放っておくと怖い目の病気と対策
「ものがボヤけて見える」「目がかすむ」など、『素敵なあの人』世代の多くの人が感じている目の症状は、思わぬ病気につながる可能性大。いつまでも目の健康を保つために、症状について理解を深めましょう。二本松眼科病院副院長の平松類先生にお話をお聞きしました。
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60代に増える症状と病気
健やかな毎日のために目の健康寿命をのばす
「目の寿命は一般的に70歳くらいまでといわれています」と話すのは、眼科専門医の平松類先生。目を酷使した生活を続け、いたわることなくなにもケアせずにいると、いろいろな病気を発症する可能性が高くなります。
「60代の方が発症しやすい目の病気で代表的なのは、緑内障と白内障、加齢黄斑変性(かれいおうはんへんせい)です。特に緑内障を発症する割合は、40代だと20人にひとりですが70代になると10人にひとりといわれています。白内障は60代で約70%の人が発症し、加齢黄斑変性は50代から発症し始め、60代になると急増します」
さらに、コロナ禍により、現代病ともいえる症状に悩まされている人も増えているそう。
「いまは60代の多くの方がスマートフォンを持っていると思いますが、自宅で過ごす時間が増えて動画を見る時間も増え、眼精疲労を引き起こしている方も。眼精疲労は頭痛など目以外の体調不良につながるので、要注意。また、女性はドライアイになりやすいですね。目に潤いを与えるのが涙ですが、その涙は水と油が混ざってできていて、油があるから被膜ができて目が乾きにくくなります。その油が肌の皮脂量と同じで、女性は男性よりも少ないのです」
目の健康寿命を増やすには?
「目の見え方を自分で定期的に確認して、目をいたわるケアを行って。気になる症状があれば受診するようにしましょう」
こんな症状はありませんか? 症状から考えられる目の病気
見え方
□視野の中心が黒っぽい……加齢黄斑変性
□格子状のものがゆがんで見える……加齢黄斑変性
□格子状のものが欠けて見える……緑内障
□人とぶつかりやすい……緑内障
□視野が欠けて見える(見えにくい箇所がある)……緑内障
□かすんで見える……白内障
□光がまぶしい……ドライアイ、白内障
□視力の低下……緑内障、白内障、加齢黄斑変性、ドライアイすべて関連している可能性あり
目の症状
□目が乾く……眼精疲労
□目が重く感じる、ごろごろする……目の乾燥
□虫や糸くずなどが浮かんで見える……飛蚊症(ひぶんしょう)
□充血……目の乾燥や傷
□疲れる……眼精疲労
□かゆみ……ドライアイ
□目の奥が痛い……緑内障
60代以降で特に多い目の病気は……緑内障·白内障·加齢黄斑変性・ドライアイ
あなたは大丈夫? いますぐセルフチェック!
目の状態に関心を持ち、目の異常を早めに見つける
「緑内障や白内障など60代がかかりやすい目の病気の多くは、末期になるまで自分ではなかなか気がつきにくいもの」と平松先生。
日常では感じにくいほどゆるやかに症状が進行していき、自覚したときには手遅れになっている場合もあるそう。
「目の異常に早い段階で気がつくには、自分の目はいまどんな状態なのか関心を持つことが大切です。自宅に飾ってあるカレンダーで視野の広さを確認したり、アムスラーチャートでゆがみなどを確認する習慣をつけて。毎日同じものを見ると、症状の変化に気がつきやすくなります」
また、病院での定期的な視力検査や眼圧検査に加え、年に1回、目の血管を観察する眼底カメラの検査を受けると、早期に病気が見つかりやすくなります。
片目ずつ隠して見え方を確認する方法
数字中心のカレンダーを壁にかけ、片目(左右順に)でまっすぐ月の真ん中の週の水曜日あたりに視線を合わせる。認識できる範囲を確認し、見え方が昨日と同じか、毎日チェックする。
アムスラーチャートでチェックする
上のシートを目から30cm離し、片方の目で中心の●を見る。もう片方の目も同じように行い、欠けて見えたり、ゆがんで見えたり、違和感があった場合は、網膜に異常のある可能性がある。
→いつもと違う見え方や異変を感じたら病院へ行きましょう
眼の病気ではなく、別の病気だったという場合もある!?
脳にまつわる病気かも! 早めに検査を受けて
目の病気だと思っていたら、じつは生命に関わる脳の病気だったという場合が。
「眼球は脳とつながっているため、脳神経系の病気と深い関わりがあります。例えば、視野が欠ける代表的な病気は緑内障ですが、脳出血や脳梗塞、脳腫瘍の可能性も。目が見えにくいと思っていたら、ガンの変異だったということも考えられるのです」と平松先生。
目に違和感があったら放っておかず、早めに受診をすること。
「生活するうえで、目の健康は大事だとわかっていても、ちょっとした症状なら大丈夫だと思い込んでしまう方がほとんど。“こんなことで眼科に行って迷惑じゃない?”と考える方も多いのですが、手遅れになる前に、検査を受けるようにしましょう」
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教えてくれたのは……二本松眼科病院副院長 平松 類先生
【PROFILE】
眼科専門医。登録者11万人以上のYouTubeチャンネル「眼科医平松類」を運営、目の健康と病について丁寧に解説。著書累計50万部以上。
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取材・文/佐久間千絵
イラスト/北野 有
(素敵なあの人 2022年8月号)
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WEB編集/FASHION BOX