「毎月排卵日を計算して妊活しているのに、なかなか妊娠できない……」
このようなお悩みをもつ方は多いと思います。基礎体温を測るなど、さまざまな努力をしているのに、それがなかなか実らないと、とてもつらいですよね。
そんなときは一度肩の力を抜いて、普段の生活をじっくり見直してみませんか? 実は、生活習慣は妊娠と密接に関係しており、生活習慣を改善することで妊娠につながる可能性があるのです。
この記事では、妊娠と生活習慣の関係や妊娠しやすい体づくりの方法、妊活におすすめの漢方薬についてご紹介します。ぜひ気持ちをラクにして、リラックスしながら心身を整えていきましょう。
[夫婦の妊活]何から始める?チェック項目を妊活の専門家がアドバイス
妊娠しやすいからだとは? 妊娠しにくくなる主な要因
妊娠しやすいからだとは、心身ともに健康で、月経周期やホルモンバランスが整っている状態のこと。排卵が規則的にあり、からだが妊娠に対応できる状態であれば、妊娠しやすいからだだといえるでしょう。
一方で、なかなか妊娠に至らない場合、からだが妊娠しにくい状態になってしまっている可能性があります。妊娠しにくい状態とは、例えば「排卵が不規則」「体温が低い」「子宮の血行が悪い」などです。
妊娠しにくくなる原因として、年齢、疾患、生活習慣などが挙げられます。年齢や疾患は自分ではコントロールできませんが、生活習慣であれば自分でも改善が可能です。
生活習慣を改善すればからだが妊娠しやすい状態となり、妊娠できる可能性が高まります。
以下に挙げるのは、妊娠しにくくなる主な原因です。
(1) 食生活の乱れ
(2) 運動不足
(3) 過度な飲酒
(4) 喫煙
(5) 過度なダイエットや肥満
(6) 睡眠不足
(7) ストレス
(8) からだの冷え
これらについて、なぜ不妊とつながってしまうのか、それぞれの理由をご紹介します。妊娠しにくいと感じている方は、当てはまる生活習慣がないかチェックしてみてください。
食生活の乱れ
不規則な食事や偏食は、ホルモンバランスの乱れにつながります。ホルモンバランスが乱れると月経や排卵のリズムも乱れ、妊娠しにくくなってしまいます。
運動不足
運動不足は血行不良や肥満、ストレスなどにつながり、生殖機能の低下を引き起こすといわれています。
過度な飲酒
過度な飲酒は妊娠率を低下させ、無月経などにもつながるといわれています。また、妊娠前や妊娠中の飲酒は、胎児の発達に悪影響を及ぼす可能性があります。
喫煙
喫煙は、卵巣の女性ホルモンの産生を抑制し、生殖機能の低下につながると考えられています。また、たとえ妊娠に至っても、喫煙者は非喫煙者と比べて流産や早産を招きやすくなるといわれています。
過度なダイエットや肥満
過度なダイエットや肥満は、月経不順や排卵障害につながる可能性があります。自分の適正体重を把握して、それを維持することが大切です。
睡眠不足
睡眠不足はからだや脳の疲労につながり、さまざまなホルモン分泌に悪影響を及ぼします。
ストレス
過度なストレスは、自律神経の乱れにつながり、月経不順や排卵障害を引き起こすといわれています。
からだの冷え
からだが冷えて血行が悪くなっていると、卵巣に酸素や栄養が十分に届かず、卵巣機能の低下につながります。
不妊につながる8つの要因をご紹介しました。これらはいずれも、日々の習慣と密接な関係にあります。自分の生活を見直し、からだを妊娠しやすい状態に導いていきましょう。
妊娠しやすい状態に導く生活習慣
次に、毎日の生活習慣で具体的にどんな点に気をつければいいのかをご紹介します。妊娠しやすいからだをつくるためには、次のような生活習慣を心がけましょう。
ストレスをためない
妊活中は、ストレスをためないことがとくに大切です。以下に、おすすめのストレス解消法をご紹介します。
<妊活中の方におすすめのストレス解消法>
・人とのコミュニケーションを楽しむ
・趣味や習い事を見つける
・リラックスタイムをつくる
・妊活のことを忘れてデートを楽しむ
妊活中は、自分が思っている以上に心身に大きな負担がかかっています。妊活を忘れる時間を意識的につくり、毎日を楽しく過ごすことで、自然と妊娠しやすいからだに近づけることができますよ。
適度な運動をする
適度な運動は、血行をよくして子宮の機能を高めるだけでなく、不妊の要因となるストレスの解消にも効果的です。適度な運動によって骨盤内の血行がよくなると、生殖器官のはたらきがよくなり妊娠しやすい状態になります。
妊活中は激しい運動よりも、無理なく続けられるような散歩やジョギング、ヨガ、ストレッチなどがおすすめです。
食事を規則正しくとる
過度なダイエットや肥満はホルモンバランスを乱すので、不妊につながります。1日3食を規則正しくとって、適正体重を目指しましょう。
