冬の食べすぎ&異常な眠気は“冬季うつ”かも!? 誰にも起こるウインターブルーを徹底解説[薬剤師 監修]

冬の食べすぎ&異常な眠気は“冬季うつ”かも!? 誰にも起こるウインターブルーを徹底解説[薬剤師 監修]

「冬になると、つい食べすぎてしまう……」
「朝なかなか布団から出られず、寝すぎてしまう……」

このようなお悩みのある方は、もしかしたら「冬季うつ(ウインターブルー)」の可能性があります。

冬季うつは、季節の変化によって引き起こされるうつの一種で、秋の終わりごろから冬にかけて、「過食」や「過眠」などの症状がみられることが特徴です。

冬季うつを放っておくと、美容や健康にさまざまなダメージをもたらすことがあるため、注意が必要です。

この記事では、冬季うつの症状やメカニズム、改善方法について詳しくご紹介します。

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冬の食べすぎ・異常な眠気は冬季うつかも?

まずは、冬季うつの症状とメカニズムについてご紹介します。

冬季うつ(ウインターブルー)の症状

冬季うつ(ウインターブルー)の症状

冬季うつは、季節の変化によって引き起こされるうつの一種です。秋の終わりごろから冬にかけて、次のような、一般的なうつの症状だけでなく、冬季うつ特有の症状がみられることが特徴です。

<一般的なうつと共通する冬季うつの症状>

・気分の落ち込み
・気力減退
・イライラ
・倦怠感
・物事を楽しめない

<冬季うつ特有の症状>

・過食
・過眠
・体重増加

一般的なうつでは、食欲・睡眠時間・体重は減少する傾向がありますが、冬季うつでは増加傾向がみられることが特徴です。
また、これらの症状のなかでも、とくに過食や過眠の症状が強くみられ、甘い物や炭水化物が異常に欲しくなったり、朝起きるのがとてもつらいと感じたりします。
しかし、いずれの症状も春になると軽快していくため、冬季うつの自覚がない方も多いようです。

 

過食や過眠が起こるメカニズム

過食や過眠が起こるメカニズム

冬季うつは、寒くなる時期に発症することや、高緯度地域における発症率が高いことから、「日照時間の短さ」が原因であると考えられています。

日照時間が短くなり、光の刺激が減ると、次のような体内ホルモンへの悪影響が生じると考えられています。
(1) メラトニン(睡眠ホルモン)
(2) セロトニン(幸せホルモン)
それぞれどのようなホルモンなのか、順番に見ていきましょう。

 

(1) メラトニン

メラトニンは体内時計を司るホルモンです。日照時間が短くなると、メラトニンが分泌されるタイミングや量が変化することで体内時計が乱れ、過眠につながるといわれています。

 

(2) セロトニン

光の刺激が減ると、セロトニンの分泌量が減少して、脳の活動が低下するといわれています。

セロトニンには精神や食欲を安定させる働きがあるため、不足してしまうと、精神が不安定になったり、過食になったりするのです。

セロトニンは甘いものを食べると増えるため、セロトニン不足の場合、チョコレートなどの甘いものへの欲求が、とくに高まりやすくなります。

冬は日照時間が短く、誰でもセロトニンが減少しがちになりますが、このような変化に敏感な方が、より冬季うつの症状を引き起こしやすくなります。

とくに近年では、テレワークの増加などでさらにこもりがちになり、冬季うつに陥りやすくなっているため注意が必要です。

 

冬季うつ対策は生活習慣の見直しが必須

冬季うつの症状の改善や軽減には、まず生活習慣を見直すことが大切です。次のような点を意識して過ごしてみましょう。

日光をしっかり浴びよう

日光をしっかり浴びよう

冬季うつに最も効果的なのは、日光をしっかりと浴びることです。10,000ルクス(曇りの日の屋外の明るさ程度)の光であれば、1時間程度浴びるのが効果的といわれています。

人工的な照明だけでは不十分なため、晴れた日は積極的に外に出たり、屋内であればなるべく南や東側の日当たりのいい部屋で過ごしたりしましょう。

とくに、朝日をしっかりと浴びると、体内時計がリセットされてリズムが整いますよ。

 

楽しく有酸素運動を取り入れよう

楽しく有酸素運動を取り入れよう

次のような、一定のリズムで行う有酸素運動は、セロトニンの分泌を促し、精神安定をもたらすといわれています。

<リズム運動の例>
・ウォーキング
・ジョギング
・サイクリング
・水泳
・昇降運動

このような一定のリズムで行う有酸素運動を、週に3~4日以上、1回30分~1時間程度行うのが理想的です。

まずは時間や頻度にあまりとらわれず、自分のペースで楽しみながら続けられる運動を見つけてみてくださいね。屋外で有酸素運動をすれば、日光も浴びられるので一石二鳥ですよ。

