歯磨きの基本をマスター! 歯ブラシの正しい持ち方から素朴な疑問まで歯科医が伝授!

歯磨きの基本|歯ブラシの持ち方や磨き方など 歯茎から血が出てもOK?[歯科医 監修]

いくつになっても、自分の歯でおいしく、楽しく食事したいもの。そのためには、歯の健康が大切です。自分でできる身近なケアといえば歯磨き。100歳まで自分の歯を残すための秘訣をサイトウ歯科院長の齋藤博先生に聞きました。

自分の歯を残すためには、正しい歯磨きは必須です。

歯がぐらつく、歯茎が腫れる、歯周病が気になる……などの歯や歯茎の悩みが増えるのは60代からだと、歯科医の齋藤先生は言います。こうした悩みが悪化して、仕方なく歯を抜くという選択をしている人も少なくありません。
「1本の歯を失うと、ドミノ倒しのように次々と歯を失う可能性があります。1本も歯を失わないためには、歯を失う要因の約7割を占めるといわれる虫歯と歯周病の対策が必要となります。これらの原因となる細菌のかたまり“プラーク”をつくらないためには、普段の歯磨きが非常に重要です」

ケーキや甘いコーヒーなど、ショ糖を含むものを摂ると、口の中のミュータス菌という菌がショ糖を食べて、グルカン(デキストラン)というねばねばしたものを歯の表面に作ります。ここに口内のさまざまな菌が付着したものがプラーク(歯垢)です。食べかすとは異なります。
「プラークに含まれる乳酸菌群(ミュータス菌を含む)が作り出す乳酸によって歯が溶けていきます。これが虫歯の始まり。ただプラークはおかゆのようにとろっと柔らかいので、やさしく歯磨きをすれば取り除けます」

そこで重要になってくるのがプラークをしっかり取り除きながらも、歯や歯茎を傷めない歯磨きです。
「歯磨きが正しくできれば、虫歯や歯周病のリスクは圧倒的に低くなり、自分の歯を抜かずにいつまでも残せる可能性が出てきます。歯磨きは、プラークがたまりやすい歯と歯の間、歯と歯茎の間、食べ物を嚙む面の、3つのポイントのプラーク除去が大切です。適切に歯ブラシをあてて、振動させながらプラークを取り除きましょう。プラークが歯に付着してから虫歯や歯周病の原因になるまでに約24時間かかるといわれていますので、こうした丁寧な歯磨きは1日1回で十分です。丁寧に歯磨きをしても10分程度で完了します。これを一生続けることで、年齢を重ねても自分の歯でおいしく食べられるのです。今日から頑張ってみてください」

歯を磨く力は入れ過ぎない

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力を入れ過ぎると歯や歯茎がすり減って、虫歯や歯周病の原因になります。歯ブラシを歯茎にあてる強さは100〜150gで十分です。

ショ糖を摂った後すぐに磨けないときはうがいだけでも

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お菓子や加工食品に多く含まれるショ糖がプラークの原因に。すぐに歯磨きができないときは、うがいでショ糖を流しましょう。

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基本の歯磨き方法

長年の磨き方が実は間違っていることも! 基本の持ち方から見直してみましょう。

持ち方

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鉛筆を持つように、親指と人差し指で歯ブラシの柄を持ち中指で支えます。一度に磨く歯は2〜3本です。

基本のあて方

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歯ブラシを45度に傾けて、歯と歯茎の間に歯ブラシの毛先を差し込むようにしてあてます。

歯と歯茎の境目

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歯ブラシをあてたらゴシゴシと大きく毛先を動かさず、毛先を10回振動させるようにして磨きます。

歯と歯の間

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歯ブラシを歯に直角にあてて、毛先を10回ほど振動させます。毛先が歯と歯の間に入る感じがわかるので、その感じを確かめながら行いましょう。

歯の表面

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上下の歯の先を合わせ、小さな円を描くようにぐるぐると歯ブラシを動かしながら磨きます。

上の前歯の裏

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歯ブラシの柄を斜め下に傾け、毛先を歯の裏側にあてます。歯の根元から歯の先に向かって1本ずつ毛先を振動させて磨きます。

下の前歯の裏

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歯ブラシの柄を斜め上に向けて、歯の根元から歯の先に向かって1本ずつ、毛先を振動させるように磨きます。

いちばん奥の歯

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奥歯まで歯ブラシを入れたら歯ブラシの柄を少し上げます。毛先を歯の後ろ側にあてて振動させます。

嚙む面

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小刻みに10回ほど歯ブラシを前後に振動させます。嚙み合わせ面は、奥と手前の2回に分け、磨き残しがないように。

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歯磨きの素朴な疑問

歯医者さんによく寄せられる、疑問にお答えします。

Q. しっかり歯を磨くのは1日1回でもいい?

A. プラークが歯に付着して虫歯や歯周病の原因となるまで約24時間かかるので、丁寧な歯磨きは1日1回で十分です。ただし、食後には簡単な歯磨きを。

Q. 電動歯ブラシでもいいですか?

A. 私は電動歯ブラシをおすすめしていませんが、基本の歯磨きができるものであれば使用されても構いません。ただし、歯を摩耗させないように注意してください。

Q. 歯磨きの際、歯茎から血が出ます。磨いて大丈夫ですか?

A. 問題ありません。血が出るのは炎症が起こっている証拠です。歯磨きで炎症の原因を取り除けば、歯茎の腫れが引き、血も出なくなります

Q. 歯間ブラシやフロスは必要ですか?

A. 歯と歯の間の隙間が広い人は、歯間ブラシが必要です。フロスでプラークを取るのは難しいので、使う人は歯科医院で直接指導してもらいましょう。

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教えてくれたのは……

歯磨きの基本をマスター! 歯ブラシの正しい持ち方から素朴な疑問まで歯科医が伝授!

サイトウ歯科院長
齋藤 博先生

【PROFILE】
1977年「自分の歯を生涯使用してもらう」を目標に、東京・新宿駅南口で開業。現在に至る。著書に『100歳まで自分の歯を残す4つの方法』(講談社)がある。

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イラスト/macco
文/峯澤美絵
素敵なあの人 2020年12月号
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WEB編集/FASHION BOX

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