南 果歩さん 『大人のおしゃれ手帖』連載「I am Here!」
『大人のおしゃれ手帖』で連載中の南果歩さんの「I am Here!」。今回は、愛犬シャンティーが恋をし、出産を経て、肝っ玉母さんになるまでを綴ってくれました。
↓前編はコチラ[南 果歩]愛犬のトイプードルとの出会いは? お婿さん選びに奔走
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シャンティーシャンティーシャンティー(後編)
愛犬シャンティーのお婿さん探し
愛犬シャンティーのお婿さん探しが始まった。
あくまでも人伝てにご縁を探すというアナログなやり方で。
まずは犬を飼っている友人知人に声をかけてみたけれど、みなさんペットを飼って間もない時期に手術を受けるのが一般的で、該当の犬は見つかりませんでした。
こうなったら遠くの親戚よりも近くの他人だと、ご近所に住む友人が不定期でやっているカフェに行って、ご近所の方々に情報収集することにしました。
そのカフェの近くに住んでいる獣医さんがランチを食べにいらっしゃり、手術を受けていないトイプードルの男の子はいないかと尋ねたところ、少し前に検診にきた可愛い男の子がいたという情報をゲットしたのです。
早速私の連絡先を飼い主さんに伝えてもらい、シャンティーは初デートに漕ぎ着けたのです。
ご近所に住むレオくんと距離は一気に縮まり……
シャンティーよりも年下で、1歳になったばかりのご近所に住むレオくん。
初回のお散歩デートはお互いに緊張していたのか、あまり関心を示さなかったけれど、2回目のお家デートから二人の距離は一気に縮まり、お互いを意識しながら走ったりじゃれ合ったり、見ていても微笑ましいくらいでした。
何度かデートを繰り返していると、レオくんはシャンティーの家に近づくと、飼い主さんの自転車のカゴから飛び出し、シャンティーの家を目掛けて一目散に駆け出すのだそう。
そしてシャンティーもレオ君が近づいてくると動物的な勘で察知して、声を出して玄関に向かうのです。ラブ! これを恋と呼ばずして何を恋と呼ぶのでしょうか。
そしていよいよ妊娠のタイミングのときにレオ君を預かってお泊まりとなりました。
相変わらず二人で仲よく遊んでいるなと、少しの間その場を離れて戻ってみると、誰に教えられたわけでもないのに、二人はドッキングしていたのです。ごめんなさい! 見ちゃいました。
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たくさんの赤ちゃんがシャンティーのお腹に
そしてめでたくご懐妊。
獣医さんの検診のエコーで、たくさんの赤ちゃんがお腹に宿っていることが判明しました。
トイプードルは2匹や3匹の出産が普通だと聞いていましたが、シャンティーは6匹もの赤ちゃんを産んだのです。
私はシャンティーの自宅出産に立ち会えなかったのですが、誰の力も借りずにすべての赤ちゃんが覆われていた膜を自分で食い破り、シャンティーは一匹一匹を大事に舐めてやっていました。
母は強し!
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母性の塊になって子育てに没頭
それからのシャンティーは、母性の塊になって子育てに没頭していました。とにかく6匹の赤ちゃんたちが四六時中おっぱいを欲しがり、誰かが必ずシャンティーにぶら下がっている状態が2か月ほど続き、シャンティーもすっかりやつれて毛並みも艶がなく、おっぱいはお婆さんのように垂れ下がっていました。
それでもシャンティーは一度も育児拒否をすることもなく、赤ちゃん達のために身を削って育てていました。それは見ていても美しく感動的な姿でした。
しかし6匹をそのまま育てられるはずもなく、乳離れした3か月頃に犬好きの友人達にもらってもらいました。
我が家に残ったのは、一番大きくて甘えん坊のヤンヤンと、生きていることが嬉しくて仕方ないジョイの、女子2匹でした。
3匹の暮らしにも慣れてきた生後8か月頃、娘が昔お世話になった、ご家族を立て続けに失った女性に是非ヤンヤンをもらってほしいと思ったのです。
その深い悲しみは誰にも共有できるものではないけれど、ヤンヤンがきっと新たな笑顔をもたらしてくれるはずだと。
3か月で手放した子犬達とはまた違う親心が私にも芽生えていて、ヤンヤンとの別れは涙が止まりませんでした。
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シャンティーとはサンスクリット語で平和、感謝という意味
あれから2年が経ち、シャンティーの子ども達はすくすくと幸せに暮らしています。そして一年に一度、お誕生日にはシャンティーファミリーが集います。
シャンティーとはサンスクリット語で平和、感謝という意味で、ヨガの後に自分にシャンティー、あなたにシャンティー、世界にシャンティーと3回唱えるところから名付けたのです。
そう! シャンティーは本当にシャンティーをもたらしてくれる犬なんです!
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南 果歩(Kaho Minami) プロフィール
兵庫県出身。短大在学中に映画『伽倻子のために』(小栗康平監督、1984年)のヒロインオーディションに応募、主役に抜擢されてデビュー。11月20日より主演映画『脳天パラダイス』が全国ロードショー。
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photograph_Takashi Noguchi[San Drago]
styling_Kuniko Sakamoto
hair & make-up_Keizo Kuroda[K Three]
文_南 果歩
(大人のおしゃれ手帖 2020年12月号)
web edit_FASHION BOX, Satoko Ishikawa[vivace]