女性ホルモンがもたらす健康効果を医師が解説! 自律神経が安定・肌にハリ etc.

喫煙者は閉経が2年前倒し! 女性ホルモンを減らさないために[高尾美穂先生 監修]

自分のからだを知ることでもっと幸せに! 女性ホルモンの全て
自分のからだを知ることが自分を愛することに繋がります

女性の健康問題をテクノロジーで解決するという意味の「フェムテック」。女性特有のからだのしくみを深く知り、ヘルスリテラシーを高めることが自分を愛することに繋がります。まずは女性の一生を左右する「女性ホルモン」に関することを、女性のための統合ヘルスクリニックイーク表参道副院長の高尾美穂先生にお聞きしました。

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女性ホルモンは減らさないことが大事

女性ホルモンがもたらす健康効果を医師が解説! 自律神経が安定・肌にハリ etc.

女性ホルモンはズバリ、妊娠して出産するためのホルモン。けれど女性ホルモンの実力はこれだけにとどまりません。肌をぷるぷるに整え、髪をツヤやかにし、ウエストをくびれさせて魅力的な容姿を作って異性を引き寄せます。健康な母になるための準備にも抜かりがなく、血管や関節をしなやかにする、骨を丈夫に保つ、自律神経を安定させるなどのからだと心のケアも万全な存在です。
「様々な恩恵がある女性ホルモンは閉経まで分泌されますが、その量はごくわずか。東京ドームを水でいっぱいにしたところにスティックシュガー3本を溶かした程度の濃度とたとえられるくらいです。私たちは血液中のわずかな女性ホルモンをキャッチして全身に作用させることができる素晴らしいからだを持っています」(高尾先生)

これだけ恩恵があると女性ホルモンがゼロになる閉経後が心配に。増やすことは可能?
「閉経後も女性ホルモンはゼロにはならないので安心して。ただし、女性ホルモンを増やす方法はないので、減らさないようにすることが大事です。もっともダメージを与えるのはタバコ。喫煙者は2年前倒しで閉経することが分かっています。油脂を徹底的に避ける、ベジタリアン的な食生活で良質な脂質が不足する、動物性脂肪の取り過ぎといった極端な食生活も閉経を早めます。他にストレスや血流のめぐりが悪くなるほどの運動不足もよくありません」

生活習慣を見直すことが女性ホルモンにとってもいいんですね。
「まさにそう! 30代までは体力も女性ホルモンの分泌も安定しているので多少の無理がきくけれども40代になるころには明らかに変化が出てきます。すでに不調があるという人もまだまだ元気という人も真っ先に7〜9時間の睡眠を確保してみてください。忙しいのは分かりますが、日本人の睡眠時間は世界最短レベル。連休などに寝たいだけ寝てみると、自分はこんなに元気なんだとか、こんなに人に対して優しくなれるんだと気づくと思います。ストレスもやわらぐし、周囲の人達にもいい影響が出るはずです」

35歳のいま、すべきは人生プランを考えること

「35歳を過ぎると妊娠できる可能性が大きく落ちるので、出産について本気で考えたほうがいいですね。子供が欲しいならタイムリミットがあることを知っておかないと。無論パートナーや子供がいなくても自分が思い描くような人生にしていけると思います。どちらにしてもいえるのは、からだと心の調子がまあまあよくないと頑張れないということ。やりたいことに集中するには邪魔されないことが大事だから。生理痛やPMS、更年期などに邪魔されないためには健康でいられる生活習慣に整えていくことと、婦人科にかかる選択肢を持っていることが大事。いまはピンとこないかもしれないけれど、そのうち『昔は無理がきいたのに……』と思うときがきます。そのときに生活習慣を改めようと思ってほしいですね」

改めて重要なのが、生活習慣の見直しで健康になるということ。
「頑張るのは上手だけど休むのが苦手な人が多いということも知ってほしいですね。しっかり眠るとからだと心が休まります。がむしゃらに頑張ったとしても疲れ果てて継続できなければ最終ゴールまで到達できなくなることもあります。休み休み頑張るというよりは、人生サイクル、あるいは女性ホルモンのサイクルの中でここは頑張る、ここは休むといったチューニング作業が大切なんじゃないかと思います」

女性の一生を左右する 「女性ホルモン」と「生理」のQ&A

女性ホルモンと生理のこと、ちゃんと知っていますか? いまさら聞きにくい疑問について高尾先生が解説してくださいました。

Q:そもそもホルモンって何?