また、過度な飲酒は控えるようにしましょう。
からだを冷やさない
妊活にはからだを冷やさないことが重要です。次のような習慣を身につけて、赤ちゃんがきたときに居心地がいいと感じてもらえるような、ぽかぽかのからだを手に入れましょう。
・湯船にゆっくりつかる
・水分は白湯か常温で適切な量をとる
・からだを温める食材を食べる
水には、血液をサラサラにして老廃物の排泄を促すはたらきがあります。しかし、過剰な水分はからだを冷やす原因になります。また、冷たい水分をとりすぎるのもよくありません。
水分をとる際は、1日に1.5リットル程度を目安に、白湯か常温の水を少しずつ飲むようにしましょう。
次のような、からだを温める食材をとることもおすすめです。
<からだを温める食材>
生姜、にんにく、唐辛子、ネギ、ニラ、シソ、根菜類、玉ねぎ、じゃがいも、かぼちゃ、ごま、りんご、ぶどう、さくらんぼ、ドライフルーツ、チーズ、納豆、ヨーグルト、キムチ、味噌、ココアなど
これらの食材は温野菜やスープなどで温かくして食べると、より効果的ですよ。
妊活への漢方の活用
妊活には、不妊治療でも使われている漢方薬を取り入れることもおすすめです。
漢方では、不妊の原因として「瘀血(おけつ・体が血行不良の状態)」が深く関係していると考えられています。瘀血の主な要因には、食生活や運動不足、ストレス、過労、冷えなどが挙げられます。
漢方では妊活に対し、次のような漢方薬が用いられます。いずれも瘀血を改善してからだを妊娠しやすい状態に整えてくれる漢方薬です。
<妊活におすすめの漢方薬>
・温経湯(うんけいとう):体力にあまり関係なく、冷え性の方
血行をよくして、からだを温めてくれます。また、ホルモンバランスを整えたり、皮膚の乾燥を改善したりする効果も期待できます。
・当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん):体力のない、冷え性で貧血傾向の方
血を補い、体内の余分な水を排出することで、からだを温めてくれます。「産婦人科の三大漢方薬」のひとつで、不妊症や月経異常など、さまざまな婦人科系疾患に用いられます。
・桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん):比較的体力があり、のぼせやすいのに足が冷える方
血行をよくして、気、水の流れを整え、瘀血症状を改善します。「産婦人科の三大漢方薬」のひとつで、子宮内膜症や月経異常などがあり、月経時に瘀血塊(レバー状の血の塊)が出る場合によく用いられます。
これらの漢方薬は、実際の医療現場でも、不妊症の治療に単独で用いられたり、西洋薬と併用されたりしています。
ただし、効果が認められている漢方薬でも、その人に合っているか否かが重要なポイントです。
合わないものを服用すると、効果が見込めないだけでなく、副作用が起こることもあります。服用前に、漢方に詳しい医師や薬剤師等に相談するようにしましょう。
最近では、症状と体質に合った漢方薬を漢方に精通した薬剤師に選んでもらえる「あんしん漢方(オンラインAI漢方)」という、AIを活用したオンライン相談サービスも登場しているので、利用してみるのもいいでしょう。
スマホから、専門家への個別相談を気軽に申し込むことができますよ。
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心身の健康を大切にして楽しく幸せな家庭を
妊活では心身の調子を整えることが、成功への近道になることがあります。生活習慣を見直したり、食事や漢方薬で体質を改善したりして、妊娠しやすいからだづくりを目指しましょう。
心身の状態が整えば、妊娠だけでなく、その後の安全な出産や生き生きとした毎日を送ることにもつながります。
ひとりで悩まずに、ぜひパートナーと一緒に楽しく妊活に取り組んでみてください。元気な赤ちゃんのためにも、「ふたりの心身の健康」を大切にして、楽しく幸せな家庭を準備しておきましょう!
教えてくれたのは……あんしん漢方 木村 眞樹子
【Profile】
医師
医学部を卒業後、循環器内科、内科、睡眠科として臨床に従事。
妊娠、出産を経て、産業医としても活動するなかで、病気にならないからだをつくること、予防医学、未病に関心がうまれ、東洋医学の勉強を始める。
臨床の場でも東洋医学を取り入れることで、治療の幅が広がることを感じ、西洋薬のメリットをいかしつつ漢方の処方も行う。
また、医療機関で患者の病気と向き合うだけでなく、医療に関わる人たちに情報を伝えることの重要性を感じ、webメディアで発信も行っている。
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