生理前になると、些細なことでイライラしたり、家族に八つ当たりしたりしていませんか? 感情をうまくコントロールできなくなってしまうと、自分もまわりの人もどうしていいかわからず、つらいですよね。
そのイライラは、月経前症候群(Premenstrual Syndrome:PMS)の症状かもしれません。生理前は女性ホルモンの急激な減少により、ホルモンバランスが崩れてイライラなどの不調が出やすくなるといわれています。
この記事では、PMSのイライラの特徴や対処法についてご紹介します。対処法を身につけて、生理前も穏やかに過ごしましょう。
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抑えきれない「イライラ」はPMSの症状かも?
生理前にみられるイライラや眠気などの心身の不快症状のことを、PMSと呼びます。生理の3~10日くらい前にあらわれ、生理が始まると症状が軽快していくことが特徴です。
PMSにはさまざまな症状がありますが、なかでもイライラは、多くの女性が経験している症状です。
生理前になると感情が抑えきれず爆発してしまったり、些細なことで喧嘩になってしまったり……。そのような経験はないでしょうか?
普段の生活のなかでイライラしてしまうことは誰にでもありますが、生理前にとくにイライラの症状があらわれる場合は、PMSかもしれません。
PMSのイライラがひどくなるのはなぜ?
PMSの原因ははっきりとはわかっていませんが、女性ホルモンのバランスの乱れがかかわっていると考えられています。
生理前になると女性ホルモンが急激に減少し、脳内のホルモンや神経伝達物質の異常を引き起こして、イライラなどのさまざまな不調をもたらすと考えられているのです。
また、PMSの症状は、20代後半から30代にかけてピークを迎えることが多いといわれています。20代の女性では、乳房のはりや下腹部痛などのからだの症状が出やすく、30代では頭痛、疲れやすいなどの症状に加えて、イライラや不安などのこころの症状も出やすくなる傾向があります。
さらに、次のような方もPMSの症状が出やすいといわれています。
・真面目
・完璧主義
・負けず嫌い
・こだわりが強い
・生活が不規則
・出産経験がある
このような特徴のある方はストレスをためがちで、ストレスによって女性ホルモンが乱れやすくなっていると考えられます。
イライラを抑えて穏やかに過ごす秘訣とは?
普段からホルモンバランスを整えておくことで、PMS症状の軽減が期待できます。そこで、ホルモンバランスを整えるおすすめのセルフケアをご紹介します。
十分な睡眠をとろう
生理前だけでなく普段から十分な睡眠をとることが、ホルモンバランスを整えるのに効果的です。以下に、質のよい睡眠をとるためのポイントをご紹介します。
・朝日を浴びる
・夜は15分程度、湯船にゆっくりと浸かる
・喫煙、寝酒、カフェイン摂取は控える
・寝る前にリラックスタイムを楽しむ
・就寝前、スマホやパソコンは早めにOFFにする
寝る前のリラックスタイムには、ストレッチをする、音楽を聴くなど、自分に合った方法でゆったりと過ごしましょう。
PMSに効果的な栄養素を摂ろう
PMSの改善のために、食事はバランスよく、規則正しくとりましょう。加えて、PMS改善に役立つ栄養素を積極的に摂ることも大切です。
次の栄養素は、PMSのイライラに効果的だとされています。
タンパク質
タンパク質には、自律神経を整えるはたらきがあるといわれています。
<タンパク質が豊富な食品>
肉類、魚介類、卵類、大豆製品、乳製品など
マグネシウム
マグネシウムは、精神安定に効果的といわれています。
<マグネシウムが豊富な食品>
藻類、魚介類、穀類、野菜類、豆類、ナッツ類など
ビタミンC
ビタミンCは、ストレス予防効果が期待できます。
<ビタミンCが豊富な食品>
いちご、キウイ、グレープフルーツ、ジャガイモ、サツマイモ、ピーマン、ブロッコリー、キャベツなど
これらの栄養素を食事から十分に摂ることが難しい場合は、プロテインやサプリメントなどを活用するのもいいでしょう。
こまめにリラックスタイムをつくろう
ストレスはホルモンバランスを乱す原因になるため、日々ストレスを解消し、自律神経を整えることが大切です。生活のなかに、リラックスする時間を取り入れましょう。
