Mr. 都市伝説・関暁夫のゾクッとする怪感話「ツーショットダイヤル」

90年代の出会い系・ツーショットダイヤルで繋がった女は……!? Mr.都市伝説 関暁夫のゾクッとする話

皆さんは「ツーショットダイヤル」というものをご存じでしょうか?

1990年代に流行した出会い系電話サービスで、一般の公衆回線・国際電話回線を利用して会話ができるものです。若者が出会うツールとして一躍人気になり、当時は男女共に利用していました。

しかし、声だけのコミュニケーションに出会いの予感をときめかせていたはずが、とんでもない相手とつながってしまうことも。

今回は、書籍 『Mr. 都市伝説 関暁夫のゾクッとする怪感話』から、そんなツーショットダイヤルに関する怪談話をご紹介します。

書籍『Mr. 都市伝説 関暁夫のゾクッとする怪感話』

編:BSテレビ東京

ゾクッとするけど癖になる!
Mr.都市伝説 関暁夫が誘う「怪感話」の世界
*****
BSテレ東で放送中の人気深夜番組が初の書籍化!

巷で囁かれる都市伝説
人智を超えた超常現象
人間の悪意と狂気——

豪華声優陣による朗読劇24編をノベライズ
1話5分のゾクッと体験!!!!!!!!!!

書籍 『Mr. 都市伝説 関暁夫のゾクッとする怪感話』を購入する!

宝島社公式通販サイト「宝島チャンネル」なら電話注文もOK! 詳しくはこちらをクリック
【TEL】0120-203-760
【受付時間】9:00~18:00(土日祝日を除く)

 

ツーショットダイヤル

いまの若い子たちは、マッチングアプリなどで気軽に出会いを求めているようですが、いまから25年ほど前、僕が大学生の頃には、そんなアプリなど存在していませんでした。似たようなものですが、当時の若者の間でちょっとしたブームだったのが「ツーショットダイヤル」ですね。

電話を通して出会いを求める男女をつなぐという、アナログといえばアナログですが、声の会話っていうのは、意外と相手の素の部分が見抜けるものなんですね。これはイケるなと思うと、大抵リアルに会うところまではこぎつけられるので、僕にとっては、ナンパにもってこいのツールでした。
でも、あの日以来、僕は二度とツーショットダイヤルに手を出していません……。

当時、僕はロクに大学にも行かず、ツーショットダイヤルとバイトに明け暮れる日々を送っていました。ツーショットダイヤルは特定の番号に発信すると、同じく出会いを求めている女の子の電話につながる仕組みになっていて、その日、つながったのはハルカという女の子でした。

「どうも、ハルカだよ〜」
なかなかノリのよさそうな、元気な女の子です。

「ちわ〜っす ヒロタカ、横浜の大学生で〜す!」
もちろんこれは偽名。こんな電話ナンパで本名は名乗りません。

「え〜若い〜! 昼間っからこんなことして、ダメじゃん。学校ちゃんと行ってる〜?」
「うわ、イテテテ。いきなり急所を突くなあ」
「あはははは! 超かわい〜!」
このテンションの高さは……「ハルカちゃん、もしかして飲んでる?」
「うん、ちょっとねえ〜。うちで一人で飲んでんだけど、つまんなくてさ。よかったら一緒に飲もうよ〜」
「え? いいの?」
「うん、うち都内だけど、横浜から電車ですぐだし……なんなら、そのまま泊まってってもいいよ〜。一緒に飲も!」

話が早い。僕は思わず前のめりになりました。

「マジで? じゃ、お言葉に甘えて行っちゃおうかな……」
ハルカちゃんは、相変わらずのテンションの高さで話し続けました。
「もちろんいいよ〜! ヒロタカくん! ……じゃなくって、今井シンジくん!」

彼女は、いきなり僕の本名を言い当てたのです。ぎょっとして、それまでの甘い気分が一気に吹き飛びました。

「え、な、何言って……」
「あはははは! 焦っちゃって、かわいい〜!」

向こうから、こっちの番号がわかるはずはなく、僕の正体がバレるはずもありません。
こんなの、当てずっぽうの偶然の一致……と僕は無理やり思い込もうとしました。

「ち、違うし。そもそも、全然違うし、名前」
「ふふふ。声が上ずってるよ、シンジ。私、話してるだけで、なんでも見通す能力があるんだからね。なんでもわかっちゃうのよ」
「何、適当なことを言って……」

変な女の子に引っかかっちゃったな。僕は早く電話が切りたくなりました。

「あ、テレビの上にプラモデル置いてる〜。なにあれ。ガンプラ? ソファはグレーなんだねえ。シックでいいじゃん。あ、ベランダの観葉植物、枯れちゃってるじゃん!
3つとも。風水的によくないから、それ早く捨てたほうがいいって!」

彼女は次々と僕の部屋の状況を正確に言い当てます。僕はゾッとしました。
どこからか、覗いてるのか? 慌てて窓のカーテンを閉めました。

「そんな怖がらないでってば。でもシンジ、ちゃんと学校に行かないと、山形の病気のお母さん、悲しむよ? せっかく高い学費と一人暮らしの費用を頑張って工面してくれてるんだからさ……」

僕の頭は目まぐるしく動いていました。ここまで言い当てられるなんて、普通じゃない。
もしかしたら、友人の誰かがドッキリを仕掛けてる?

