学べるおすすめのドキュメンタリー映画は?
リネンのワンピース¥68,200/シュチャストニースー、その他本人私物

昨年『もったいないキッチン』(記事下で紹介)が上映されたシネスイッチ銀座(cineswitch.com)で。現在は上映されていませんのでご注意ください。

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映画配給・制作会社「ユナイテッドピープル」の代表・関根健次さんにお話を伺いました。

――数ある作品の中から貧困、紛争、環境問題など社会課題の映画を扱う理由は何でしょう?

忘れもしないのが、大学の卒業旅行で偶然訪れたパレスチナのガザ地区。紛争地の過酷な環境で暮らす人々と交流しているうちに出会った中学生くらいの男の子が、こう語ったんです。「将来の夢は爆弾の開発者になることだ」と。戦争で肉親を殺され、悲しみや憎しみを背負ってしまっていた。そんな現実を目の当たりにしてから“子どもが子どもらしい夢を描ける世界をつくりたい”という想いがずっと胸にあったんです。

世界の問題は複雑にからみあっています。僕自身、紛争の問題を解決したいことがきっかけでしたが、たどっていくとひとりひとりの暮らしのあり方や、お金の使い方につながっていく。目を凝らさないと見えない世界の現実をさまざまな角度から届けたいと、社会課題をテーマにした映画事業を始めました。作品を選ぶときに気をつけているのは、“未来をよくするヒントがあるかどうか”。見終わってどんよりする作品もありますが、基本はどこか希望や未来を感じるものを選んでいます。

――確かに『もったいないキッチン』(記事下を参照)は、コンビニの食品ロスや、大阪・あいりん地区の貧困問題などに切り込んでいますが、作品全体が明るい印象でした。

作品の監督であり、食材救出人として出演しているダーヴィドの柔らかな表情は、ひとえに彼のパーソナリティといえますが、実は昔はこぶしを突き上げるような食品ロス問題の活動家だったんです。でも、食品業界の人を批判ばかりしていても問題解決にはならない。一緒の船に乗ってもらわなくてはいけない。それに気づいて「一緒に廃棄食材を料理しよう」というアプローチに変化したようです。

――「ユナイテッドピープル」の映画を誰でも上映できる貸し出しサイトがあるそうですね。

「cinemo」ですね。自主上映会を大切にしていて、作品によってもたらされた一人の変化は、その人が上映会を開くことでより多くの人たちの変化につながります。一人の力は限られているけれど、みんなでやれば、レジ袋の有料化のような社会の仕組みにも影響を与えられるかもしれないですよね。

<できること>社会課題を取り上げた映画を観る

これまでの連載で学んだ「食品ロス」「海洋プラスチックごみ」「サステナブルファッション」をテーマにした3作品。「食品ロス」の回の先生・食品ロス問題専門家の井出留美さんが『もったいないキッチン』に出演しています!

Film No.1:『もったいないキッチン』

[アパレルの闇や食品ロスなど]社会問題を学べるおすすめのドキュメンタリー映画は?
『もったいないキッチン』
(c)UNITED PEOPLE

日本では年間643万トンもの食品ロスがうまれている。映画監督であり食材救出人の異名を持つダーヴィド・グロスが、日本列島をキッチンカーで巡りながら、日本のもったいない精神に基づきコンビニエンスストアや、福島県の農家、一般家庭などを訪問し捨てられる運命の食材を次々と救出。日本の料理人や生産者とともにおいしい料理に変身させていく。

[アパレルの闇や食品ロスなど]社会問題を学べるおすすめのドキュメンタリー映画は?
『もったいないキッチン』

《Film Data》
監督・脚本:ダーヴィド・グロス
制作・配給:ユナイテッドピープル 日本(2020年)
2020年8月公開、現在cinemo.infoで上映会主催者募集中

[アパレルの闇や食品ロスなど]社会問題を学べるおすすめのドキュメンタリー映画は?
(c)Macky Kawana
[アパレルの闇や食品ロスなど]社会問題を学べるおすすめのドキュメンタリー映画は?
(c)Macky Kawana

《tara's comment》外国の地から「食」を通して俯瞰する、日本の問題と可能性
私たちが抱える問題をわかりやすくひもとき、あまりにも身近すぎるがゆえに見落としている「大切なこと」の多さに気づかせてくれました。つくり手のやさしさと情熱がまっすぐハートに語りかけ、ユーモアあふれる解決策が明るい気持ちにさせてくれます。