こまめにリラックスタイムをつくると、ストレス予防や睡眠の質のアップにもつながりますよ。
<自律神経を整えるおすすめの方法>
・ゆったりとした音楽を聴く
・ハーブティーを飲む
・有酸素運動をする
・アロマテラピーを楽しむ
ノンカフェインのハーブティーは、就寝前に飲むのにぴったりです。とくに次のようなハーブが含まれたものは、PMSのイライラに効果的といわれています。
<PMSのイライラにおすすめのハーブ>
チェストベリー、カモミール、レモンバーム、ラズベリーリーフなど
ただし、妊娠中や授乳中の方、服用中の薬がある方などは、注意が必要なハーブもあるため、医師や薬剤師に相談しながら取り入れるようにしてください。
ホルモンバランスからくるイライラには漢方もおすすめ
「生理前はイライラだけでなく、肩こりや頭痛もひどくてつらい」
「生理前はイライラしてよく眠れない」
そんなお悩みをお持ちの方におすすめなのが、漢方薬です。
PMSの症状を悪化させる要因として、ストレスや生活習慣、体質などが考えられます。根本にそうした要因がある場合、体質からの改善が重要になります。
漢方薬で体質を改善していけば、PMS症状の根本的な解消を目指せます。
自然由来の成分からなる漢方薬ですが、医薬品として治療に用いることが産婦人科学会からも推奨されています。
毎月繰り返すPMSから解放されれば、いままでより楽しい時間を過ごすことができそうですよね。
「健康のために規則正しい生活や運動を毎日続けるのは大変……」という方でも、漢方薬なら自分の症状や体質に合うものを毎日飲み続けるだけなので、継続しやすい健康法といえます。
<生理前のイライラが気になる方におすすめの漢方薬2種>
漢方では、生理前は子宮に血液が蓄えられるため、気(き・生命エネルギー)、血(けつ・血液)、水(すい・血液以外の体液)のバランスが崩れて、PMSが起こると考えられています。
また、イライラしやすい方は、五臓のなかでも「気」を司る「肝」が異常亢進(こうしん)していると考えます。このようなことから、PMSのイライラには、次のような漢方薬がおすすめです。
加味逍遙散(かみしょうようさん):不安、肩こり、頭痛なども気になる方
「気」や「血」のめぐりを整えて、イライラや疲れを改善してくれます。
抑肝散(よくかんさん):不眠も気になる方
「肝」の高ぶりを抑えて、イライラや不眠を改善してくれます。
ただし、効果が認められている漢方薬でも、その人に合っているか否かが重要なポイントです。合わないものを服用すると、効果が見込めないだけでなく、副作用が起こることもあります。服用前に、漢方に詳しい医師や薬剤師等に相談するようにしましょう。
最近では、オンライン上で症状と体質に合った漢方薬を選んでもらえる「あんしん漢方(オンラインAI漢方)」というサービスも登場しています。スマホから、漢方に精通した薬剤師への個別相談を気軽に申し込むことができますよ。
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セルフケアを身につけて生理前でも自分らしく楽しく過ごしましょう
生理前のイライラは、自分にとってもまわりの人にとっても、つらい気持ちになってしまう症状です。
生理前のイライラには、生活習慣を見直して、ホルモンバランスの変化に負けないからだをつくることが大切です。普段から、十分に睡眠をとったり、PMSに効果的な栄養素を摂ったり、こまめにリラックスタイムをつくったりすることをおすすめします。
また、生理前に頭痛などのほかの症状も気になる場合や、体質から改善を目指したい方は、専門家に相談して漢方薬を取り入れるのもいいでしょう。
自分に合った対処法を見つけて、生理前でも自分らしく楽しく過ごしていきましょう。
教えてくれたのは……あんしん漢方 西里美咲
【Profile】
薬剤師
大学時代は生薬学研究室に所属し、美容成分の研究を行う。卒業後は製薬会社勤務、調剤薬局勤務を経て、現在は3人の子どもの育児に奮闘しながら執筆活動中。
自身の妊娠中や産後の不調を、漢方の服用と生活習慣の見直しにより改善できた経験から、漢方やセルフケアの効果を実感し、同じように不調に悩む女性をサポートしたいと考えている。
パーソナルリンパケアリスト資格所有。
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