南果歩さん『大人のおしゃれ手帖』連載「I am Here!」
『大人のおしゃれ手帖』で連載中の南果歩さんの「I am Here!」。アメリカのドラマに挑戦している果歩さん。帰国の途につくなかで、今回の新しいチャレンジへの思いを綴ってくれました。
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【南果歩】「Make happy by myself」
2ヶ月に渡るアメリカのドラマの海外撮影がようやく終わり、帰国の途についています。
この巡り合わせをなんという言葉で表せば良いのでしょうか。これを運命と呼ばずしてなんと言えば良いのか。
まさか私にこんな機会が巡って来ようとは、数年前までは想像すらしていませんでした。
今回、長いオーディションを経て、この機会を得ました。
新人の頃は色んなオーディションを受けていましたし、デビュー作ももちろんオーディションでした。今はオファーを受けて作品に入ることがほとんどなので、なんだか新人時代に戻ったような気持ちです。
その役にあった人を選ぶのなら、オーディションは理にかなったシステムだと思います。俳優にとっても、いくつになってもチャンスがあると言うことですからね。
所変われば、現場では誰も私のことなど知りません。正に新人状態です。だからこそ、日々緊張の中であっても本当にやりがいがあり、役を通してスタッフやキャストの信頼を少しずつ得ていく喜びがありました。
4年前、自分が立っていた場所が突然崩れ落ちて、深い奈落の底に落ちたような、出口のない暗いトンネルに入り込んでいました。人生最悪の出来事。
そして離婚して3年、私は自分の人生をリセットした訳ですが、それでもまだ時折フラッシュバックに悩まされることがあります。自分の中ではまだまだすべてを消化しきれていないのでしょうね。本当に人生って一筋縄ではいかない。人の心のヒダヒダの間には色んな想いが潜んでいる。
それでも私は、手探りで歩き出しました。自分の本当の人生を見つけるために。
人間、やろうと思えば、何歳からでも人生をリスタートできるものだと分かりました。これは本当。いくつになっても絶対に遅いと言うことはない。
どこまで自分が行けるのか、それを自分で見てみたいと思えるようになるまでには、正直、相当な時間が必要でした。災いを絶対に転じて福となるように生きたい。そう思えるようになってきたから、今回の作品に出合えたのかもしれません。
そして一人になったからこそ、こうして新しいチャレンジに向かって行けたのでしょう。
単身で今までとはまったく違う環境に身を置いてみると、まだまだ経験していない「初めて」のことが私の前にやって来て、心がときめきます。
英語が飛び交う現場で、なり振り構わず必死で生きている自分が面白い。恥ずかしい思いも悔しい思いも心細さも全部が新鮮で、新しい場所に来なければ出会えなかった人、感じられなかったこと、見えなかったものが沢山あって、不器用ながらも新しい世界に飛び込む勇気を持った自分を褒めてあげたくなります。
もちろん一人なので、寂しさを感じないと言ったら嘘になるけれど、寂しさを突き抜けて孤独に至る、孤独を知ってこそ、本当の自分の姿が見えてくる。だから寂しいと思うことを辞めました。寂しいと感じたら、これは喜びを知るための大事な準備だと思って、思いっきり噛みしめる。そしてその寂しさを誤魔化さずに受け入れて、明日のことだけを考えます。
長い間、誰かのために何かをするということに幸福を感じ、それが自分の幸せだと信じていましたが、自分のことを後回しにして自分以外のことを最優先にし過ぎていたことにも気づきました。まずは自分が幸せにならなくちゃいけない。自分を大事にしなければいけない。
そして誰かに幸せにしてもらうのではなく、自分で自分を幸せにしようと思っています。
だって折角もらった命ですからね。本当にそう思っています。あの時、私の心は一度死んだ。でもこうして今、再び生かされている。だったらそれはもう人生を謳歌しなくちゃ! もちろん笑顔でね!
2ヶ月住んだので、街にもすっかり馴染んだ私です。
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PROFILE/南果歩(みなみ・かほ)
兵庫県出身。短大在学中に映画『伽倻子のために』(小栗康平監督、1984年)のヒロインオーディションに応募、主役に抜擢されてデビュー。第62回カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞した、ブリランテ・メンドーサ監督最新作『GENSAN PUNCH~(義足のボクサー)』(日本、フィリピン合作映画/邦題は仮)、ダニエル・デンシック監督『MISS OSAKA』(デンマーク・日本・ノルウェー合作映画)がそれぞれ今年公開予定。
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[南 果歩]愛犬のトイプードルとの出会いは? お婿さん選びに奔走
photograph:Takashi Noguchi(San Drago)
styling:Kuniko Sakamoto
hair & make-up:Keizo Kuroda(K Three)
(大人のおしゃれ手帖 2021年5月号)
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