<ドリップ式コーヒーのおいしい淹れ方>自宅でプロの味を再現するコツをバリスタが伝授

[丸山珈琲流 ペーパードリップの淹れ方]バリスタの味を自宅で再現するワザ

ドリッパーにも違いあり! プロに教わるおいしいハンドドリップ術。

コーヒーの粉に湯を透過させて抽出するハンドドリップは奥深く、淹れる愉しさがあり、自分好みの味わいを探求する手法といえる。ドリッパーの形状によって、味が変化する、まさに“コーヒーの醍醐味”を体感すべく、最旬の淹れ方とドリッパーによる味わいの違いを丸山珈琲の商品企画ディレクターでバリスタの鈴木樹(すずきみき)さんに教示してもらった。

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豆本来の味わいを感じる手淹れの奥深さを堪能

<ドリップ式コーヒーのおいしい淹れ方>自宅でプロの味を再現するコツをバリスタが伝授

コーヒーの淹れ方には豆を湯に浸漬する“フレンチプレス”や空気圧を利用した“エアロプレス”など様々な方法があるが、挽いた豆をセットした、「ドリッパー」と呼ばれる器具に湯を注いで抽出するドリップ式は、器具を揃えやすく手順もシンプルなことから一般家庭でも広く親しまれている。だが、バリスタの鈴木樹さんは、ドリップ式の真価はその味わいにあるという。
「抽出法の分類で透過式と呼ばれるドリップ式コーヒーは、注いだお湯が長く停滞することなく豆と接触し、順次成分が抽出されます。コーヒー豆はお湯と接した瞬間に最も成分が抽出されるため、ドリップ式は他の手法に比べて抽出効率が抜群。豆の個性も愉しみながら好みの味わいを探求できます」

加えて鈴木さんは、酸味やキレ、コクや苦味といった味のコントロールがしやすい点も特徴として挙げる。
「ドリップ式はお湯の注ぎ方や時間などによって味わいが多様に変化します。工程にこだわることで、好みのテイストに調整することができるんです」

ドリップ式は簡便だが、他の方式では得難いコーヒーの“奥深さ”を堪能することができるのだ。この方式が浸透している由縁はこうしたポテンシャルの高さにあると鈴木さんは分析する。

ただ、工程の微妙な加減によって味が変化するということは、おいしさの“ストライクゾーン”を外す危険もあるということ。おいしく淹れるためには、一定の技術やセオリーが不可欠である。“難しそう……”とビギナーは怯みがちなところだが、鈴木さんの助言は意外にもシンプルで、明快である。
「まずは豆やお湯の量、時間を正確に計ることが重要です。プロセスを数値で把握していれば失敗した際の原因が明快となり、コントロールしやすくなります。また、おいしさを引き出すため、豆全体にお湯を浸透させ、抽出のムラを防ぐ配慮も必要です」

近年、産地や製法にこだわった“スペシャルティコーヒー”が市民権を得て、コーヒー豆全般の品質も向上。ドリップ式の淹れ方も進化しているという。そんな、最新の状況に即したおいしい淹れ方が下記のマニュアルだ。

ポイントを押さえれば、自宅で“バリスタの味”が再現できる。

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【丸山珈琲流】ペーパードリップの淹れ方

<TOOLS>

<ドリップ式コーヒーのおいしい淹れ方>自宅でプロの味を再現するコツをバリスタが伝授

基本となるのはドリッパーとフィルター(ドリッパーの純正品がベスト)、抽出したコーヒーを貯めるサーバー。湯を注ぐポットは湯量を調整しやすい細口の専用ポットが望ましい。コーヒー豆と湯量を量るスケールと、蒸らし、抽出時間を計るタイマーも必須。

フィルターを折って本体にセット

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フィルターの側辺と底辺、それぞれ2カ所の貼り合わせ部分を、ホールド性を高めるため互い違いの向きに折り、ドリッパーにセットする。

フィルターを湯通ししてパルプ臭を除去

<ドリップ式コーヒーのおいしい淹れ方>自宅でプロの味を再現するコツをバリスタが伝授

フィルターの紙のにおいがコーヒーに移るのを防ぐため、豆を入れる前に沸騰した湯を100mLほど注ぐ。器具を温める目的・効果も兼ねている。

軽く揺すって豆の表面を平坦にならす

<ドリップ式コーヒーのおいしい淹れ方>自宅でプロの味を再現するコツをバリスタが伝授

1カップ分の豆の目安は、基本的に中挽きの挽き目で12g。豆が偏っていると抽出にムラが生じて味わいが損なわれるため、ドリッパーを水平に動かし、ならす。

ゆっくりとお湯を注いで豆全体を蒸らす

<ドリップ式コーヒーのおいしい淹れ方>自宅でプロの味を再現するコツをバリスタが伝授

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焙煎したコーヒー豆はガスを含んでおり、抽出の妨げに。ガスを抜くため、お湯を全体に馴染むよう30mLほど注ぎ、1分間蒸らす。

抽出のメイン、2湯目をゆっくりと注ぐ

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50mLの湯を中心から外縁に、円を描くように注ぐ。無駄なく抽出するため、豆全体に湯が行き渡るように。温度は100℃近くでOK。

外周に溜まったコーヒー豆を揺すって中央に

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1分30秒後に3湯目、100mLを注ぐ。注ぐ前に1湯目で盛り上がり、外周に溜まった粉をドリッパーを揺すって中央に集める。

最後の一滴が落ち切るまで待つ

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3湯目を終えたら、抽出されたコーヒーが落ち切るまでドリッパーは外さない。均一に抽出し、素材のすべてを生かすのが丸山珈琲流だ。

抽出直後のコーヒーを“かく拌”

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2湯目と3湯目で抽出濃度が異なるため、ドリッパーを外した直後は濃度の偏りが生じている。スプーンでかく拌し、味わいを均一に。

<ドリップ式コーヒーのおいしい淹れ方>自宅でプロの味を再現するコツをバリスタが伝授
バレルアロマカップ ¥1,540、アロマカップソーサー ¥1,100/ともにORIGAMI 問い合わせ先:ケーアイ origami-kai.com

カップに注ぎ、完成。蒸らしを含めて計3回、180mLの湯を注ぎ、できあがりは(豆が水分を吸うので)160mL程度となる。抽出時間は3分が目安だ。

<POINT>

1:豆と湯の適量を守る
2:ペーパーを必ずリンス(湯通し)する
3:豆を均等に浸してすべてを使い切る

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教えてくれたのは……丸山珈琲 商品企画ディレクター/バリスタ 鈴木 樹さん

<ドリップ式コーヒーのおいしい淹れ方>自宅でプロの味を再現するコツをバリスタが伝授
丸山珈琲 商品企画ディレクター/バリスタ
鈴木 樹さん

【PROFILE】
パティシエを経て2008年にスペシャルティコーヒー専門店「丸山珈琲」に入社。バリスタを志し、2010年にバリスタの国内大会で優勝。以降同大会で通算3度優勝し、2017年の世界大会「ワールド バリスタ チャンピオンシップ」で準優勝。監修した『淹れる・選ぶ・楽しむ コーヒーのある暮らし』(池田書店・¥1,650)が発売中。

<ドリップ式コーヒーのおいしい淹れ方>自宅でプロの味を再現するコツをバリスタが伝授
『淹れる・選ぶ・楽しむ コーヒーのある暮らし』(池田書店・¥1,650)

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撮影/大村聡志
取材・文/川口哲郎
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MonoMaster 2021年5月号

WEB編集/FASHION BOX

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