宝島社文庫『科捜研の女 -劇場版-』刊行記念!
脚本家・櫻井武晴×ミステリ作家・法月綸太郎 対談
『科捜研の女 -劇場版-』(宝島社文庫)刊行を記念し、長年シリーズのメインライターを務め、本作の脚本も担当した脚本家の櫻井武晴さんと、現代本格ミステリの第一人者であり「マリコ・ファンです」と語る小説家の法月綸太郎さんの対談を実施。劇場版の感想やテレビシリーズの魅力、「科捜研の女」が長く愛されるワケについて語っていただいた。
20210805宝島社文庫『科捜研の女 -劇場版-』
全シリーズ累計250話以上!
常に最先端の技術を取り入れ、世代を問わず愛され続けてきたロングヒットドラマシリーズ 『科捜研の女』初の劇場版を、完全ノベライズ!
宝島社公式通販サイト「宝島チャンネル」なら電話注文もOK! 詳しくはこちらをクリック
【電話注文専用TEL】0120-203-760
【受付時間】9:00~18:00(土日祝日を除く)
沢口靖子「生まれて初めての体験」映画『科捜研の女 –劇場版–』撮影秘話|佐々木蔵之介ほか共演者とのエピソードも
「アベンジャーズ」だった劇場版
法月 「科捜研の女 -劇場版-」、面白かったです。スキのない映画というのでしょうか、「科捜研の女」の名のとおり、ひたすら捜査に次ぐ捜査! 劇場で聞くあの鑑定時のBGM! 「これでこそ科捜研だなあ」と思いました。
櫻井 今回、劇場版の企画段階で、「科捜研で皆さん何が見たいですか?」というアンケートを行いました。その中で多く寄せられたのが「科学捜査をしっかり見たい」。
犯人側は科学で守ろうとし、マリコをはじめとする捜査側は科学で攻める――という攻防をちゃんと見せることを目指しました。
法月 今回の劇場版の「捜査」に次ぐ大きな柱は、歴代の登場人物の再登場だったんじゃないでしょうか? 「科捜研の女 アベンジャーズ」だなと感じました(笑)。
櫻井 まさにそれを目指そうと思っていました! 本作の「映画らしいところ」といえば、これまでのシリーズキャラが再登場するところじゃないかなと。アンケートでは、歴代の登場人物をできるだけたくさん見たいという声も大きかったんです。
テレビシリーズの変化と魅力
櫻井 法月さんはテレビシリーズを見ていらっしゃるとか。
法月 はい、マリコ・ファンです! 思い出に残っているのは200回スペシャルの「科捜研、解散の危機⁉ 衝撃ラスト」(シーズン17第17話)で、科捜研の働き方改革で残業禁止という設定がすごく効果的でしたね。高齢者5人が住む賃貸住宅での連続変死事件(シーズン13第15~16話)も、社会派で面白かったです。
櫻井 ありがとうございます、どちらも私が担当したものです。後者はあの世代の人たちの悩みと心の闇をうまく事件に落とし込めた手ごたえがあった回です。
法月 シーズン7から時折登場する警察犬担当の香坂怜子(伊藤かずえ)回も印象的。「音で暴く美人作家のダイイングメッセージ~時計が遅れる密室」(シーズン15第13話 脚本:吉本昌弘)もアイデア盛りだくさんでしたね。あとは「こういうのを定期的に見たいな……!」と思ったのが、京都撮影所を舞台にした怪談ものの「もう一人の容疑者! 呪われた映画の秘密」(シーズン9第8話 脚本:岩下悠子)ですね。いつもの科捜研テイストとは違いオカルトものなのですが、一年に一回はこういうのを見たい(笑)。
櫻井 僕も毎クール書いてみたいなと思いつつ(笑)、オカルトものには3つの壁があるんです。テレビ映えするけどあまり世の中やバラエティ番組で知られていないオカルト現象を見つけること、それが犯罪に使えるようなものであること、そして最後科学で解決できるものであるということ。
法月 なかなかハードルが高い! 櫻井さんのお気に入りエピソードも伺いたいです。
櫻井 「生物学者VSマリコ! 幻の花に潜む殺意‼」(シーズン10第9話 脚本:岩下悠子)は動機がとてもよかった。大和田伸也さんが異形のミステリ作家として出演した回「マリコVS推理作家!? 殺人犯が集うサイン会と葛餅の謎」(シーズン19第22話 脚本:岩下悠子)も、本が人の人生に影響を与えることをあらためて思わせてくれたいいドラマでした。「マリコVS美人科学者 抱きつくと死ぬ男達と内出血の謎」(シーズン17第5話 脚本: 戸田山雅司)はロイコクロリディウムという生物を題材にした構成が面白かったです。自作だと、最初に科捜研に参加したときの「私は殺してない! 記憶を奪われた美女の謎」(シーズン4第2話)と「哀しき偽装結婚! 死を呼ぶ京髪飾り」(同第4話)が今見ても好きですね。脳指紋検査やヒラタキクイムシなど、「科学捜査ものをやるぞ!」という当時のけなげな意気込みがよみがえってきます。
科学と「科捜研の女」の進歩は止まらない
法月 最後に、ミステリ作家として聞いておきたい質問があります。科捜研は長いシリーズですが、ネタはどうやってインプットしているのでしょう? ミステリ小説やドラマなどをご覧になっていますか?