A:生命を維持する情報伝達物質です
血液の流れに乗って運ばれる微量の液体で、ホルモンの種類によってはたらく場所が決まっています。脳の命令によってホルモンが作られていて、自分の意思で増やしたり減らしたりすることはできません。

Q:幸せを感じるホルモンがあるってほんと?

A:オキシトシンは愛情のホルモン
■オキシトシン
■セロトニン
■ドーパミン

授乳時に分泌されるオキシトシンは気持ちを安定させ、愛情を感じさせます。ハグや握手、セルフハグでも出るといわれています。セロトニンとドーパミンは神経伝達物質で幸福感や気持ちの安定、やる気に関わります。

Q:ストレスホルモン「コルチゾール」が増えるとどうなるの?

A:頭の中がごちゃごちゃしてきます(とにかく眠ることが大事!)
コルチゾールは本来、からだのリズムを作り、からだを起動するために必要なもの。朝、目がさめるのはコルチゾールのおかげです。自力でおさえることはできませんが、しっかり眠ると適正量が分泌されやすくなります。

Q:女性ホルモンって何?

A:妊娠に関わる2つのホルモンのこと

女性ホルモンがもたらす健康効果を医師が解説! 自律神経が安定・肌にハリ etc.

エストロゲンはオスを惹きつけて健康を保ち、プロゲステロンは妊娠を助け、妊娠を持続させます。生理前はプロゲステロンの作用で、むくみや体重増加、頭痛、便秘などのPMS症状が起きる人が多いです。

Q:女性ホルモンって増やせるの?

A:自力で増やすことはできません
女性ホルモンに限らず、ホルモンは脳と臓器が私達の知らないところで自動的にやり取りをして分泌されます。“女性ホルモンを増やす”というのは、女性ホルモンを減らさないためにできることをすることです。

Q:女性ホルモンの恩恵って?

A:
美しさ、脳のはたらき、骨や血管など美と健康の全てに女性ホルモンが関与しています。閉経前の女性が生活習慣病にかかりにくいのも女性ホルモンのおかげ。

女性ホルモンがもたらす健康効果を医師が解説! 自律神経が安定・肌にハリ etc.

□ハリのある肌作り
□自律神経を安定させる
□血管・関節を柔軟に保つ
□骨を強くする
□脳の機能を維持
□髪の毛の太さと密度の維持
□妊娠を可能にする
□コレステロール値の調整

Q:女性ホルモンが多過ぎるとどうなるの?

A:35歳なら深刻な問題ではない
排卵・妊娠しにくい、子宮内膜増殖症、子宮がん、乳がんなどの心配はありますが、誰にでも起こり得るので定期的にチェックすることが大事。ちなみに正確な基礎値を知るには生理が始まってから3〜7日目に採血します。

Q:ストレスがかかると女性ホルモンって減るの?

A:過度なストレスは減らす可能性も
心にかかるストレスだけでなく、無理なダイエットや激しいスポーツのやり過ぎでからだにストレスがかかると生理が止まることが知られています。細かなことまでははっきり分かりませんが悪影響を与えるのは確かです。

Q:男性ホルモンって何?

A:
男性らしさをつくるテストステロンなどの総称。加齢に伴ってゆるやかに減少するので生殖能力に期限はないものの、減少幅には個人差が。

女性ホルモンがもたらす健康効果を医師が解説! 自律神経が安定・肌にハリ etc.

□筋肉や骨を強くする
□性機能を保つ
□男らしいからだつきに
□認知力を支える

Q:ホルモンバランスって何? 自分で整えられるの?

A:2つのホルモンが周期的に分泌されること
バランスが取れていれば25〜38日周期で生理がくるのが正常。バランスが崩れると心身に影響が出ることも。睡眠や食事、運動などの生活習慣を見直し、ストレスを軽減することで整いやすくなる。

Q:こんなに恩恵のある女性ホルモンが減るとどうなるの?

A:様々な症状が出てくる

女性ホルモンがもたらす健康効果を医師が解説! 自律神経が安定・肌にハリ etc.

