現在、65歳以上の日本人の4人にひとりが、その前段階を含めて認知症にかかっているという説を聞いたことがありますか? 意外と若いうちから高確率でかかっていると知り、ショックを受けたかもしれませんね。そんな認知症の予防には、性ホルモンの働きが大切なのだとか。高雄病院理事長の江部康二先生に詳しくうかがいました。
≪目次≫
●男女ともに重要な性ホルモン。女性はアルツハイマー病になりやすい
●男性のほうが女性ホルモンが多い!?
●教えてくれたのは……
男女ともに重要な性ホルモン。女性はアルツハイマー病になりやすい
65歳以上の日本人のうち4人にひとりが、その前段階を含めて認知症にかかっているといわれている現在。なかでも、女性は男性のおよそ2.5倍もアルツハイマー病にかかりやすいということが明らかになっています。近年、その原因は「エストロゲン」の減少にあるいうことがわかってきました。
エストロゲンとは性ホルモンの一種で、別名「女性ホルモン」とも呼ばれています。卵巣で分泌され、女性らしい体のラインをつくったり、肌の潤いやハリを生み出したりすることで知られていますね。ほかにも抗酸化作用や脳の血流をよくする作用、さらにアルツハイマー病の原因とされるアミロイドβ(ベータ)(脳にたまるゴミ)ができるのを防ぎ、記憶をよくする作用があるのです。
このエストロゲンですが、20代から30代をピークに年々減少していき、閉経を迎えると、その量はガクンと減ってしまいます。減った分は副腎から分泌される少量のテストステロン(こちらは「男性ホルモン」と呼ばれています)をエストロゲンに変えてなんとか対応しようとします。しかし、70歳を過ぎるころにはほぼゼロになってしまうのです。エストロゲンは過剰に分泌されていると、乳がんや子宮がんなどのリスクを高めますが、分泌が少なくなると今度は認知症のリスクを高めてしまうのです。
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男性のほうが女性ホルモンが多い!?
いっぽう、男性にとっても性ホルモンは重要です。男性の体内で分泌されるテストステロンは、エストロゲンに変わって脳に働き、記憶を支える作用があります。もともと男性なので、テストステロンは豊富。エストロゲンもたくさんつくることができます。なんと50代の男女を比べると、じつは男性のほうが女性ホルモンをもっているという逆転現象が起きるほどなのです。男性もテストステロンが過剰に分泌されていると、前立腺(ぜんりつせん)がんなどのリスクを高めますが、分泌が少なくなると今度は認知症のリスクを高めてしまいます。よって、男性ホルモン、女性ホルモンともに認知症予防にとって大きなテーマといえるのです。
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教えてくれたのは……
江部康二 (えべ・こうじ)
【Profile】
1950年、京都府生まれ。京都市右京区・高雄病院理事長。数多くの臨床活動の中からダイエット、糖尿病克服に画期的な効果がある「糖質制限食」の体系を確立。ブログ『ドクター江部の糖尿病徒然日記』にて糖尿病や糖質制限食にまつわる情報を日々発信している。『「糖質オフ!」健康法 主食を抜けば生活習慣病は防げる!』(PHP文庫)、『内臓脂肪がストンと落ちる食事術』(ダイヤモンド社)など、多数の著書がある。
野菜ジュースは野菜の代わりになる? 偏食の子どもとの向き合い方|医師監修
(抜粋)
書籍『名医が考えた 認知症にならない最強の食事術』
著者/江部康二
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編集/株式会社クリエイティブ・スイート
編集協力/柚木崎寿久(オフィスゆきざき)
WEB編集/FASHION BOX
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