でも、ツーショットダイヤルをやっていることは、親しい友達にも言っていません。
こいつはいったい、誰なんだ……?

知ってる女友達を次々と思い浮かべてみましたが、ハルカみたいな声の子は一人も思い当たりませんでした。

「ねえねえ、とりあえずうちで飲むでしょ! 待ってるからね!」
「い、行くわけないでしょ。やめてくださいよ。あなたの目的は、なんなんですか? あなた、誰ですか?」
「やだあ、シンジ。急にマジになっちゃって、こわあい。私はただ、シンジと遊びたいだけなのに……」
「いい加減にしてください!」
「もう、シンジだって女の子と遊びたくて電話してきたくせに〜」

ハルカの甘ったれた声に耐えられなくなり、僕は電話を切ってしまいました。
しかし次の瞬間、携帯電話が鳴り出しました。番号は「非通知」……。
恐る恐る通話ボタンを押すと、テンションの高いハルカの声が耳を直撃しました。

「ちょっとシンジ、いきなり切らないでよ。びっくりしたな〜、もう。あはははは!」
「ど、どうして僕の番号を……」
「言ったでしょ、私はなんでも見通せちゃうんだってば!」
「やめてください。これ以上しつこくすると、通報しますよ!」
「通報して、なんて言うの? 毎日ツーショットダイヤルで女の子ナンパしまくってる大学生で〜すって言うの? 警察官がそんな話、聞くわけないじゃん」
「くそっ!」
「ね、だからさ、もう観念してさ、ウチに来てってば〜。いっぱいかわいがってあげるから。あ、それとも、私がシンジの部屋に行こうか? 横浜……っていうか、住んでるアパートは金沢文庫の近くだったよね。いまから行くよ!」
「や、やめてくれよ、ほんとに!」

僕は携帯を放り投げ、自宅のアパートから飛び出しました。このままだと、本当にこの女が姿を現しそうな気がしたのです。
僕はそのまま大学の友人の家に駆け込み、不気味な女につきまとわれていると説明して、3日ほど泊まらせてもらいました。

3日後、僕はアパートの部屋に戻りました。床に転がっている携帯の電源を恐る恐る入れると、数十件の着信履歴が残っていました。そのほとんどが「非通知」……。

ただ1件だけ、知らない番号からの留守番電話が残されていました。

「助けて! 僕はいま、女に監禁されてます! お願いします、助けて! たす……プツっ」
メッセージはそこで途切れていました。これは、あの女の部屋に会いに行ってしまった男の末路に違いない……。
めまいがした僕は外の空気を吸おうとベランダに出ました。足元を見ると、枯らしてしまった3つの観葉植物がゴミ袋にまとめられ、片隅に置かれていました。
あの女は、この部屋まで来たのです。しかも合鍵を持っている……。

僕がそのあとすぐに引っ越し、電話番号も変えたのは言うまでもありません。
その後は、女から電話がかかってくることはありませんでした。

あれから、僕はツーショットダイヤルに手を出すことはなくなり、ベランダに観葉植物を置くこともやめました。

いまも、あの女の粘着質な笑い声が耳の奥にこびりついているのです……。

 

[後編]事故物件住みます芸人・松原タニシに沖縄のユタが警告「病気になるよ……」|インタビュー

 

(抜粋)

書籍『Mr. 都市伝説 関暁夫のゾクッとする怪感話』

編:BSテレビ東京

ゾクッとするけど癖になる!
Mr.都市伝説 関暁夫が誘う「怪感話」の世界
*****
BSテレ東で放送中の人気深夜番組が初の書籍化!

巷で囁かれる都市伝説
人智を超えた超常現象
人間の悪意と狂気——

豪華声優陣による朗読劇24編をノベライズ
1話5分のゾクッと体験!!!!!!!!!!

書籍 『Mr. 都市伝説 関暁夫のゾクッとする怪感話』を購入する!

宝島社公式通販サイト「宝島チャンネル」なら電話注文もOK! 詳しくはこちらをクリック
【電話注文専用TEL】0120-203-760
【受付時間】9:00~18:00(土日祝日を除く)

 

『科捜研の女』長寿ドラマ化した秘密を脚本家が告白! 脚本家・櫻井武晴×ミステリ作家・法月綸太郎 対談

事故物件住みます芸人・松原タニシ 大阪「パカパカマンション」を巡るエピソード[インタビュー前編]

 

[編集]大友麻子

※ 画像・文章の無断転載はご遠慮ください

[WEB編集]FASHION BOX

RELATED CONTENTS

関連コンテンツ