[鬼滅の刃]胡蝶しのぶの衣装は“菱紋”の家紋がモチーフ? 意外な共通点を解説

[鬼滅の刃]胡蝶しのぶの衣装は“菱紋”の家紋がモチーフ? 意外な共通点を解説

アニメ化もされ、国民的人気作品となったマンガ『鬼滅の刃』(集英社)。大正時代を舞台に、主人公の竈門炭治郎(かまど・たんじろう)と、彼が所属する鬼殺隊(きさつたい)の仲間たちが、鬼退治を行う物語だ。

大正時代、日本には江戸時代以前の伝統やしきたりなどが、まだ色濃く残っていた。さらに『鬼滅の刃』の作中には大正時代のみならず、鬼や炭治郎の祖先の記憶を通して、平安時代や戦国時代のエピソードも盛り込まれている。『鬼滅の刃』の物語にちりばめられたモチーフから、日本の歴史を深掘りしてみよう。作品の背景への理解を深めれば、『鬼滅の刃』が何倍も楽しく読めるに違いない。

※本文にはネタバレを含む箇所があります。ご注意ください

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胡蝶しのぶの蝶柄の紋は“菱(ひし)紋”がモチーフ?

炭治郎とともに鬼殺隊で鬼と闘う登場人物、胡蝶(こちょう)しのぶ。彼女の衣装は蝶の羽のような柄をしている。このような伝統的な和柄はないが、最も近いのが菱紋である。

菱とは沼地やお堀などの水面にうかぶ水草のことで、いびつな四角形のような特徴的な葉を放射状に広げる。この葉、あるいはその実を図案化したのがひし形で、菱紋は最もスタンダードな家紋のひとつとして親しまれる。

菱紋の基本形は横長の平行四辺形をした単体のひし形で、「菱持ち」とよばれる。これを四つ組み合わせた「武田菱」は戦国武将・武田一族の家紋として特に有名だ。またひし形を3つ三角形に配した「寄せ三つ菱」は、三菱グループのマークとしてもおなじみ。これは三菱財閥の創業者・岩崎弥太郎(やたろう)が、旧藩主である土佐藩の山内家の三つ柏紋と岩崎家の三階菱を組み合わせてデザインしたものだといわれる。

菱紋は平行四辺形という単純な形をベースにするためバリエーションも多く、星型に組み合わせた「桔梗(ききょう)形五つ菱」、3つのひし形をキューブの立体図のように配した「三つ菱」といった家紋もある。清酒のブランドとしても有名な「剣菱」は、剣の図案化を4つあわせてひし形状にまとめたもの。花びらをひし形にアレンジした「花菱」といったおもしろい派生系も多い。

菱には古くから薬効があることが知られ、モルヒネのような鎮痛効果があるほか、がん細胞やウイルスと闘うインターフェロンの生成を促す働きがある。鬼舞辻無惨(きぶつじ・むざん)を倒すために鬼の女医・珠世とともに薬の研究を行ったしのぶにふさわしい紋様といえる。

 

(抜粋)

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監修:小和田哲男、瀧音能之

 

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監修:小和田哲男(おわだ・てつお)

1944年、静岡県生まれ。1972年、早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。2009年3月、静岡大学を定年退職。静岡大学名誉教授。研究分野は日本中世史。著書に『お江と戦国武将の妻たち』(角川ソフィア文庫)、『呪術と占星の戦国史』(新潮選書)、『黒田如水』『明智光秀・秀満』(ともにミネルヴァ書房)、『名軍師ありて、名将あり』(NHK出版)、『黒田官兵衛 智謀の戦国軍師』(平凡社新書)、『家訓で読む戦国 組織論から人生哲学まで』(NHK出版新書)、『戦国武将の叡智』(中公新書)などがある。

 

監修:瀧音能之(たきおと・よしゆき)

1953年生まれ。駒澤大学文学部歴史学科教授。著書・監修書に『カラー改訂版 忘れてしまった高校の日本史を復習する本』(KADOKAWA)、『図説 出雲の神々と古代日本の謎』(青春出版社)、別冊宝島『古代史再検証 蘇我氏とは何か』『日本の古代史 飛鳥の謎を旅する』『ビジュアル版 奈良1300年地図帳』『完全図解 日本の古代史』『完全図解 邪馬台国と卑弥呼』、TJMOOK『最新学説で読み解く日本の古代史』(すべて宝島社)など多数。

 

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編集 青木康(杜出版株式会社)
執筆協力 青木康、五十嵐敬史、高野勝久、常井宏平
編集協力 小野瑛里子、阪井日向子

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