舌でわかる病気のサインとは? タイプ別セルフ診断法を医師が解説

舌でわかる病気のサインとは? タイプ別セルフ診断法を医師が解説

なんとなく体調が悪いけれど病院に行くほどではない……。そんなとき、自分で対処できる方法が何かあると心強いですよね。
今回、ご紹介したいのが、「舌をみる」という方法です。実は「舌」は東洋医学では健康のバロメーターだといわれており、舌をみることで自分のからだの状態を知ることができます。
そこで東洋医学に詳しいドクターが、舌をみて体調を管理する方法についてお伝えします。

舌の色で健康状態がわかる! 6つのタイプ別診断でセルフチェック

 

「舌」は健康のバロメーター

「舌」は健康のバロメーター

鏡に向かって口をあければ、誰でも簡単に観察することができる「舌」。
意外かもしれませんが、舌は消化管の一部です。そのため舌の状態をみることで、同じく消化管である胃腸の状態を推測することができます。
古来より東洋医学では「舌診(ぜっしん)」という診察方法があり、健康状態をみるために、たくさんの経験が積み重ねられてきました。
その経験のおかげで、舌をみれば胃腸の状態だけでなく、水分や腸内細菌のバランス、自律神経の働き、冷えに弱いかどうかなど、今、からだがどんな状態にあるのかがわかるようになりました。
具体的には、舌の色、形、うるおい、あるいは舌苔(ぜったい)の色や厚みなどをみることで、からだの状態を診断します。
さらに、舌をみて自分がどんな「体質」なのかがわかれば、現在現れている不調を改善させるために、どのような漢方薬を使えばいいかということまでわかるのです。

 

あなたの「舌」はどのタイプ

あなたの「舌」はどのタイプ

それでは具体的に、舌の状態から体調・体質を読み解いていきましょう。ぜひ鏡やスマホの自撮りなどで、自分の舌の状態を確認してもらえればと思います。

水分をためこんでむくみがちな「歯痕舌(しこんぜつ)」タイプ

【歯痕舌タイプ:舌に歯の痕がついている】

舌の横側に歯の痕がついている場合は、舌が本来の大きさよりもむくんでいる証拠です。これを「歯痕舌(しこんぜつ)」といいます。
「歯痕舌」はからだ全体に余分な水分が入り込んでしまっている状態です。
対策は水分を摂り過ぎないようにするのはもちろん、水をためこむ塩分を控えることが大切です。余分な水分を外に出す働きのあるイモ類や果物などを食べるのもいいでしょう。

からだの中の水分のバランスを整える漢方薬としては「五苓散(ごれいさん)」があります。

 

胃腸が弱って冷えがちな「舌苔厚め」タイプ

【舌苔厚めタイプ:舌の中央が白い】

舌の中央部分をみてもらうと、うっすらと白い苔のようなものがみえることがあります。これを「舌苔(ぜったい)」といいます。

舌苔が非常に目立ってみえる場合がありますが、白くべったりと「舌苔」がついている人は、胃腸の働きが弱くなっている状態です。
そういう人は胃腸の働きが悪いのと同時に、からだが冷えていることも多いため、胃腸を整えながら温めていく対策が必要になります。

そんなときにオススメの漢方薬としては「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」があります。

なお、同じ舌苔厚めの場合でも、黄色くなっているときは暴飲暴食や高血圧や糖尿病などの生活習慣病が関わっていたり、黒くなっているときは抗生物質の使い過ぎなどで腸内細菌のバランスが崩れている可能性があります。

 

血液の循環が悪い「全体が紫色」タイプ

【全体が紫色タイプ:舌の血色が悪く紫色をしている】

健康な舌は赤に近い色ですが、赤というより紫色に近い場合は血液の循環が悪くなっていることを示しています。

また、舌先をのどの奥に向けて舌を巻くようにしてもらうと、舌の裏側がみえると思いますが、そこにボコボコした血管が見える場合、これも循環が悪くなっているサインです。

東洋医学的に血液の循環が悪くなっている状態のことを「瘀血(おけつ)」といいます。これは、からだがストレスを感じて血管が収縮し、繊細な場所の血流が真っ先に悪くなることで起こるといわれています。対策としては、ストレスの原因を見つけて、それを解消することです。

ストレスによって起こる「瘀血」を解消する漢方薬としては「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」があります。

漢方薬は不調の味方

漢方薬は不調の味方

さまざまな症状に効果が認められている漢方薬。自然の生薬を組み合わせているため、一般的には西洋薬よりも副作用が少ないといわれます。
漢方薬が得意なのは、もともとからだに備わっている「内なる治癒力」を高めること。体質そのものに働きかけるとともに、気の流れを整え自律神経を安定させ、心もからだも健やかな状態を目指します。
また「健康のために規則正しい生活や運動を毎日続けるのは大変……」という方でも、漢方薬なら自分の症状や体質に合うものを毎日飲み続けるだけなので、継続しやすい健康法といえます。

漢方薬は不調の味方

<舌の異常から選ぶことができるおすすめの漢方薬>

・五苓散(ごれいさん)
「歯根舌」がある場合におすすめです。
口の渇きがあったり、尿の量が少なかったりする方に効きやすい漢方薬です。
二日酔い、嘔吐、下痢、頭痛、めまいなどにも効果があります。

・補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
舌の苔が白くべったりとしていて舌の色が全体的に薄い人におすすめです。
比較的体力の低下した方向けで、胃腸のはたらきを整えて、手足のだるさ、食欲不振、風邪のあとの体力低下、多汗などの症状を改善します。

・桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
舌の色が全体に紫色調で、舌の裏にボコボコした血管が見える場合におすすめです。
体格がしっかりした人向けで、月経不順、月経困難、おりもの、頭痛、めまい、のぼせ、肩こり、冷え性などに効果があります。

ただし、効果が認められている漢方薬でも、その人に合っているか否かが重要なポイントです。合わないものを服用すると、効果が見込めないだけでなく、副作用が起こることもあります。服用前に、漢方に詳しい医師や薬剤師等に相談するようにしましょう。
最近では、オンライン上で症状と体質に合った漢方薬を選んでもらえる「あんしん漢方(オンラインAI漢方)」というサービスも登場しています。漢方薬局よりも手軽に相談できるので、利用してみるのもいいでしょう。
スマホから、漢方に精通した薬剤師への個別相談を気軽に申し込むことができますよ。

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「舌」をみてセルフケアをする習慣を

舌をよく観察すれば、健康に関するさまざまな情報を手に入れることができます。ちょっとしたチェックのコツを知るだけで健康管理に役立てることができ、大きな病気の予防にもつながります。
ぜひ舌をみて、あなたの健康管理に役立ててください。

 

教えてくれたのは……あんしん漢方 田頭秀悟

教えてくれたのは……あんしん漢方 田頭秀悟
田頭秀悟

【Profile】
医師
日本神経学会専門医、日本東洋医学専門医
内科全般、脳神経内科、漢方内科
オンライン診療専門クリニック「たがしゅうオンラインクリニック」院長

西洋医学の枠に捉われず、東洋医学は勿論、ホメオパシー、アロマテラピー、サプリメントなどの代替医療も駆使して患者さんの健康管理を遠方からサポートする。
理念は「『医者が患者を治す』から『患者が病気を治すの医者が手伝う』」。
根本的治療を施すことができる唯一の存在である患者本人が病気を克服するのを支える「主体的医療」の普及を目指している。
ブログ、ツイッター、YouTube、メルマガ、noteなど様々な媒体で患者自らが病気を治すために役立つ知識を発信中!

●あんしん漢方(オンラインAI漢方):https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/

 

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