綺麗の礎は品にあり 美と品格
『& ROSY』で連載中の「美と品格」。今回は俳優の満島ひかりさんが登場です。35歳を迎え、大人にならなきゃいけないと感じているという満島さん。幼少期のことから、これから目指す姿までたくさんお話ししてくれました。
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starring 満島ひかり“誰にも真似のできないオリジナルな人”
いつでも「アイラブハプニング」
絶対的な感覚派、凄まじい演技力、ずば抜けた天才肌。知らず知らずのうちに存在に心が奪われ、心が離れられなくなり、結果、翻弄される。それが、幼さが残るときから現在に至るまでずっとこの人を見てきた私達の「満島ひかり評」。この記事の表情にまた、不覚にも心を持っていかれたのは、きっと私だけじゃないはず。
「子供のころからずっと、どこか動物的な嗅覚を頼りに大人になってきている感じで。積み上げていくよりも迂回してぐるぐるのぼってゆく性分みたいなんですよね。型にはまるのを魂が嫌うというか、カッコつけたいのに、すぐふざけてしまうし。仕事だけでなく、日常生活でも『アイラブハプニング』で(笑)。もちろん健やかさあってこそなのですが、毎日どこかの瞬間に奇跡があるじゃないですか。私達の力が及ばないところにある『何か』と感覚をクロスさせて生きていることが、たまらなく好きなんです」
35歳なのだという。年齢という軸がこの人にはまったく見えないけれど「いよいよ、本当に大人にならなきゃいけないとき」と笑う。
「とは言え、ちゃんと積み重ねなくちゃいけない時期に入っちゃったなーって。いまもどこか、公園で遊ぶのに夢中で時間を忘れる子供のような感覚なんですよね。子供のころは、周りが『さあ、ご飯だから、帰るよ』と促してくれたからよかったんですが、いまはそれを自分でしなくちゃいけない。自律しなくちゃ、という感じです」
「大人にならなきゃ」が満島さんらしさを奪いはしないか。老婆心ながら、心配になった。それとなくその意図を聞くと……?
「いえいえ、魂の叫びを押し殺すなんて、絶対ありえない! 純なもの=野性的なひらめきを守るために必要だなと。それを常に晒していると、傷つけてばかりになるんですよね。大切だからこそ、開くときもあれば、閉じて休める時間もとってあげる、日向に出したり、日陰にしまったりといった具合に、自分でタイミングを計らなくちゃと身に染みたんです。それが私にとっての、大人になるということです」
納得させられた。大人の意味を捻じ曲げていたのは私達のほうだった、と。
幸せでいる人、すなわち自分を幸せにできる人
取材でヨルダンのシリア難民キャンプを訪れたことをきっかけに変わった。まわりにそう言われたのだという。
「お芝居をはじめた頃から、世界の街中の届かない気持ちを届けられる役者さんでありたいなと思っていたのですが。取材やお芝居の関係で、色んな国の多種多様な方々に出会ったり、普段の生活や仲間との、目まぐるしい体験を越えてゆく中で、さらに深く、誰かや何かの『声にならない声』であろうとしている感じがします。当たり前かもしれませんが、誰と仕事をするかで、微細に変わる人でありたいとも思っているんです。仕事でなくとも日々、沢山の才能に出会いますもんね。愛のある、いい影響を交わしていたいです。そこにある自然とか、相手の息遣いとか、偶然の一瞬をまるで探偵とか宝探しみたいに発見して、想像したり感じたり。それが、面白いんです」
そんな満島さんにとっての品格。
「……幸せでいることは、品格になるんじゃないかな。不幸なことがあって、復活するのに時間がかかっても、胸のうちに手を当てて噛み砕いて、最後には自分の人生の山や谷を深く、面白く感じられる。そんなふうに前向きで、表情が生き生きとしている人を見ると、いいものに触れて、いい人と出会ってきたんだろうなって思うんです。それと、マニアックなところですが(笑)、言葉の『母音』の音が素敵な方にも、品格を感じます。綺麗な言葉使いってワケでもなくて、その人ならではのおしゃべりの音が、場を彩ったりハッピーな気分にさせたり。そういった、隠れた個性の光るところに」
幸せでいること=自分を幸せにできることだと、満島さんは言った。ああ、まさに目の前にいるこの人のことに違いないと、改めて。
「いまの私はまだ、カラダとこころ、技術とのバランスにがむしゃらなところもあって、いつか余裕のある自分のまんまで、どの場にもいられるような人に成長できたらいいなあと思います。その人がいるだけで場の雰囲気がよくなるよねとか、この人が食事の場に来たら楽しくなるよねっていう風に、『笑われる人』に憧れるんです。夢中になっている子供やチャーミングな大人たちを見ると、理屈抜きに笑顔になる感じで。そのまんまで、偉そうな人にもならないで、生活も仕事もみんなと横並びの感覚でセッションし続けた先に、好きな自分も居たらいいです。私には、そんなことが大切なんだと……」
ここまで書いても、ごくごく一部でしかない。この人に触れるだけで私達の心の中にある「もっと」が溢れ出す。それが満島ひかりという人。
品格美人の日常
マンガやアニメにハマっています。発想豊かでドラマチックな日本の才能を感じるんです。
撮影時の夕焼け。大自然を撮影スタッフと共有することで仲間になっていく感覚に。
時々、音楽のレコーディングをしています。この間も素晴らしい音楽家の皆さんと「せーの」で録音。音楽は楽しい!
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PROFILE/満島ひかり(みつしま・ひかり)
1985年生まれ。1997年に音楽ユニット「Folder」でデビュー。その後は俳優業を中心に、歌い手、執筆、ナレーションなど多岐にわたって活動中。2022年に、映画「川っぺりムコリッタ」の公開、Netflix主演ドラマ『First Love 初恋』の配信予定。
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Direction & Photo:MAKOTO NAKAGAWA [CUBISM]
Text:CHITOSE MATSUMOTO
Styling:TOMOKO YASUNO
Hair & Make-up:KANAKO HOSHINO
Cooperation:HOPE&FLOWER
(& ROSY 2021年12月号)
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Web Edit:FASHION BOX