taraさんと考える私と地球に心地よい暮らし
地球と私たち生物のサステナブルな未来のために、今何ができるのか。モデルのtaraさんと一緒に学び、実践する連載です。今回はサステナブルなものづくりをしている「ネストローブ」の北之坊敏之(きたのぼうとしゆき)さんとtaraさんが対談。この春からスタートした、裁断くずを蘇らせたアイテム「アップサイクルリノ」についてお話をうかがいました!
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<キーワード>サステナブルなものづくり
天然素材のウェアを提案する「ネストローブ」が、この春、裁断くずを蘇らせたアイテム「アップサイクルリノ」を始めました。 環境だけでなく、国内生産者の未来にも温かなものづくり。
「これが一番出汁の糸ね」と最初に生産された「アップサイクルリノ」の糸を見せてくれた北之坊さん。「着ていただいているのが二番出汁の糸ですわ」と、チャーミングな大阪弁で説明してくれました。
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「ネストローブ」創設者の北之坊敏之さんにお話を伺いました。
――「アップサイクルリノ」はどんなところが環境にいいのですか?
収率(※1)ってご存じですか? それが高ければ高いほど、裁断くずが減るわけです。長持ちすることを考え真面目に作るとどうしても収率70%に。残り30%は捨てていました。何とかならへんかなあと、裁断くずを新たな生地として再生することを思いつきました。
――アップサイクル商品なのに、リーズナブルですね!
まず「ネストローブ」が縫製工場出身で材料の管理を自社だけで行えるからなんです。商品は主に天然素材でやっていて、裁断くずには麻もあれば綿もある。単色もあれば濃色もある。これらを細かく分別します。家庭ごみと一緒でこの後の手間やエネルギー、コストが全然違ってきます。
リネンの裁断くずでできたわたにオーガニックコットンをブレンドして糸にするんですが、1ロットを同じ混率にしなくてはいけない。それが難しいんですよ。それにこの糸、1本の中で太さが違うでしょ。裁断くずが混ざるとこうなるんです。こういった不均一な糸は生地にするときに糸強度などの理由で、機織りのスピードが落ちるんです。いろんな手間がかかるから紡績工場さん、機織り工場さんは最初首を縦に振らなかった。でも“こういう時代が来るからがんばってやろう”と。それにこれが定着したら、工場に同じサイクルでこの仕事を供給し続けられます。商品が売れるよう、どんな仕上がりの糸も責任を持って買い取ることを前提に、3割増えたコストを皆で負担して、通常の商品と同等の価格にしました。
うちの商品はメイドインジャパンなんですが、ファストファッションの流行で産地(※2)は疲弊しています。日本で流通しているメイドインジャパンの服は3%を切っているんです。「アップサイクルリノ」の生産で、産地やその技術を少しでも守ることができればと思っています。
※1 生地からとれる型の面積の割合。※2 生地や製品を作るための各工程を担う、地方の生産工場のこと。
▲生地から型をとった後の裁断くずと呼ばれるもの。何トンもの裁断くずを色ごとなどに分別し工場へ。
▲裁断くずを細かく刻み、わた状にする。
▲リネンのわたにオーガニックコットンをブレンドし、糸にする。
<check>スローメイドなモノづくり=アップサイクルリノの取り組み
UpcycleLino
https://nestrobe.com/aboutus/slowmade
アップサイクルリノをお買い物できる
nest Robe ONLINE SHOP
https://store.nestrobe.com/
<できること>ネストローブのアップサイクルリノを着てみる
裁断くずを「糸→生地→製品」にするのは特殊な技術といつも以上の手間が必要。スローメイドからうまれた生地はアンティークのような風合いが魅力。おしゃれしながら応援できるってうれしい。
ボーイッシュな重ね着にレース小物を加えればレディにも
同じ「アップサイクルリノ」でも、Tシャツとスウェットパンツは編み立てたもの、中に着たシャツは織られたもの。リネンとコットンの配分もアイテムごとに異なり、アイテムに沿って生地の表現を変えています。
クラシックな時代に想いを馳せるディテール
裁断くずだからこそ生まれたアンティークのような風合いの生地。それを活かすべく、1900年代初頭ヨーロッパのファーマーズをモチーフにデザインしたワンピース。ふんだんに施したギャザーが、存在感を放ちます。
着ることで水面の波紋のように広がる、生地にまつわるストーリー
普遍的なデザインのプルオーバーは、オーバーオールに合わせてボーイッシュにも、スカートに合わせてレディにも着こなせる、着る人の毎日に寄り添うアイテム。たくさん着て、少しずつブランドの取り組みをまわりに伝えてみて。
「アップサイクルリノ」シリーズのタグ。おしゃれと社会貢献を両立している心の勲章。
タラのまとめ
この日、初めて袖を通したアップサイクルリノのお洋服。裁断くずで紡ぎなおした一期一会の糸の風合いが素敵で、プレス滝口さんの流石なコーディネートも相まって、洋服好きな現場スタッフ全員のテンションは一気に急上昇(笑)。デザインや着心地の良さはもちろんのこと、着ているとなんだかやさしいきもちになったのは、 “誰も疲弊しないものづくり”の理念がベースにあるからかもしれません。「自分もまわりも喜ぶ行動を信じて続けていれば、どんなことが起きても最後は必ず救われる」というディレクター北之坊さんの言葉、そしてアップサイクルリノが秘めた力と可能性に視界がパッと明るくなり、大好きなお洋服を通してできることがあるということに希望を持つことができました。
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教えてくれたのは……「アップサイクルリノ」/「ネストローブ」チーフディレクター 北之坊敏之さん
【PROFILE】
大学卒業後から40年間、一貫して繊維業界に携わる。持ち前の妥協なき強い探究心で繊維に関する深い知識を培い「糸、生地、染め、加工、縫製」などすべてを知り尽くす、繊維業界の生き字引的存在。
nest Robe[ネストローブ]
リネンを軸に自然素材を使用した着心地のいい洋服を自社で企画から販売まで手がけるブランド。1950年に大阪で縫製工場として創業し、ブランドは昨年15周年を迎えた。一貫生産を強みに、最終消化率は98%。適正量を生産することを心がけている。
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PROFILE/tara
5歳よりバレエを始め、15歳で単身渡米。ヒューストンバレエの研修を経て、チェコ、クロアチアの国立劇場でソリストとして踊る。2016年拠点を日本に移しモデルとしての活動をスタート。雑誌、カタログ、TVCMやPVなど多数出演するほか、絵本の翻訳(『チュチュをきたトラ』:文化出版局)、エッセイの執筆、ヴィーガン料理のレシピ開発など幅広く活躍している。
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model:tara
photograph:Miho Kakuta
hair & make-up:Yoko Yoshikawa
text:Nao Yoshida
cooperation:nest Robe
(リンネル 2021年5月号)
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web edit:FASHION BOX