生理前後に感じる冷えや腰痛、疲れ、むくみなどの不調。「当たり前のもの」としてやり過ごしていませんか? こうした生理に伴うつらさは、実は貧血が原因の可能性があります。漢方処方を中心に診療する内科の医師・石原新菜先生に、自宅でできるケアの方法を伺いました。
あなたも当てはまるかも? 自覚のない月経前後の貧血関連症状
貧血の症状といえば、「立ちくらみ」や「めまい」を想像するのではないでしょうか。医師の石原先生によると、月経前後に感じる不調も、その多くが貧血関連症状である可能性があるそう。
「貧血とは、赤血球が不足することで体内に酸素や栄養を運ぶ能力が低下し、体が酸素不足になる状態のこと。酸素不足になると、立ちくらみやめまい以外にも、疲れやすい、体が冷えるなどさまざまな不調が表れます」
20~40代の女性に行った実態調査*1で「月経前後にどんな症状を感じているか」を聞いたところ、なんとそのほとんどが貧血関連症状であることが判明!
7割以上の女性が貧血から来る不調を感じているにもかかわらず、自分が貧血であるという自覚がないので、実際に何か対策をしている人は2割にとどまるという現状がありました。
昔に比べ初潮が早く出産が遅い現代において、一生のうちに一人の女性に来る月経の回数は、なんと約450回といわれています。時間に換算すれば、およそ6年半以上。しかも月経のある間、女性の体からは毎月40mgの鉄分が失われているのです。
人生の長い間付き合っていく必要があるからこそ、不調を軽くして、いつもごきげんでいられる方法を身につけたいものですが、どうするのがいいのでしょうか?
不足しがちな鉄分、どうやって補う?
貧血対策の基本は、赤血球の原料となる鉄分を補給すること。
「月経のある女性*2の鉄分の摂取推奨量は10.5mg/日とされているので、栄養素として食事などから鉄分を摂取することを意識して生活することが大切です。自分の好きな食材を見つけるなど、取り入れやすい方法を模索してみましょう」
また鉄分には、動物性食品に多く含まれる「ヘム鉄」と、植物性食品に多く含まれる「非ヘム鉄」があり、どちらかといえば日常的に取り入れやすそうな「非ヘム鉄」は、「ヘム鉄」よりも吸収されにくいとされています。
「非ヘム鉄は、ヘム鉄や動物性たんぱく質、ビタミンCと一緒に摂ると吸収がよくなるといわれています。お肉や卵と組み合わせて調理すると、おいしく取り入れやすくなるでしょう。また、漢方をはじめとする東洋医学の考え方では『赤黒い食べ物は血を補う』といわれています。黒豆やベリー類などもいいですね」と石原先生。
Point!「食べるフェムケア食材」として注目されるアサイー
先進の研究*3で、食べると造血ホルモンの増加を促すことがわかりつつある赤黒いフルーツ「アサイー」。ドリンクやデザートだけでなく、煮込みやソースなどさまざまな料理に活用できるので、気軽においしく食べて貧血対策になる「食べるフェムケア食材」として注目されています。
「貧血を改善するだけで、日常生活がこんなに楽だったんだと驚く人も多くいらっしゃいます。貧血への正しい理解が広まるとともに、女性が自分たちをもっと理解して、そのままにせず対策して、元気に過ごすこと。これが一番大事だと思います」
監修 医師 石原新菜先生
イシハラクリニック副院長。漢方医学、自然療法、食事療法により、種々の病気の治療にあ たっている。クリニックでの診察の他、わかりやすい医学解説と、親しみやすい人柄で、講 演、メディア出演、著書執筆に尽力している。テレビ東京系『主治医が見つかる診療所』にレギュラー出演中。
【取材協力】アサイーのパイオニア「フルッタフルッタ」 (frutafruta.com)
取材・文=リンネル編集部
*1フェムケアに関する実態調査 対象:20~40 代女性 1000 名 ※医師による食事制限などを受けていない ※月経のある女性 調査方法:インターネット調査 実査日:2022 年 3 月 30 日~31 日 調査主体:フルッタフルッタ、*2生殖可能といわれている年代、*3 Acai Transiently Upregulates Erythropoietin by Inducing a Renal Hypoxic Condition in Mice, Nutrients, 2020,12 533;