[鬼滅の刃]禰豆子は巫女!? 原作から読み解く禰豆子のシャーマン性

[鬼滅の刃]禰豆子は巫女!? 原作から読み解く禰豆子のシャーマン性

海外でも大ヒット中のマンガ『鬼滅の刃』(集英社)。大正時代を舞台に、主人公の竈門炭治郎(かまど・たんじろう)が、鬼になった妹の禰豆子(ねずこ)を救うため、鬼退治を行う物語だ。

『鬼滅の刃』の作中には、大正時代はもとより、江戸時代以前の平安時代や戦国時代のエピソードも盛り込まれている。日本のさまざまな歴史が物語の随所に描かれていることで、作品の奥深さが一層増しているのだ。作中のモチーフの歴史を学べば、『鬼滅の刃』の面白さも増すに違いない。

今回は、作中での禰豆子の姿を通して、日本の巫女(みこ)文化の歴史を解説しよう。

※本文にはネタバレを含む箇所があります。ご注意ください

 

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『鬼滅の刃』から学ぶ江戸時代の刑罰の歴史|追放刑、入れ墨刑、打ち首etc.

 

「一度鬼になって人間に戻った」!? 禰豆子は巫女?

すべての鬼の祖・鬼舞辻無惨(きぶつじ・むざん)の血を浴びて鬼になった禰豆子。だが血を分けられながらも、完全に鬼になることなく、人間としての自我を一部残した。さらに鬼の女医である珠世の投薬治療などによって、やがて完全に人間に戻ることができた。

このことから禰豆子には、神や死者に憑依されながら、再び自我を取り戻す巫女的な側面がうかがえる。現在、神社に奉仕する巫女は、神楽(かぐら)を奉納するなど神に仕える存在だが、古くは神託を得る神の依り代(よりしろ)としての役割もあり、「巫」には神合(かんな)ぎ=神懸かりの儀式という意味が含まれている。

巫を英訳してシャーマンとすることもある。神話や歴史のなかには、神懸かりして自らが軍を率いた神功(じんぐう)皇后、三重県伊勢市の伊勢神宮に仕えた斎王(さいおう)である嫥子(せんし)女王のように実際に神の言葉を聞き、託宣を下したと記録される巫女もいる。

現在の巫女にはそうしたシャーマン的な側面は薄く、神社の庶務を担当し神職をサポートする役職といった部分が大きい。

昨今は大きな神社などが巫女体験講座を開いたりする例も多く、経験するだけならば巫女になるハードルはそこまで高くないともいえる。巫女は多くの神社で赤い袴を着用しているが、これは緋袴(ひばかま)とよばれる伝統的な装束だ。宮中の女官も上が白、下が緋の衣装を用いてきたが、今の巫女が着用しているような履きやすいスタイルに改良されたのは明治時代といわれる。

第203話では鬼になりそうになった竈門炭治郎の意識に禰豆子が入り込み救っている。ここからも、禰豆子が人と人ならざる者との中間にいる巫女性がうかがえる。

 

(抜粋)

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監修:小和田哲男、瀧音能之

 

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監修:小和田哲男(おわだ・てつお)

1944年、静岡県生まれ。1972年、早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。2009年3月、静岡大学を定年退職。静岡大学名誉教授。研究分野は日本中世史。著書に『お江と戦国武将の妻たち』(角川ソフィア文庫)、『呪術と占星の戦国史』(新潮選書)、『黒田如水』『明智光秀・秀満』(ともにミネルヴァ書房)、『名軍師ありて、名将あり』(NHK出版)、『黒田官兵衛 智謀の戦国軍師』(平凡社新書)、『家訓で読む戦国 組織論から人生哲学まで』(NHK出版新書)、『戦国武将の叡智』(中公新書)などがある。

 

監修:瀧音能之(たきおと・よしゆき)

1953年生まれ。駒澤大学文学部歴史学科教授。著書・監修書に『カラー改訂版 忘れてしまった高校の日本史を復習する本』(KADOKAWA)、『図説 出雲の神々と古代日本の謎』(青春出版社)、別冊宝島『古代史再検証 蘇我氏とは何か』『日本の古代史 飛鳥の謎を旅する』『ビジュアル版 奈良1300年地図帳』『完全図解 日本の古代史』『完全図解 邪馬台国と卑弥呼』、TJMOOK『最新学説で読み解く日本の古代史』(すべて宝島社)など多数。

 

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編集 青木康(杜出版株式会社)
執筆協力 青木康、五十嵐敬史、高野勝久、常井宏平
編集協力 小野瑛里子、阪井日向子

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