 

規則正しい生活を心がけよう

規則正しい生活を心がけよう

冬季うつには体内時計の乱れも深く関係していると考えられています。日照時間が短くなる冬は、体内時計が乱れることで、「時差ぼけ」のような状態になってしまいがちです。

できる限り就寝時間や起床時間を決めて、生活リズムを一定に保ちましょう。

 

冬季うつは内側からのケアも大切

冬季うつには、次のような方法で、からだの内側からケアすることもおすすめです。

トリプトファンが豊富な食材を摂ろう

トリプトファンが豊富な食材を摂ろう

セロトニンやメラトニンの原料となる「トリプトファン」を摂取することも、冬季うつに効果的といわれています。

トリプトファンは体内では生成されない「必須アミノ酸」であるため、食事からしっかりと摂りましょう。トリプトファンは以下の食材に豊富に含まれています。

<トリプトファンが豊富に含まれる食材>

・大豆製品
・乳製品
・卵
・ごま
・ピーナッツ
・バナナ など

バナナは、トリプトファンだけでなく、セロトニンの生成に必要なビタミンB6や、脳でセロトニン神経のエネルギー源となる炭水化物も含んでいるため、とくにおすすめです。

また、セロトニンやメラトニンの生成には、ビタミンやミネラルも必要であるため、1日3食をバランスよくとるようにしましょう。よく噛んで味わって食べることも、セロトニンを増やすことにつながりますよ。

漢方で心身を整えることもおすすめ

漢方で心身を整えることもおすすめ

基本的には日光を浴びたり生活習慣を改善したりすれば、冬季うつの症状の改善や軽減を図ることができますが、忙しい現代人にとっては、なかなか難しいこともありますよね。

そのような場合には、心身を整えてくれる漢方薬で、からだの内側からケアすることがおすすめです。自然由来の漢方薬は、ストレスによる精神や自律神経の乱れを整えることを得意としています。

漢方薬には、次のようなメリットがあります。
(1) 天然の生薬からできていて、一般的に副作用が少ないとされている
(2) 体質改善・根本改善を目的としている
(3) 食事節制や運動などの手間がない

冬季うつにお悩みの方には、次のような漢方薬がおすすめです。

<冬季うつに悩む方におすすめの漢方薬>

・補中益気湯(ほちゅうえっきとう):気力がわかず、だるくて疲れが取れない方に
胃腸の働きを整えて元気を補います。

・加味逍遙散(かみしょうようさん):下半身の冷えや上半身ののぼせ、精神不安も気になる方に
血(けつ)の巡りをよくして、のぼせや肩こり、イライラ、不安などさまざまな心身の不調を改善します。

・八味地黄丸(はちみじおうがん):下半身の冷えや腰の痛みなども気になる方に
からだを温めて、冷えに伴う痛みや、疲労・倦怠感などを改善します。

しかし、このような効果が認められている漢方薬でも、その人に合っているか否かが服用の際の重要なポイントです。

合わないものを服用すると、効果が見込めないだけでなく、副作用が起こることもあります。服用前に、漢方に詳しい医師や薬剤師に相談するようにしましょう。

最近では、症状と体質に合った漢方薬を漢方に精通した薬剤師に選んでもらえる「あんしん漢方(オンラインAI漢方)」という、AIを活用したオンライン相談サービスも登場しているので、利用してみるのもいいですね。

スマホから、専門家への個別相談を気軽に申し込むことができますよ。

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アクティブに冬を楽しみましょう

アクティブに冬を楽しみましょう

冬季うつは、過食や過眠などの症状によって美容や健康にダメージをもたらす、厄介な不調のひとつです。
冬季うつの改善には、生活習慣を見直したり、日光をしっかりと浴びたり、トリプトファンの豊富な食材を積極的に摂ったりして、からだの外側と内側の両方からケアすることがおすすめです。
また、専門家に相談して、漢方薬を取り入れるのもいいですね。
規則正しい生活を心がけて、アクティブに冬を楽しみましょう!

 

教えてくれたのは……あんしん漢方 竹田 由子

あんしん漢方 竹田 由子
竹田 由子

【Profile】
あんしん漢方(オンラインAI漢方)薬剤師 竹田 由子
薬剤師。元漢方・生薬認定薬剤師で薬膳漢方マイスター。
大学院で臨床薬学を専攻、病院で10年勤務、結婚後は調剤薬局勤務、ライターとしての活動も始める。「日常の不調はまず漢方」をモットーに生活を送る。腎機能低下を機に、月経痛への鎮痛剤使用量を漢方で減量成功した経験がある。病院時代の長いDI(ドラッグ・インフォメーション)経験を生かし、薬の面からわかりやすくサポートしたいと考えている。

●あんしん漢方(オンラインAI漢方):https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/

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