父が愛人に多額の贈与!? 財産は取り戻せるの? 役立つ成年後見制度も併せて解説

物忘れのある高齢の父が愛人に財産を与えていた! 取り返す方法は? 成年後見制度って何?? [弁護士 監修]

仲の良い家族であっても、スムーズに進まないこともある「相続」。
場合によっては家族の関係を一変させてしまう恐れもあるため、なるべく事前にトラブルを防ぎたいものですよね。
相続といえば、当事者が他界した後の問題と思われがちですが、生前から対策しておいたほうがいいケースもあるようです。

そこで今回は、TJ MOOK『これで安心! いっきにわかる! 相続・贈与 最新版』から、父親が愛人に多額の贈与を行っていた事例を元に、対処法を解説します。

TJ MOOK『これで安心! いっきにわかる! 相続・贈与 最新版』

編著:中村麻美/監修:永澤英樹、隈本源太郎

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父が愛人に多額の贈与! 財産を取り戻せる?

判断能力が疑わしい父への対応は?

鈴木さん(仮名40歳)は、久しぶりに会った父の服装が急に派手になったことを不審に思っていました。母はすでに他界しています。その後、父は年下の女性と同居していることがわかりました。

また、鈴木さんから見たら愛人である女性に、父は相当の預金をあげてしまっているらしいのです。父に問いただしたところ、あげたことを覚えていないなど、かなり物忘れが激しくなっていることもわかりました。そんな父に代わって、鈴木さんが財産を取り戻すことはできるのでしょうか。

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覚えていない贈与は解消できる? 専門家からのアドバイスは……

覚えていない贈与は解消できる?
贈与が完了してしまっている場合、原則、解消はできない。

 

残念ながら、贈与が完了した部分は原則として解消できません。あげた本人である父親であっても、その子である鈴木さんであっても、解消することはできません。生前に自分の財産をどう処分するかは本人の自由ですが、認知症などで財産をだまし取られている恐れがあるならば、本人の望みに沿ってサポートを行う成年後見制度の利用を検討しましょう。

 

判断能力がない相続人を助ける! 成年後見制度とは?

成年後見制度とは?

成年後見制度とは、認知症などで判断能力が不十分になったときに、成年後見人がその人の生活をサポートしてくれるという制度です。たとえば、成年後見人は介護が必要な人には介護契約を、老人ホームへの入居が必要な人には入居契約を本人に代わって結びます。

また、その人が財産をだまし取られたりしないように財産管理をし、必要な生活費や通院費用などを本人に代わって支払うことなども行います。万が一、その人がだまされて不当な契約を結んでしまったときには、取り消すこともできるなど、被後見人(後見される人)の生活を守るために強力な権限を持ちます。相続では、他の相続人の思うがままにされないよう、本人のために遺産分割協議にも参加します。

成年後見人には、本人があらかじめ選んでおく任意後見制度と、すでに本人の判断能力が不十分になったときに利用できる法定後見制度の2種類があります。いずれも、家庭裁判所で審判手続きを行ってから成年後見人を選任するしくみになっています。

後見される人は贈与ができず、遺言書は無効になる!

成年後見人は本人に代わってさまざまな契約やサポートをしてくれますが、それはあくまで被後見人本人のため。したがって、本人の財産を贈与したり、寄付したりといったことは原則としてできません。

「本人が贈与を希望したときもできないの?」という疑問も浮かびますが、被後見人の判断能力が不十分で、「贈与する」という意思表示ができないため、贈与できない(※)のが原則です。

また、被後見人になった後の遺言書も原則として無効になります。「財産をだまし取られない」といった点では、被後見人をサポートする制度であるものの、本来あるはずの本人の権利を制限してしまうものでもあるわけです。「相続対策や贈与はいつでもできる」と、後回しにしているうちに、このように自分の意思では相続対策や贈与ができなくなってしまうこともあるのです。元気なうちに考えておきたいものですね。

※任意後見制度では、本人との契約に基づき贈与等が可能な場合もあります

 

こんな遺言書は効力なし!? 専門家に聞く相続Q&A

 

 

編著者 中村麻美(なかむら あさみ)/Profile

行政書士。シーズ行政書士事務所代表。相続、遺言をはじめ、お墓や葬儀の相談などライフエンディングステージの問題に幅広く対応。ファイナンシャルプランナー、宅建の資格も持ち、相談者目線のわかりやすい説明が好評を得ている。税理士、司法書士、弁護士など、他の専門家とのネットワークを生かし、ワンストップで問題を解決。著書に『おひとりさまの相続』(洋泉社)、共著書に『家族が亡くなった後の手続きと届け出事典』(ナツメ社)、『死んだあとのお金の話』(すばる舎)、『死後離婚』(洋泉社)などがある。
遺言・相続相談所 http://seeds-souzoku.com

 

監修 永澤英樹(ながさわ ひでき)/Profile

税理士・行政書士。永澤税理士事務所代表。東京・新宿で相続税専門の税理士事務所を運営。相続税申告を中心に、生前贈与や相続対策に力を注いでいる。司法書士、行政書士など、他の専門家とのネットワークを生かした円満な相続対策が好評を得ている。また、穏やかな人柄で相談がしやすい税理士として、たくさんの顧客の信頼を得ている。
相続税専門サイト http://www.nagasawa-office.com

 

監修 隈本源太郎(くまもと げんたろう)/Profile

弁護士。隈本源太郎法律事務所代表。東京・虎ノ門で、家事事件・民事事件・中小企業の顧問弁護士業務を中心に取り扱う法律事務所を運営。トラブル予防のアドバイスにも力を入れる。子どもや家庭に関わる問題には、ライフワークとして取り組んでおり、親身になったアドバイスで好評を得ている。
隈本源太郎法律事務所 http://www.kuma-so.net

 

(抜粋)

TJ MOOK『これで安心! いっきにわかる! 相続・贈与 最新版』

編著:中村麻美/監修:永澤英樹、隈本源太郎

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他人に聞けない
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[イラスト]瀬川尚志
[編集協力]PAQUET

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[WEB編集]FASHION BOX

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