【法律Q&A】母に生活保護を受けてほしい! 失業中の娘に扶養義務がある!?|弁護士 監修【このミステリーがすごい!大賞『元彼の遺言状』】

切っても切れないのが親子の縁。だからこそ、関係がこじれると、当人同士では修復しづらいことも。そんなとき、頼りになるのが法律です。

今回は母子家庭で育った娘さんから、母親にまつわる相談が届きました。答えてくれるのは、第19回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作、『元彼の遺言状』の主人公・剣持麗子弁護士です。

 

Q.母親に生活保護を受けてもらいたい(無職・21歳)

“母のことで悩んでいます。
母ひとり、娘ひとりの母子家庭で育ちました。私が就職して家を出てからも、月数万円ずつ、母に生活費を送っています。しかし最近、私は体調を崩して失職してしまいました。失業保険をもらいながら、なんとか暮らしている状況なのですが、母から「仕送りをくれないと死んでしまう」「お前を育てるのにいくらかかったと思っているのか」「節約すれば少しくらい出せるだろ」と生活費をねだられています。母も私を育てるためにかなり苦労したのだろうと思うし、どうにかしてあげたい気持ちもあるのですが、私の暮らしも厳しいです。母だけでも生活保護を受けるとかできればいいのですが。親子の扶養義務(?)があるので、難しいと聞いたこともあります。どうにかならないでしょうか?”

 

A. まずは自分を大切に。ひとりで抱え込まないで(剣持麗子弁護士)

お母様の気持ちを考えると対応の難しさがあるだろうけど、まずは自分のことを大事にしてね。自分が大変なときは、お母様への仕送りは一旦やめよう。子供の親への扶養義務というのは、自分の生活を犠牲にしてでも全ての面倒を見る義務ではないの。余力のある範囲内で扶養すればいいことになっているから、あなた自身の生活が逼迫(ひっぱく)しているなら、お母様を扶養する義務はない。お母様自身に持病があるとか、働けない事情があって生活が困窮しているなら、生活保護を受けることが可能よ。生活困窮者のために自治体やNPO、弁護士などが相談窓口を開いていることが多いから、ネットで検索してみて、近くの窓口に相談しよう。

まずはあなた自身がひとりで抱え込まず、周りに頼っていこう。健闘を祈る!

※架空の相談事例を基にした法律相談コーナーです。実際の案件では、個別の事情により判断が異なることがあります。お困りの際は、気軽に弁護士に相談しましょう。きっと皆さんの力になってくれるはずです

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≪法律豆知識≫扶養義務もいろいろある!?

一口に扶養義務と言っても、配偶者や子供に対するものと、それ以外で内容が異なるのよ。配偶者や未成年の子供に対しては、自分と同じくらい生活レベルを維持する義務があるから、自分の生活費を削ってでも扶養しないといけないこともある。他方で、老年の親や兄弟姉妹に対しては、自分の社会的地位や収入などにふさわしい暮らしをした上で、それでも余力がある場合に、その余力の範囲で扶養すればいいことになっている。つまり、生活費を削ってまで扶養する義務はないということ。

もちろん、親族間の問題は、法律だけで割り切れないことも多いけど、デフォルトルールを理解しておくと、判断の助けになるかも。

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教えてくれたのは……

剣持麗子(けんもち・れいこ)/Profile

スゴ腕の弁護士
第19回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作『元彼の遺言状』の主人公。美人で気が強く、お金が大好き。小さなダイヤの婚約指輪を贈られて、「よくもカルティエでこんなに小さいダイヤが買えたわね」と突き返したことも。元彼が書いた奇妙な遺言状がきっかけで、知人から殺人犯に仕立て上げるように依頼されたり、元カノとして遺産相続のためにお屋敷に集められたりと、大忙し。さらに殺人事件に巻き込まれ……。
詳しくは『元彼の遺言状』で、どうぞ。

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『元彼の遺言状』あらすじ

『元彼の遺言状』
『元彼の遺言状』著者:新川帆立

「僕の全財産は、僕を殺した犯人に譲る」
奇妙な遺言状を残して、大手製薬会社の御曹司・森川栄治が亡くなった。学生時代に彼と三ヶ月だけ交際していた弁護士の剣持麗子は、犯人候補に名乗り出た栄治の友人の代理人として、森川家の主催する「犯人選考会」に参加することとなった。数百億円ともいわれる遺産の分け前を獲得すべく、剣持麗子は自らの依頼人を犯人に仕立て上げようと奔走する。
他方で、彼女は元カノの一人としても軽井沢の屋敷を譲り受けることになっていた。ところが、軽井沢を訪れて手続きを行ったその晩、くだんの遺書が保管されていた金庫が盗まれ、栄治の顧問弁護士であった町弁が何者かによって殺害されてしまう……。

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執筆:新川帆立(しんかわ・ほたて)/Profile

アメリカ合衆国テキサス州ダラス出身、宮崎県宮崎市育ち。東京大学法学部卒業。現在も弁護士として勤務。司法修習中に最高位戦日本プロ麻雀協会のプロテストに合格しプロ雀士としても活動経験あり。作家を志したきっかけは16歳のころ夏目漱石の『吾輩は猫である』に感銘を受けたこと。

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Q&A、法律豆知識の文・監修/新川帆立
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文・Web編集/FASHION BOX

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