「結婚したいのに、できない」人が増えつつある、「生涯独身社会」日本。
結婚の妨げになっているのは、女性の社会進出が進んだからだと思われがちですが、別の理由があることもわかってきました。天野馨南子さんがデータと共に教えてくださいました。
教えてくれたのはこの方
天野馨南子(あまの・かなこ)
株式会社ニッセイ基礎研究所生活研究部准主任研究員。東京大学経済学部卒。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。1995年、日本生命保険相互会社入社。99年から同社シンクタンクに出向。専門分野は少子化対策・少子化に関する社会の諸問題。厚生労働省育児休業法関連調査等を経て結婚・出産。1児の母。不妊治療・長期の介護も経験。学際的な研究をモットーとし、くらしに必要な「正確な知識」を広めるための執筆・講演活動の傍ら、内閣府少子化対策関連有識者委員、地方自治体・法人会等の少子化対策・結婚支援データ活用アドバイザー等を務める。
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日本の「生涯未婚率」の実態
日本で増加している未婚化。いったい、日本における生涯未婚率はどのように推移しているのでしょうか。
生涯未婚率は、調査を実施した時点で「50歳の男女で、なおかつ、一度も結婚経験がない人の割合」を計算した統計上の指標になります。わかりやすく言い換えると、「一生涯独身である可能性が高い人の割合」です。国勢調査を基に推計され、国勢調査時点において50歳であった男女のうち一度も結婚歴のない男女の割合が計算されます。
高齢の方ほど、男性よりも女性の生涯未婚率のほうが高い、未婚化は女性の話、という印象を持っている方が少なくありません。「未婚化」といったキーワードを目にすると、「(男女雇用機会均等法が制定・施行された)1980年代以降、高学歴化した女性が社会進出するようになって、結婚しなくなったからだろう」と漠然とイメージする方も少なくないようです。世間では未婚化と言えば「女性の未婚化」を意味する傾向、イメージづけする傾向が強く、未婚化を題材にしたテレビドラマなどでも、独身中年キャリア女性と既婚の中年キャリア男性、といった役の組み合わせなど、女性の「おひとりさま」のイメージを強めるかのように描写されていたりします。
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しかし、日本の未婚化は、実は女性よりも男性に顕著に起こっている現象なのです。まずはこのことをデータでしっかりと確認したいと思います。
このデータからわかるように、1985年の国勢調査までは、男女ともに生涯未婚率が非常に低く、強いて言えば女性の生涯未婚率のほうがやや高い状況が続いていました。それが1990年の国勢調査になると、男性の生涯未婚率が急上昇を開始し、それ以降は男性の生涯未婚率が女性のそれを大きく上回り続けています。女性の生涯未婚率も2000年から上昇傾向にありますが、男性の上昇カーブには追いついていません。
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4人に1人の男性が50歳で婚歴なしという事実
直近の2015年国勢調査では、男性の生涯未婚率は24.2%、女性は14.9%となっています。表現を変えるならば、「日本の50歳男性の約4人に1人は一度も結婚経験がない」という状況です。これに対して女性は約7人に1人ですので、両者の生涯未婚率には大きな開きがあることがわかります。
2015年時点の50歳人口は男女ともに86万人です。ですので、この人口に生涯未婚率を掛けて単純計算してみると、女性約13万人に対して、男性は約21万人程度の生涯未婚者がいることがわかります。女性に比べて圧倒的に男性の生涯未婚者が多い、というのが日本の現状なのです。
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(抜粋)
宝島社新書『データで読み解く「生涯独身」社会』
https://tkj.jp/book/?cd=TD292537
著者:天野 馨南子
編集/FASHION BOX
(宝島社新書『データで読み解く「生涯独身」社会』)
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