[60代向けフェムテック 解説]本当に市場は拡大中!? 最新事情を日本フェムテック協会代表理事が解説

[60代向けフェムテック 解説]本当に市場は拡大中!? 最新事情を日本フェムテック協会代表理事が解説

「フェムテック(※1)」という言葉は、女性特有の健康に関わる新しく誕生した造語です。『素敵なあの人』読者世代には関係ないわ! なんて方もいらっしゃるかもしれません。でも「関係ない」なんて思わないでください。実はとても役に立つものなのです。

※1 Female(女性)+Technology(技術)の造語で、女性特有の健康問題やライフステージの課題を、技術で解決するアイテムやサービスのこと。日本では、女性のための商品やサービスだけではなく、ムーブメントを指してフェムテックと言われることもあります

 

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本当に市場が拡大中!?
日本のフェムテック最新事情

日本ではいつから知られるようになったの? どこまで浸透しているの?
フェムテックの理解を深めるための活動を行っている、日本フェムテック協会代表理事の山田奈央子さんにお聞きしました。

これまでタブー視されていたことが新しい価値観となり、国が支援するまでに

アメリカやヨーロッパなど海外ではここ数年、フェムテック分野での起業が増えるなど、市場が拡大しているそう。「2013年にドイツの月経管理アプリを開発している会社が、自身のビジネスカテゴリーを“フェムテック”と称したのが始まりです。2、3年前に日本でも知られ、大きく注目を集め始めたのは新型コロナウイルスの流行もきっかけのひとつになっています」と山田さん。ステイホーム中、自分の体や健康に意識が向けられ、女性特有の悩みや不安に対する関心も高まっていったそう。
「2020年は“フェムテック元年”と呼ばれ、“生理の貧困(※2)”など、これまで我慢していたことを声に出そうという動きが生まれました。さらに、自民党がフェムテック振興議員連盟(※3)を旗揚げし、国が支援する動きを見せているのも大きな出来事ですね。2021年には流行語大賞にノミネート(※4)されるなど、確実にムーブメントが起きています」

※2 日本の「生理の貧困」が話題に。#みんなの生理が行ったアンケートによると、5人に1人の若者が「金銭的理由で生理用品を買うのに苦労した」と回答。防災備蓄品の生理用品を無料で配布するという動きも見られた

※3 自民党が2020年10月に発足。自民党幹事長代行の野田聖子さんが会長を務め、婦人科のオンライン診療や月経周期を把握できるアプリの開発など、女性が生きやすい社会の構築とともに新たな市場の創造を支援している

※4 「『現代用語の基礎知識』が選ぶ2021年ユーキャン新語・流行語大賞」のノミネート30が2021年11月4日に発表され、ファッション&アパレル&ライフスタイル関連の流行語で「フェムテック」がノミネートされた

以前からデリケートゾーンの専用アイテムが注目され、最近は、吸水ショーツなど新たなデイリー用品が発売され、少しずつ定着し始めています。
「とはいえ、関心を寄せているのは、感度が高い女性など一部の方。まだ言葉の存在自体を知らない方も多くいます」

さらに、月経・妊娠・出産の製品やサービスがフォーカスされ、フェムテックが若い世代のものという印象も。
「更年期や女性ホルモンの揺らぎなど、世代特有の悩みを解決するサービスや尿もれを防ぐショーツが販売されるなど、60代のニーズに応える取り組みも徐々に増えています。潤い不足で乾きやすくなっているデリケートゾーンを保湿するオイルや骨盤底筋を鍛えたり、膣トレーニングのアイテムを手にする60代の方も増えているんですよ」
これまでオープンに話せる場がなく、あまり触れられていなかった女性特有の体に関する問題や関連する製品。
「最近は、大手百貨店の売り場でセクシャル・トイ(※5)が販売されていたり、体と心の女性性を高めるためのアイテムが素敵世代の方にも注目されています。セックスレス大国と呼ばれる日本ですが、夫婦間のコミュニケーションの問題や更年期に悩む女性をサポートするアプリが多くの方に利用されるなど、世の中のニーズとともに確実にフェムテックが浸透してきています。発展途上の市場ですが、より健やかな生活を送るためにもどんどん活用していただきたいです」

※5 男性目線ではなく、女性が開発するおしゃれなルックスのアイテムが増えている。これまでの「恥ずかしいこと」という風潮が変化し、最近は自分の体を知り、愛おしむという新しい価値観が女性の間で浸透し始めている

 

お話をうかがった方……山田奈央子さん

山田奈央子さん
山田奈央子さん

【Profile】
日本フェムテック協会代表理事
世界初の下着コンシェルジュとして、下着のアドバイスを行う。女性特有の悩みを解決するフェムテック商品の開発も手がける。

 

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取材・文_佐久間千絵、増田美加(※1 注釈)
『素敵なあの人』2022年3月号
Web編集_FASHION BOX

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