女性の心の代弁者、人気作家LiLyの連載「ここからは、オトナのはなし」。赤裸々に語られる等身大の女性の結婚、恋愛、仕事、夫婦、セックス……。キラキラしたものとは違ったリアルなオトナの女性の姿がここに。
☆前回の記事はコチラ→「神様に愛される方法とは?【ここからは、オトナのはなし】」
実体験したことを、人は何よりも信じる
タイミングも、運気の話も、エステも化粧品もここは同じ。もっと言えば、その人が実際に体験したことのない想像上の言葉は〝口コミ〞にすらならない。
「そんなに甘い世界じゃないよ」
これは、「とにかくなんらかのかたちで名前を売ってから本を出す」という夢を口にしていた10代の私が、大人たちに何度も言われたセリフ。でもその中に、実際にその過程を経験した者は一人もいなかった。実際に本を出した人に言われたわけではなかったので、彼らの言葉は私を不安にさせることすらできなかったというのが本当のところ。
「このままじゃ傷つくよ。もう終わりにしな」
これも、若い頃に飛び交いがちなガールズトーク内のセリフ。「いいの、いいの。徹底的に傷ついてみてから自分で考えるから」と私はよく答えていたし、今も基本的には同じ考えだ。
火傷をするから火に触れるな、と言葉で教えるよりも火に興味を持って手を伸ばす子どもを止めずに、実際にそのまま火傷をさせるほうが、子どもを大きな怪我から守れるというネイティブアメリカンの教えにも近い。
実体験でのみ人は学ぶ
その証拠に、冒頭の母の言葉は私の中に三十年間残るほどのインパクトを残したが、その後中学生になった私は嘘もついたし悪いこともした。痛い目をみて、人は学ぶ。
そして、その逆も然り。実際に幸運な引き寄せ体験を経験すればするほどに、運気の流れの法則みたいなものを身を持って知るようになってゆく。
「どうしてそんなにバカ正直なの?なんで毎回次の恋に行く前に、過去の恋をキッチリ終わらせられるの?ケジメのプロなの?」
仲の良い女友達にいつも聞かれる。その理由はたぶん私の迷うことが苦手な性質(複数の男性のあいだで〝迷う〞状況に耐えられないからすぐに決めて一人に絞る)によるところも大きいと思うのだけど、もうひとつは(これまた自己中心的な理由なのだけど)自分の運気を下げたくないから。
ダラダラしているとズルズルして、すべてがナァナァになる
もちろんこの世の中は、白黒つけられることばかりではない。だけど男女関係のズルズルは、自力での食い止めが可能だと思っている。これまでは、一度は愛し合った男女が本当に終わる時は、どちらかにその相手以上に両思いになれる相手が現れた時のみだと思っていた。だけど今は(これが30代になってからだということ自体が情けなく恥ずかしい話なのだけど)次の人が現れてはいない状態でもダラダラし始めた男女関係に綺麗にケジメをつけられるようになった。
理由はひとつ。恋と恋とのあいだの一人で過ごす余白の時間が、次の最高の出会いを導くからだ。潔く誠実な態度は幸運を呼び寄せる。スピリチュアルな話ではない。これは、決して一度ではないラッキーすぎる実体験を繰り返して、私が悟ったひとつの事実。
孤独な夜には、不平不満を言うより愛する人に正直な言葉で手紙を書け
この連載をまとめた『目もと隠して、オトナのはなし』の出版にともない先輩や友達が愛あるコメントを寄せてくれた。本のラストに記した破局で疲れていた私は、インスタグラムで #お返事リリィ とハッシュタグをつくって17通のラブレターを書いた。ひと夏つかって、好きな人を想う気持ちを文字にして相手に伝える行為を続けたら、少しずつだけど本当に元気になっていったのだ。
自分の運気は自分であげられる。もちろん不運と幸運を切り替えるスイッチなんてものはないから、時間はかかる。でも、そんなに難しいことでもない。肌の調子を整えて、大好きな友達と大好きだと伝え合う。たったそれだけのことでも積み重ねていけば、少しずつ自分のことを好きになる。ちょうど先月のエッセイを書いていた頃はまだ心が疲れていたのに、今は良い予感で胸がいっぱい。
元気さえ取り戻したら、もう怖がることなんて何もない。ただ笑顔でこう思うだけ。「いい波、きてる。私、乗れる」
【Profile】LiLy/作家
作家。81年神奈川県出身。蠍座。N.Y.、フロリダでの海外生活を経て上智大学卒。著作多数。この連載からの最新刊『目もと隠して、オトナのはなし』(宝島社)が好評発売中!プライベートでは2児の母。
(otona MUSE編集部)
text : LiLy
illust : ekore
edit : Satoko Ishikawa[vivace], FASHION BOX
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