髪や肌にはお金も時間もかけるけど、外見ではわからない「口の健康」をおろそかにしていませんか? この先、何十年先の口内の健康は、カラダの転換期である50代でのメンテナンスが重要なのです。歯科医師の小川朗子先生にお話を伺いました。
≪目次≫
●大人世代の口の中の状態は?
●日本人は歯のメンテナンスのためにどのくらいの頻度で歯科に通っていますか?
●教えてくれたのは……小川朗子先生 プロフィール
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大人世代の口の中の状態は?
女性の口内の状態は、40代から変化が激しくなる、と小川朗子先生。
「年齢的に女性ホルモン、成長ホルモンの分泌が減り、コエンザイムQ10などの補酵素も不足します。顕著なのは唾液の量。加齢とともに減少し、70代には20代の半分以下になるといわれています。
実はホルモンや唾液の分泌量が減ると、口内の免疫力も低下。一気に口内老化が進行します」
例えば口臭や歯肉の腫れ・出血は、口内老化でみられる代表的な症状。また、根っこの部分の虫歯「根面虫歯」が増えるのも特徴だとか。
「加齢によって女性ホルモンの量が減ると、骨量もグッと減ります。すると歯やあごの骨だけでなく歯ぐきもやせていき、歯の根っこを覆う歯肉の位置がだんだん下がります。エナメル質で覆われた歯の表面と異なり、歯の根っこは柔らかく、歯垢がたまると虫歯になりやすい。しかも歯と歯のすき間や裏側などは、意識してブラッシングしないと、磨き残しが起きやすい位置。自分では気づかないうちに、虫歯が増えていきます」
口内老化の予防には、やはり毎日の歯磨きと定期的な歯科検診がとても大切、と小川先生。
「かぶせ物や義歯があると、日々の歯磨きだけではどうしても磨き残しが生じます。また、神経をとった歯は痛みを感じないため、根面虫歯や二次虫歯になっても気づきにくい。違和感がありレントゲンを撮ってみたら、大きな穴が開いていることもあります。神経のない歯はもろく欠けやすいので、根が割れたり、突然歯が折れたりすることもあります」
人生100年時代といわれる今、40代50代の私たちは、さらに40〜50年、今の歯を使って生きていかなくてはなりません。気になり始めた口臭に後がない大人の虫歯……。本当に、今からでも口内のアンチエイジングは間に合うの?
「大丈夫です。適切なケアと適切な治療で、口内トラブルは止められますし、口内環境もよくなっていきます。あまり悲観的にならず、まずは日々の歯みがきを見直すところから始めましょう」
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日本人は歯のメンテナンスのために
どのくらいの頻度で歯科に通っていますか?
歯科医の定期チェックを受けている人は全体の約6割。
メンテナンス頻度は、半年に1回以上(3か月に1回~半年に1回)が多い。
※調査データ ライオン提供 2019年 10~60代女性1600人
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教えてくれたのは……
アンチエイジングデンタルクリニック院長
小川朗子先生 プロフィール
歯科医師、抗加齢医学界認定専門医。アンチエイジングの考え方を歯科分野に取り入れ、若々しい口元作りを指導しながら、審美歯科、矯正歯科、予防歯科の診療を行う。
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photograph_Chifuyu Aizawa(biswa.)
illustration_Nagisa Hamada
text_Kyoko Nagashima
(大人のおしゃれ手帖 2020年6月号)
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