taraさんと考える|私と地球に心地よい暮らし
地球と私たち生物のサスティナブルな未来のために、今何ができるのか。モデルのtaraさんと一緒に学び、実践していきます。今回のキーワードは「フェアトレード」です。
キーワード → フェアトレード
フェアトレードとは、コーヒーやチョコレート、手仕事の雑貨など、発展途上国で作られている作物や製品を適正価格で継続取引すること。その商品を買うことは生産者の生活向上を応援することにもなるのです。
フェアトレードについて学ぼう!
国際フェアトレード基準を満たした証しである「国際フェアトレード認証ラベル」の管理や普及推進活動を行う「フェアトレード ジャパン」の中島さんにお話を伺いました。
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──フェアトレード(公正な取引)はなぜ必要なのでしょうか?
フェアトレード商品ではないものがすべてアンフェアに取引されているわけではありません。ですが、発展途上国の生産者の多くは、小規模であるがゆえに生産品の価格を自分たちで決められないことや、低賃金で働かされるなど、さまざまな理由で弱い立場にあり、商品が不当な価格で取引されていることが現状としてあるのです。
──フェアトレード認証ラベルがついているものとついていないものの違いはあるのでしょうか?
「国際フェアトレード認証ラベル」の商品には基準を設けています。まず価格設定。生産者がかけたコストに見合い、継続的に生産できる価格であることはもちろん、生産者たちが組合で自立・発展していくための研修などの資金や、オーガニック農法の場合はその分もプラスアルファで保証しています。
次に児童労働や、強制労働を防ぐため定期的に現地で監査を行い、生産者の人権を守ること。また、特定の農薬の使用を禁止したり、生産者自身にも、生産地域がどういう環境であるのかを把握し管理体制を整えてもらったりするなど、労働環境や自然環境を守ることも基準として定めています。
この認証制度に参加するには生産者自身も相当な努力が必要なんです。認証をめざすことそのものが、生産者のエンパワーメント(=生産者自身が自分たちの生活をよくしていくこと)を得られるよう設計されています。認証というと単なる合否判定のイメージが強いですが、生産者が自分たちの課題を主体的に捉え、よりよい暮らしと未来をめざしています。
フェアトレードは人権だけではなく、SDGsを網羅しています。日常の買い物から社会貢献できるのが魅力なので、身近な商品を探してみてくださいね。
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【国際フェアトレード認証ラベル】
原料が生産されてから、輸出入、加工、製造と、完成するまでの各工程で、国際フェアトレードラベル機構(Fairtrade International)が定めた国際フェアトレード基準が守られていることを証明するラベル。
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できること → フェアトレード商品を日常に
フェアトレードはまず買い手がいないことには成立しない仕組み。もし何かを買うときに迷ったら、フェアトレード商品を選んでみては。その買い物は、生産者や販売者の応援にもつながるのです。
国際フェアトレード認証ラベルから探す
適正価格で取引されているのはもちろん、生産者たちの自立、発展までを見据えて保証している証し。
LEMONAID+[レモンエイド]
「レモネード」ならぬ、オーガニックフルーツで作られた微炭酸飲料「レモンエイド」は、ドイツで3人の青年が始めた「レモンエイド社」のもの。社名のエイドには「AID(援助)」の意が込められており、これを購入すると1本あたり約7円が発展途上国や、サスティナブルな社会活動に寄付されます。
FAIRTRADE FLOWER[フェアトレードフラワー]
国内で最多品目のフェアトレード認証製品を企画・商品化する国際協力NGO「わかちあいプロジェクト」が取り扱うケニア産のバラ。1束あたり約12円が現地の生産者組合の奨励金(フェアトレード・プレミアム)になり、組合が運営する学校や病院の備品購入などに充てられます。
セレクトショップで探す
ただフェアトレード商品であるというだけでなく、温かみのある手仕事のものであったり、おしゃれなデザインであったり、セレクトされたものからショップのカラーを感じ取れます。
People Tree[ピープルツリー]
世界フェアトレード連盟に認定されたフェアトレード専門ブランド。アジア、アフリカ、中南米などの18か国約145団体と共に自然素材を用いた手仕事による衣料品や雑貨、食品などを企画開発・販売。
THINKS[シンクス]
スタイリスト・石井なお子さんがセレクトや商品企画などを手がけるオンラインショップ。品質とデザインを兼ね備えたフェアトレード商品など、自然と人にやさしい雑貨・食品を主に扱う。
インドで種まきからウェアができるまでがフェアトレードで、また制作環境を維持することを保証するブランド「Kowtow」でコーディネート。
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タラのまとめ
鮮やかでかわいく、そしておいしいアイテムの数々にこの日の撮影現場は朝から沸き立ち、そのためか私の頭もクルクルヘアに(笑)。
国際フェアトレード認証ラベルのついた商品からは、心がパッと明るくなるとても前向きなエネルギーが伝わってきます。フェアトレード ジャパンの中島さんのお話から、途上国の生産者のものづくりに対する意識の高さ、彼らをサポートする“認証”の仕組みをきちんと理解することができ、私たち消費者の“フェアトレード”という選択(買い物)を増やすことで、この輪を広げていく必要性を感じました。
心が喜ぶお買い物で、生産者を応援でき、貧困問題解決や環境保護にもつながるなんて、とても素敵なことではないでしょうか。
tara プロフィール
5歳よりバレエを始め、15歳で単身渡米。ヒューストンバレエⅡの研修を経て、チェコ、クロアチアの国立劇場でソリストとして踊る。2016年、拠点を日本に移し、モデルとしての活動をスタート。認定トレーナーであるジャイロトニックジャイロキネシス(R)の指導、バレエ講師、ヴィーガン・グルテンフリー料理のレシピ開発、ケータリング、イベント等にも出店している。
教えてくれたのは……
中島佳織さん プロフィール
認定NPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパン事務局長。ケニア・ナイロビにて日系自動車メーカーに勤めた際、途上国の貧困問題に直面し、「寄付」や「援助」ではない、ゆがんだ貿易構造から変えていくフェアトレードに賛同。2007年より現職。
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photograph_Miho Kakuta
hair & make-up_Yuka Takamatsu
text_Nao Yoshida
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web edit_FASHION BOX, Satomi Kubota[vivace]