Film No.2:『プラスチックの海』

[アパレルの闇や食品ロスなど]社会問題を学べるおすすめのドキュメンタリー映画は?
『プラスチックの海』

世界では年間800万トンものプラスチックが海に捨てられている。撮影クルーは海洋学者、環境活動家とともに、海洋プラスチックごみによって何が起きているのか、明らかにしていく。海鳥の体内から234個ものプラスチックの破片が発見されるなど、衝撃的な映像に目を離すことができない。

[アパレルの闇や食品ロスなど]社会問題を学べるおすすめのドキュメンタリー映画は?
『プラスチックの海』

《Film Data》
監督:クレイグ・リーソン
製作:イギリス、香港(2016年)
配給:ユナイテッドピープル
宣伝:スリーピン
2020年11月公開、現在cinemo.infoで上映会主催者募集中

《tara's comment》自然に対する偽りない愛とリスペクトが捉える映像美
言葉をもたないものたちの想いを代弁するように、訴え問いかけてくる描写の数々は、ショッキングな画ですらも息を呑むほど美しく、深く心に刻まれました。言葉や説明を超越した説得力で、感情を大きく揺さぶる一本です。

Film No.3:『ザ・トゥルー・コスト』

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『ザ・トゥルー・コスト』
(c)TRUECOSTMOVIE

服の大量生産、価格低下の裏側にあるファッション業界の闇に焦点を当て、ファッション産業の今と、向かうべき未来を提起したドキュメンタリー映画。エシカルな物づくりで名高いステラ・マッカートニー、「パタゴニア」副社長、「ピープル・ ツリー」代表のインタビューも。

[アパレルの闇や食品ロスなど]社会問題を学べるおすすめのドキュメンタリー映画は?
『ザ・トゥルー・コスト』

《Film Data》
監督:アンドリュー・モーガン
製作:アメリカ(2015年)
配給:ユナイテッドピープル
特別協力:ピープル・ツリー
2015年11月公開、現在cinemo.infoで上映会主催者募集中

《tara's comment》アパレル産業を通して知る「世界の縮図」
美学を感じるほど淡々と映し出される「リアル」の中で捉えられた人々の表情、そして語られる言葉はとても立体的で、目をそらしてきてしまった「真実」と正面から向き合う覚悟が生まれる作品です。

タラのまとめ

[アパレルの闇や食品ロスなど]社会問題を学べるおすすめのドキュメンタリー映画は?

幼い頃テレビで観た、プラスチックゴミを飲み込み次々と命を落としていく海鳥たちの画にとてもショックを受けたことを今でも鮮明に覚えています。それほど映像が持つ影響力は大きいからこそ、観るものはきちんと選ぶべきだと感じます。

身体を壊したことがきっかけでユナイテッドピープルを立ち上げた関根さん。「自分にやさしく」の想いがベースのフィルターで選ばれた映画はどれもまっすぐ心に響き、どこかあたたかい作品ばかりでした。「自身のいのちを100%使い切ってこの世のためになることをしたい!」と仰っていた関根さんの言葉に、私も表方として世のためになる表現で燃え尽きたい……と、衿を正される想いでした。

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教えてくれたのは……ユナイテッドピープル株式会社 代表取締役 関根健次さん

[アパレルの闇や食品ロスなど]社会問題を学べるおすすめのドキュメンタリー映画は?
ユナイテッドピープル株式会社
代表取締役 関根健次さん

【PROFILE】
ユナイテッドピープル株式会社代表。2002年、世界の課題解決を目指す事業を開始。NPO、NGO支援のための募金サイト「イーココロ!」を運営した後、2009年から映画配給事業へ移行。ライフワークで9月21日のピースデーを広めるべく、フェスなどを主宰している。

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PROFILE/tara

5歳よりバレエを始め、15歳で単身渡米。ヒューストンバレエの研修を経て、チェコ、クロアチアの国立劇場でソリストとして踊る。2016年拠点を日本に移し、モデルとしての活動をスタート。認定トレーナーであるジャイロトニックジャイロキネシス(R)の指導、バレエ講師、ヴィーガン・グルテンフリー料理のレシピ開発、ケータリング、イベントなどにも出店している。

 

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model:tara
photograph:Miho Kakuta
text:Nao Yoshida
cooperation:cineswitch
リンネル 2021年6月号

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web edit:FASHION BOX

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