閉経に向かって女性ホルモンが減っていくのに伴って生理不順やホットフラッシュ、イライラ、不眠、腰痛などの症状が出てくることが。血圧やコレステロール値が高くなるので様々な病気にも注意が必要です。

Q:女性ホルモンが減ってきたサインはどう出るの?

A:生理周期の乱れが最大のサイン
同じ周期できていた生理が何カ月もこなかったり、次の生理までの間隔が短くなったり。あるいは経血量が増える、減るのは更年期の入り口に立ったサイン。自分で把握するために記録をつけておくといいですよ。

Q:女性ホルモンの減少に備えていまからできることは?

A:サプリと膣トレでバックアップ

大豆製品、エクオール含有のサプリで補給
大豆由来の「エクオール」という成分が、女性ホルモンと似たはたらきをすることが分かっています。少々の不調なら改善することも。

骨盤底筋エクササイズ、膣ケア

女性ホルモンがもたらす健康効果を医師が解説! 自律神経が安定・肌にハリ etc.
からだを動かすとホルモンが全身をめぐる

閉経前後には膣の潤いがなくなって性交痛を感じたり、骨盤底筋が弱って尿もれに悩むことも。困る前に先まわりのケアがオススメです。

Q:女性ホルモンが完全にゼロになるとどうなる?

A:ゼロになることはありません

女性ホルモンがもたらす健康効果を医師が解説! 自律神経が安定・肌にハリ etc.
頭を空っぽにして脳を休めることも必要

閉経すると卵巣から出ていたエストロゲンはほぼなくなりますが、副腎という臓器や、脂肪細胞がコレステロールに変化して、コレステロールからエストロゲンが作られます。量はかなり減りますがゼロにはなりません。

Q:最近、生理の乱れ、不正出血が増えたけど大丈夫?

A:婦人科で適切な診断を受けよう
年に1回、婦人科チェックをしているでしょうか? 子宮頸がん検診と膣からプローブを入れて行うエコー(超音波)検査の2つが婦人科で大事な検査です。この2つを受けていて問題ないなら大丈夫。婦人科のエコーは内科の聴診器みたいなもので、診断に必要な情報の多くを得るために必要なものです。エコー検査を受けないと相談しても正しい診断は受けられません。

Q:VIO脱毛したほうが生理のときに清潔な気がします。脱毛したほうがいい?

A:してもしなくても問題なし
外陰部の毛は大事な場所を守るためともいわれますが、誰もがショーツをはく現代ではどちらでもいいと思います。IとOを処理すると排泄物がつかないのでスッキリするでしょうし。ただ、自分で抜いたり剃ったりしたあとに毛嚢炎になることもありますよ。

Q:出血が少な過ぎるのはおかしい?

A:無排卵の月経の可能性あり
そこまでは心配ありませんが、唯一問題なのは無排卵の月経です。生理周期は25〜38日が正常なので、25日よりはるかに短いか38日よりはるかに長くて、しかも量が少ない場合は排卵していない可能性があります。無排卵かな?と思ったら毎朝基礎体温を測って、数カ月分を記録したものを持って婦人科へ。基礎体温の変動から排卵状況が分かります。

Q:出血が多過ぎるのは大丈夫?

A:異常だと思って婦人科を受診すべき
出血量が多いとか最近増えた、あるいはレバーのような塊が混じっている場合は、婦人科へ。子宮内膜ポリープ、内側に飛び出しているような子宮筋腫、子宮の壁が分厚くなる子宮腺筋症のうちのどれかが見つかる可能性が高いと思います。生理中は白いズボンがはけない、昼間に夜用ナプキンを使っているなどなら量は多いといえます。

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教えてくれたのは……女性のための統合ヘルスクリニックイーク表参道 副院長 高尾美穂先生

女性ホルモンがもたらす健康効果を医師が解説! 自律神経が安定・肌にハリ etc.
女性のための統合ヘルスクリニックイーク表参道
副院長 高尾美穂先生

【PROFILE】
stand.fm「高尾美穂からのリアルボイス」が大人気。『生理周期に合わせてやせる! 超効率的フェムテックダイエット』(池田書店)を12月に上梓。

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illust:YASUKO SAKURAI
text:TOMOKO KUROKAWA
& ROSY 2022年3月号

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web edit:FASHION BOX

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