［肩こり＆首こりストレッチ］四十肩の予防にも！ 整形外科医 監修

「痛い」を習慣にしない！ 大人の痛みケア

運動不足や加齢により、肩、腰、ひざなどに起こりやすい痛み。加えて冬は、冷えにより痛みを感じやすくなる傾向も。今回は整形外科医の中村格子先生に肩こりを解消するストレッチを教えてもらいました。痛みをあきらめず、快適な毎日が送れるよう対処しましょう。

痛みやこりが起きにくい一生はつらつといられる体に

「肩こり、腰痛は、日本人が抱える症状の1位、2位です。原因は運動不足、体重の変化、筋肉量の低下です」と、中村先生。

運動不足によって筋肉が落ち、それによって体重が増えると姿勢が変わって、体への負担が増える原因に。さらに、年齢とともにひざ軟骨がすり減るため、ひざ痛が起こりやすくなります。
「加えて、女性の場合は更年期症状との関連もあります。女性ホルモンの減少で、筋膜や腱鞘が硬くなって痛みが出やすくなるためです。指や手首、肘など、肩から下の症状が主で、その場合はホルモン補充療法が有効です」

筋力をつけようと過度な運動をするのは逆効果。痛みの場所に働きかける、「薬になるような」軽い動きでケアすることが大切。
「強いしびれや可動域（動かせる範囲）が制限されるまで放っておくと、リハビリにも時間がかかります。その前に、固まった筋肉と関節を伸ばす運動を始めましょう」

肩こりでもマッサージいらず!? 驚きの解消法を解説

大切なのは「脊椎」と「3大関節」

肩関節

肩からひじにかけての「上腕骨」と、胸骨と肩甲骨をつなぐ「鎖骨」、背中側にある「肩甲骨」の3つがつながる関節。

脊椎

合計24個の「椎骨」と、椎骨と椎骨の間の軟骨「椎間板」でできている。姿勢を保てるようにカーブを作る。

股関節

上半身と下半身をつなぎ、脚の前後左右や回転といった動きをスムーズに行うためにあるのが股関節。

ひざ関節

太ももの「大腿骨」、脛の「脛骨」、ひざのお皿の「膝蓋骨」、脛の外側の「腓骨」でできていて、体重を支える役割が。

こりや痛みの原因は、アンバランスな状態で関節を使うこと。特に、上記の3大関節と脊椎が本来あるべき位置からずれて、間違った荷重をかけ続けることで痛みが出ます。さらに、代謝が落ちる40～50代は筋肉が落ちる「筋肉枯れ」が発生しやすい状態。適度な脂肪は、見た目の若々しさにもつながり、健康のために大切ですが、脂肪がつきすぎると体のバランスが崩れ、痛みを引き起こしやすくなります。3大関節と脊椎を整えるストレッチが、痛みを解消する「薬」の役割を果たします。

肩こり・首こり／猫背によって起こる「前肩」は、痛みの原因

肩関節は可動域の大きな関節です。しかし、猫背を続けたり、加齢によっても可動域が小さくなり、筋肉が傷みます。特に、肩甲骨が前のめりになって肩が前に入る「前肩」になると、肩のインナーマッスルである「腱板」が狭いところで動くようになり、すれあって炎症を起こします。それを予防するために、肩と肩甲骨の柔軟性を高める運動をしましょう。

また、首は頭の重さで前傾しがち。パソコンを覗くときに、肩を丸めてあごを突き出すような姿勢をしていると、頭の重さに首と背中の筋肉が引っ張られて、首こり、肩こりの原因に。肩甲骨を引き上げるような気持ちで、日常から姿勢に注意しましょう。

四十肩・五十肩とは？

「前肩」の状態が長く続き、肩関節のクッションが摩擦によって炎症を起こすのが、四十肩や五十肩です。肩が痛くて上がらなくなるのが特徴ですが、レントゲンなどでは異常は見られず時間とともに徐々に改善します。しかし、長期間強く痛む場合は専門医に相談しましょう。

痛みがあるときのストレッチ

首

1. 首左右倒し

前を向いたまま、右手で左の後頭部を持ち、真横に倒して10秒キープ。背すじを伸ばし、肩を前に出さないよう注意。左右同様に。

2. 首横押し

右手に頭を押し付けて力を入れます。それに対抗して頭に力を入れ、押し合います。10秒キープ。左右同様に。

3. 首前押し

両手をおでこにあて、ぐっと力を入れます。それに対抗するように、おでこを前に倒すよう力を入れて押し合います。10秒キープ。

4. 首後ろ押し

両手を組んで後頭部にあて、ぐっと力を入れます。それに対抗するように頭を後ろに倒そうと力を入れて、押し合います。10秒キープ。

肩

後ろ手伸ばし

足を前に伸ばして座り、腕を肩幅に広げたまま後ろに伸ばします。気持ちよく伸びるところで、しばらくキープ。

いちばん痛みを感じるのはどこ？

更年期以降になると、首も肩も腰も辛いなど、複数箇所に同時に痛みやこりを感じる人も。痛みの感じ方は、実は自律神経の乱れが影響している場合があるので「いちばん痛いのはどこか」を考えて対処を始めてみましょう。

教えてくれたのは……中村格子先生

【PROFILE】
整形外科医、スポーツドクター。Dr. KAKUKOスポーツクリニック院長。臨床整形外科医として25年のキャリアを持ち、アスリートへの指導経験も豊富。著書に『究極のストレッチ』（日経BP）他多数。Dr.KAKUKOオンラインクラス開講中。 https://dr-kakuko.teachable.com/

illustration：Nagisa Hamada
text：Ema Tanaka
（大人のおしゃれ手帖 2021年1月号）

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web edit：FASHION BOX

公開日：2021.01.06