新型コロナの世界的パンデミックにより、相次いで中止が決定したスイスの時計見本市。しかし、そんな状況でも思った以上に今年の新作は豊富というのが率直な印象。しかもクロノグラフの人気は高く、レトロな復刻モデルからウルトラモダンな最先端モデルまで、各ブランドから実にバリエーションに富んだ新作ウォッチが登場しているのだ。今回は時計マスターの名畑政治さんと渋谷ヤスヒトさんが2020年、発表された新作モデルの中から「今年、最も注目する、オススメの一本」を教えてくれた。
≪目次≫
●時計好きをワクワクさせてくれる最新モデル
●名畑政治が “今” 最も気になるクロノグラフ
●渋谷ヤスヒトが “今” 最も気になるクロノグラフ
●教えてくれたのは……
時計好きをワクワクさせてくれる最新モデル
渋谷ヤスヒト(以下、渋谷) 機械式時計の中でも、クロノグラフは別格の存在。特別な魅力を感じます。
名畑政治(以下、名畑) クロノグラフのムーブメントを、普通の3針の腕時計のムーブメントと比べてみると、その複雑さ、美しさは一目瞭然。
渋谷 メカニズムの魅力全開ですね。
名畑 しかも、時間が計測できる。この特別感、ワクワク感、高揚感こそ、クロノグラフの魅力の源泉。
渋谷 他の時計は日付や時刻を合わせるぐらいしか操作はできませんが、クロノグラフはいつでも好きなときに、自分の手で操作して使える!
名畑 実際には、そんなに操作する場面はないけれど、それができるというだけで嬉しくなる。
渋谷 それに「計器感」というか「道具感」というか、持っていて嬉しくなるアイテムは他にないですよね。
名畑 意外に知られていないのは、クロノグラフはとても複雜な機構で、昔は贅沢なものだったということ。
渋谷 トゥールビヨンや永久カレンダーなどと同じ「複雑時計」で「高嶺の花」、憧れの存在だった。
名畑 ブライトリングを創業家から引き継いで復活させた故アーネスト・シュナイダー氏が「金無垢ケースのクロノグラフは、人生の節目に手に入れるメモリアルアイテムだった」と私に語ってくれたことを思い出します。
渋谷 それがこの数十年で、SSケースの「手が届く価格」のものになったわけで、今は幸せな時代ですね。
名畑 ところで、今年の春は新型コロナウイルスの影響で時計フェアがすべて中止になったのに、クロノグラフの新作がこれほど充実した年は珍しい。
渋谷 そしてNo.1トレンドは間違いなく「オールドスタイルの復刻」。
名畑 私が「注目の一本」に挙げたモンブランのこのモデルも、ツーインダイヤル、モノプッシャーで、しかも60万円台という驚きのリーズナブルさ。
渋谷 私が挙げたIWCの新作クロノグラフも、ツーインダイヤルの「クラシックスタイルの王道」。どちらも、ヴィンテージ感たっぷりです。
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名畑政治が “今” 最も気になるクロノグラフ
「使い込むほど味がでるノスタルジックな逸品」
ヴィンテージ・テイストが強いが、モンブラン・ウォッチのルーツである1930年代のミネルバ製ツーインダイヤル・クロノグラフに現代的解釈を加えたモデル。ケースはエイジングが楽しみなブロンズ合金。ベージュのNATOストラップは150年の歴史を誇るフランスのストラップ工房で製作された。世界限定1558本。
MONTBLANC(モンブラン)
モンブラン1858
モノプッシャー クロノグラフ
リミテッドエディション1858
¥614,000
問い合わせ先:モンブランコンタクトセンター 0120-39-4810
SPEC:ケース径42mm、10気圧防水、自動巻き、パワーリザーブ約48時間、ブロンズ合金ケース、ベージュNATOストラップ
<発想の源となった名作>
ベースとなったミネルバクロノグラフ。1930年代のキャリバー13.20を搭載し、ダイヤルには3時位置と9時位置にカウンターが配置される。
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渋谷ヤスヒトが “今” 最も気になるクロノグラフ
「クラシッククロノの定番が待望の自社ムーブ搭載モデルに」
伝統的なコラムホイールを採用! 1930年代、高精度の腕時計を求めるポルトガルの顧客のために、懐中時計のムーブメントを使うことで誕生した「ポルトギーゼ」。コレクションの中でも最も人気のクロノグラフが、伝統のスタイルはそのままに、待望の自社製ムーブメントを搭載して進化。針がブルースチールのタイプもある。
IWC(アイ・ダブリュー・シー)
ポルトギーゼ・クロノグラフ
¥795,000
問い合わせ先:IWC(アイ・ダブリュー・シー) 0120-05-1868
SPEC:ケース径41mm、3気圧防水、自動巻き、パワーリザーブ約46時間、SSケース、ブラック・アリゲーターストラップ
<新作は裏蓋にも注目>
シースルーケースバックからは、新しく搭載される自社キャリバー69355を鑑賞できる。
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教えてくれたのは……
名畑政治さん
【Profile】
1959年、東京都生まれ。1980年代半ばからライターとして活動開始。アウトドア、カメラ、ファッション、時計などの分野で豊富なコレクションをソースとして取材・執筆。1994年からスイス時計見本市の取材を欠かさず継続。
渋谷ヤスヒトさん
【Profile】
1962年、埼玉県生まれ。徳間書店で文芸編集者を経て月刊モノ情報誌『GoodsPress』編集部。副編集長を経て退社後、『エスクァイア日本版』編集部を経て独立。1995年からスイス時計見本市の取材を現在も継続中。
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文/名畑政治、渋谷ヤスヒト
撮影/木村武司
(MonoMaster 2020年8月号)
WEB編集/FASHION BOX
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