折れない心で自分を守る! レジリエンスの育み方
自分の状態を知り、セルフケアでレジリエンスを引き出す
心の回復力のことを「レジリエンス」といいます。自分のレジリエンスを引き出すには、自身の状態を客観的に見つめ、気持ちをあるがままに受け止めること。また、緊張でこわばった体をほぐして、自然治癒力を活かすのも大切なんだとか。精神科医で臨床心理士の白川美也子先生がレジリエンスを育むセルフケアを教えてくれました。
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ストレスを受けているときの心の状態に気づいて
つらい体験で心の傷が残るとは、どういう状態でしょう。「人は、感情やものごとのとらえ方、人との付き合い方などをほどよく調節して暮らしています。けれど、トラウマの影響を受けると、それが難しくなります」。心の傷が残ると、嫌な記憶が不意によみがえったり、そうなりそうな状況を避けるようになります。さらに、感情が高ぶって寝つきが悪くなったり、集中力が落ちることも。結果的に、行動や考え方が制限される状態になるのです。その状態を脱するには、自分自身に何が起きているのか客観的にとらえ、気持ちと向き合ってみましょう。それによって、気分を調節することができるのです。
こんなふうになっていませんか?
□気持ちのコントロールが困難
感情は自分の状態を示すサイン。同時に思考や行動を変えることで感情を制御できます。しかし、大きなストレスがあると、そのコントロールが難しくなります。
□ネガティブな考え方
トラウマの状態になると、危険を避けようとして、人やものごとが以前より疑わしく見えてしまいます。自分や相手のありのままの姿をとらえられず、否定的になります。
□対人関係がうまくいかない
警戒心が高まると、信頼できる相手には無制限に受け入れてほしいと期待し、叶えられないと裏切られた気分に。感情を調節できないことで、対人関係にも障害が。
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レジリエンスを育むセルフケア
起こってしまったことは変えられないし、完全に忘れることはできませんが、思い出しても平気な状態になることはできます。そして、自分の価値を再び実感できるようになれば、それが回復です。今と「そのとき」を引き離して考える心のレッスンを。体の状態も、感情のコントロールには重要なので、リラクゼーション法も身につけておくといいでしょう。
YEメソッド
1:気持ちがわき上がってきたら、その出来事を「上から」見てみよう。
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2:自分のおなかや体の感覚に目を向けて、気持ちに気づく。
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3:体の感じと気持ちを分ける。その気持ちに向けて息を吸って、吐くことを3回行う。
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4:自分の最高の親友のように、その気持ちを「そうだよね。わかる、わかる」と全部丸ごと認める。
自分の気持ちと対話してみる。「だってだって……(気持ちが生じた理由)」「どうしてこんなふうになったんだろう……(状況がそうなった、こうなっている理由)」「そうなるまでに自分はどうしてきたのか(その状況にいたるまでの自分の行為とその理由)」などを、もうひとりの自分になって問いかけながら、心の中の話し合いを続ける。そして、その気持ちや考えを「そうだよね。わかる、わかる」と全部丸ごと認める。そうして、心の中の話し合いをくり返す。全部出尽くしたら「だったらこれからどうしようか?」と問いかけ、今後の対処について考えます。
↓
5:起きた出来事にもう一度目を向け、なぜ気持ちが動いたのか?について、自分の中で整理ができて、ひっかかりがなくなっているかどうか確認。
↓
6:おなかがあったかくなる感じがするとよい。
エネルギーワーカー山本ユキさんのメソッド。トラウマケアだけではなく、日常生活のトラブルで心をかき乱されたときも、このステップで自分の感情と体を切り離し、自分自身と対話しましょう。それによって考え方のくせにも気づき、回復は早まります。詳しくは「YEメソッド保存版」で検索。
筋リラクゼーション法
▲両手をぎゅっと握り、両手首を曲げ、背中に力を入れて腰を少し持ち上げる。顔もぎゅっと力を入れる。
▲体も顔もふわーっと力を抜く。
いやなことばかりを思い浮かべたり、不安でたまらないと、寝つきが悪くなりぐるぐる考えてしまいます。そういうときは、体が緊張して力が入り、力を抜こうとしてもうまくいかないので、一度体にぎゅーっと力を入れてから抜くこと。力が抜けると、楽しいイメージも浮かびやすくなります。
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教えてくれたのは……白川美也子(しらかわ・みやこ)先生
【PROFILE】
精神科医、臨床心理士。こころとからだ・光の花クリニック院長。被災者支援や、虐待、DV被害者の臨床支援に携わる。『トラウマのことがわかる本』(講談社)ほか著書多数。
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illustration:Hanako Yamada
edit & text:Hanako Yamamoto
(リンネル 2021年6月号)
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