2語以上の単語が結びついて意味を表現する慣用句。ビジネスシーンでも慣用句はよく使われますが、間違った場面で使うことのないように意味をしっかり学びましょう。
教えてくれたのはこの方
吉田裕子(よしだ・ゆうこ)
国語講師。大学受験塾やカルチャースクール、企業研修などで教える。NHK Eテレ「テストの花道 ニューベンゼミ」に出演するなど、日本語・言葉遣いにかかわる仕事多数。著書『正しい日本語の使い方』(枻出版社)は12万部を突破。他に『品よく美しく伝わる「大和言葉」たしなみ帖』(永岡書店)、『美しい女性をつくる言葉のお作法』(かんき出版)、『たった一言で印象が変わる大人の日本語100』(ちくま新書)など。東京大学教養学部卒。
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慣用句1:狼煙を上げる(のろしをあげる)
大きな動きのきっかけや合図になる行動を起こすこと。“のろし”を狼の煙と書くのは、中国で、乾燥した狼の糞を、枯れ草や枯れ木と燃やして煙を上げたことに由来する。狼の糞は燃やすと煙が大量に出る。
言葉の使い方
ライバル社であるA社開発の商品に対して、B社は新商品の投入で反撃の狼煙を上げた。
慣用句2:手塩にかける(てしおにかける)
ある人物にいろいろと世話をして大切に育てることの意味。料理の味付けを他人まかせにせず、自分の手で味加減をすることから「手塩」という言葉となった。転じて、面倒をみてやることに用いられた。
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言葉の使い方
A部長が長年、手塩にかけて育てた社員が、独立して起業したそうだ。
慣用句3:一石を投じる(いっせきをとうじる)
水面に石を投げ、波紋が広がっていくように、提案をしたり意見を述べることで、人々の反応・反響を作り出すときに用いられる。それまでに出ていなかった新しい意見で、状況に変化をもたらすこと。
言葉の使い方
あなたの今回の提案は、各営業所に一石を投じるものだったと思うわ。
慣用句4:太鼓判を押す(たいこばんをおす)
太鼓のように大きな印判ということから、転じて、確実な保証をするという意味になった。おもに、人の信頼度や能力、物資などについて用いられる。「この宝石は、鑑定士が太鼓判を押した、正真正銘の本物だ」
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言葉の使い方
専務に太鼓判を押していただいたんだから、大いに張り切って取り組んでくれよ。
慣用句5:逆鱗に触れる(げきりんにふれる)
相手を非常に怒らせたり、機嫌を損なわせたりすること。通常は、目下の者が目上の者を怒らせるとき。竜の顎の下に逆さまについた鱗があり、それに触れると竜は怒り狂うとされたことから、この言い方が生まれた。
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言葉の使い方
いい加減なことを言って、部長の逆鱗に触れちゃった。……反省します。
(参考)
書籍『一生分の教養が身につく! 大人の語彙力強化ノート』
https://tkj.jp/book/?cd=TD296221
著者:吉田裕子
編集協力/小芝俊亮、細谷健次朗、山口紗英(株式会社G.B.)
執筆協力/龍田昇
イラスト/イラスト工房
編集/FASHION BOX
(書籍『一生分の教養が身につく! 大人の語彙力強化ノート』)
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