櫻井 それが、脚本家として独り立ちすることを決めた2000年ごろから、気づかずに他の作品に似てしまうことが怖くて、ミステリドラマや小説は極力触れないようにしているんです。代わりに科学論文を寝る前に読んでいます。「科捜研の女」は科学という足がかりがあって、科学論文は毎日何百と世界中で発表されているので、ネタはある意味毎日のように出てきます。
法月 なるほど。「科捜研の女」が長く続いている一番の理由がわかった気がしました。新しい技術が出るたびに、犯人を突き止める新たなシナリオが生まれる。本格ミステリの世界では科学が進化するたび「これでまたひとつトリックが使えなくなった」と悲観的に受け止められがちですが、逆なんですね(笑)。
櫻井 科学の進歩を追いかける手さえ止めなければ、科学捜査ものは延々と書き続けられるのでは。DNA鑑定ひとつとっても、3~4年前ではできなかったことができるようになっている。科学捜査ものというフォーマットがもつ力は強いですね。
法月 櫻井さんが「科捜研の女」を書く上で一番重視しているのはやはり科学ですか?
櫻井 圧倒的一番ですね。今は「科捜研の女」がいい流れにあると感じていて、その流れを維持するためにも、変化が必要だと感じています。そこで重視したいのが科学捜査の強化。毎クールひとつは最新科学を取り入れたいです。
法月 頼もしい答えです。同時に今回の劇場版を見た科捜研ファンは、「あの人は?」「この人も出してほしい」と期待感を募らせると思うんですよね。今後、何らかの形で、「科捜研の女 アベンジャーズ2」をやってくれたらと楽しみにしています。
櫻井 アベンジャーズ2(笑)。今回は出したいけれど、涙をのんで出せなかったキャラクターもいました。いつか、ワンシーンでも活躍の場を与えられたらいいですね。
そのほか、キャスティングや映画の内容についてもたっぷり語っていただきました。
ノーカットバージョンは『科捜研の女 -劇場版-』(宝島社文庫)に収録されていますので、ぜひご確認ください!
(抜粋)
20210805宝島社文庫『科捜研の女 -劇場版-』
全シリーズ累計250話以上!
常に最先端の技術を取り入れ、世代を問わず愛され続けてきたロングヒットドラマシリーズ 『科捜研の女』初の劇場版を、完全ノベライズ!
宝島社公式通販サイト「宝島チャンネル」なら電話注文もOK! 詳しくはこちらをクリック
【電話注文専用TEL】0120-203-760
【受付時間】9:00~18:00(土日祝日を除く)
櫻井武晴/プロフィール
Takeharu Sakurai
1970年生まれ、東京都出身。東宝映画でプロデューサーを務め、1995年に第一回読売テレビシナリオ大賞を受賞。2000年にフリーに転身。2013年に劇場版『名探偵コナン絶海の探偵』の脚本を担当し、以降、同劇場版シリーズを複数手掛け、2021年に劇場版『名探偵コナン 緋色の弾丸』が公開された。脚本を手掛けた主なテレビドラマ作品は、「科捜研の女」シリーズ(02~20年/ EX)、「相棒」シリーズ(02~13年/ EX)、「ATARU」(12年/ TBS)など。
法月綸太郎/プロフィール
Rintaro Norizuki
1964年生まれ、島根県出身。京都大学法学部卒。在学中は推理小説研究会に所属。1988年に『密閉教室』(講談社文庫)でデビュー。2002年に「都市伝説パズル」(『法月綸太郎の功績』(講談社文庫)所収)で第55回日本推理作家協会賞短編部門、2005年に『生首に聞いてみろ』(角川文庫)で第5回本格ミステリ大賞を受賞。2013年から2017年まで本格ミステリ作家クラブ会長を務めた。評論家としての著作も多い。
©2021「科捜研の女 -劇場版-」製作委員会
宝島社公式通販サイト「宝島チャンネル」なら電話注文もOK! 詳しくはこちらをクリック
【電話注文専用TEL】0120-203-760
【受付時間】9:00~18:00(土日祝日を除く)
佐々木蔵之介|家業を継ぐはずの人生から一転、役者人生を歩むまで
天海祐希が出演中のドラマ『緊急取調室』の撮影秘話を語る「明日からも頑張ろう!と思っていただけたら」
元プロ雀士の女性弁護士が描く、破格の遺産相続ミステリー【このミステリーがすごい!大賞『元彼の遺言状』】
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください
Web編集/FASHION BOX