(2019年12月25日更新)
自分の尿や泌尿器について、正しく理解していますか? 1日に何度も自分の尿を見ているのに実は意外と知らないことが多いのではないでしょうか。これをきっかけにぜひ目を向けてみてください。
《目次》
教えてくれたのはこの方
楠山 弘之(くすやま・ひろゆき)
【Profile】
永弘クリニック院長
日本泌尿器科学会認定専門医・医学博士
1954年生まれ。東京都立駒場高校、埼玉医科大学卒業。癌研究会付属病院医員、埼玉医科大学泌尿器科講師を経て、永弘クリニックを開院。泌尿器科開業医として、多くの尿もれ・尿失禁・頻尿患者の治療に当たっている。近著に『尿トラブルは自宅で治せる 尿もれ・尿失禁の改善法』(東洋経済新報社)、『女性のおしっこ問題を解決する本』(同文書院)。監修に 『頻尿・尿もれがスッキリ!なくなる本』(宝島社)がある。
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膀胱の構造
膀胱は下腹部の中央にあり、伸縮性のある筋組織でできた臓器です。
風船のように膨らみ、腎臓で作った尿をためておきます。
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健康な人の尿の状態
におい:かすかににおう程度
排尿直後は無臭。時間が経過するとばい菌が繁殖し、アンモニア臭を伴う。
色:淡黄色~淡黄褐色
起床直後、水分摂取量が少ないとき、大量に汗をかいたあとは、色が濃くなる。
状態:沈殿物や泡立ちがない
白くにごっていたり、せっけん水が混じったような泡立ちがある場合は異常が疑われる。
排尿回数:1日5~7回程度
摂取した水分や汗の有無により変化。通常なら就寝中に排尿で起きることはない。
1日の総量:800〜2000mL
3000mL以上の多尿や、700mL以下の場合は専門医に相談したほうがいい。
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尿は健康情報の宝庫 サインを見逃さないで
おそらく自分の尿を見たことがないという人は、ほとんどいないでしょう。しかし、毎日何度も見るにもかかわらず、自分の尿が健康なのかどうかまではあまり気にしてこなかったという人も多いと思います。病院へ行くと、検査のために尿をとることがありますが、尿を調べることで、体の中で起きているさまざまなことがわかります。
特に、腎臓と膀胱など泌尿器の状態を直接知るための重要な資料となります。健康情報の宝庫といっても過言ではないでしょう。上に健康な人の尿の状態を挙げました。次にトイレに行ったら、ぜひ自分の尿と比べてみてください。
尿は排泄物なので、「汚い」と思っている人がほとんどでしょう。実は、細菌学的にはとてもきれいなもの。そもそも、尿の元をたどると血液です。血液は体じゅうに栄養を運びながら、同時に細胞が使った栄養の残りカスを腎臓まで運びます。そこで濾過され、尿となるわけですから、ばい菌が混ざっているほうが問題です。膀胱炎になると尿からアンモニア臭がしますし、糖尿病の場合は甘いにおいがします。もし、自分の尿から変なにおいがするときは、何かの病気が疑われる場合があります。尿からのサインを見逃さないようにするだけで、病気を早期発見することもできるのです。
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(参考)
TJ MOOK『自分で治す過活動膀胱の本』
https://store.tkj.jp/shopdetail/000000010088/
監修/楠山弘之
※ 画像・文章の無断転載はご遠慮ください
構成・文/大橋美貴子
デザイン・イラスト/ササキサキコ
編集/入江弘子
(TJ MOOK『自分で治す過活動膀胱の本』)
編集/FASHION BOX