[鬼滅の刃]煉獄杏寿郎は環境おもい!? 無限列車で駅弁を食べた後の行動に注目

[鬼滅の刃]煉獄杏寿郎は環境おもい!? 無限列車で駅弁を食べた後の行動に注目

マンガとアニメ作品が大ヒットし、映画化もされた『鬼滅の刃』(集英社)。主人公の竈門炭治郎(かまど・たんじろう)が、所属する鬼殺隊(きさつたい)の仲間とともに、鬼を退治する物語だ。

物語の舞台は大正時代だが、当時の日本社会には江戸時代以前の伝統や風習が根強く残っていた。さらに本作には炭治郎の祖先や鬼の視点を通して、平安時代や戦国時代のエピソードも盛り込まれている。物語に散りばめられた、これらのモチーフの歴史を理解することで、『鬼滅の刃』を読む楽しみが倍増するはずだ。

今回は劇場版『鬼滅の刃』無限列車編に登場した鬼殺隊の最強の剣士、「柱」の一人である煉獄杏寿郎(れんごく・きょうじゅろう)が作中で絶賛しながら食べていた「駅弁」の歴史を紹介しよう。

※本文にはネタバレを含む箇所があります。ご注意ください

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駅弁を「うまい!」を連呼しながら食べた煉獄杏寿郎。
食べ終えた後の行動は夏目漱石『三四郎』より道徳的

竈門炭治郎、我妻善逸(あがつま・ぜんいつ)、嘴平伊之助(はしびら・いのすけ)の3人が無限列車に乗り込むと、そこには駅弁を食べ「うまい!」を連呼する炎柱・煉獄杏寿郎がいた。

日本で初めて駅弁が登場したのは明治18年(1885)。日本初の私鉄である日本鉄道の大宮-宇都宮間が開業したとき、宇都宮の旅館・白木屋が宇都宮駅で弁当を売り始めたのが起源とされる。発売を開始した7月16日は「駅弁記念日」に制定されている。

現在は4000種類近くまで増え、おかずもバラエティ豊かな駅弁だが、最初の駅弁はおにぎり2個とたくあん2切れというシンプルなメニューだった。現在の折り詰めに入った形式の駅弁が登場したのは明治22年(1899)、まるか食堂が姫路駅で発売したのが始まりとされる。

駅弁には欠かせないお茶は、発売当初は土瓶で販売されていた。その後は改良を重ね、急須の形をしたものや小さな水筒型までさまざまな形の容器が開発されたが、結局は最初の土瓶に落ち着いた。ガラス製の茶瓶で提供された時期もあったが、熱が直接手に伝わるのであまり浸透しなかった。

当時はポイ捨てが日常茶飯事に行われており、夏目漱石の『三四郎』にも、主人公が食べ終えた弁当の折り箱を車窓から投げ捨てる描写がある。こうしたゴミ問題は、駅弁業者を大いに悩ませていた。

ちなみに『公式ファンブック』によると無限列車で杏寿郎が食べていた駅弁は牛鍋弁当で、その後描かれた駅弁の空箱を見ると少なくとも11個は食べたようだ。空箱はポイ捨てせずに、食堂車の給仕係と思われる女性たちによって片付けられている。

 

(抜粋)

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監修:小和田哲男、瀧音能之

 

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監修:小和田哲男(おわだ・てつお)

1944年、静岡県生まれ。1972年、早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。2009年3月、静岡大学を定年退職。静岡大学名誉教授。研究分野は日本中世史。著書に『お江と戦国武将の妻たち』(角川ソフィア文庫)、『呪術と占星の戦国史』(新潮選書)、『黒田如水』『明智光秀・秀満』(ともにミネルヴァ書房)、『名軍師ありて、名将あり』(NHK出版)、『黒田官兵衛 智謀の戦国軍師』(平凡社新書)、『家訓で読む戦国 組織論から人生哲学まで』(NHK出版新書)、『戦国武将の叡智』(中公新書)などがある。

 

監修:瀧音能之(たきおと・よしゆき)

1953年生まれ。駒澤大学文学部歴史学科教授。著書・監修書に『カラー改訂版 忘れてしまった高校の日本史を復習する本』(KADOKAWA)、『図説 出雲の神々と古代日本の謎』(青春出版社)、別冊宝島『古代史再検証 蘇我氏とは何か』『日本の古代史 飛鳥の謎を旅する』『ビジュアル版 奈良1300年地図帳』『完全図解 日本の古代史』『完全図解 邪馬台国と卑弥呼』、TJMOOK『最新学説で読み解く日本の古代史』(すべて宝島社)など多数。

 

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編集 青木康(杜出版株式会社)
執筆協力 青木康、五十嵐敬史、高野勝久、常井宏平
編集協力 小野瑛里子、阪井日向子

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