芸能人に多い「年の差婚」。データで見てみると、年の差婚においては、再婚男性が強いという興味深い事実が浮かび上がってきました。
教えてくれたのはこの方
天野馨南子(あまの・かなこ)
株式会社ニッセイ基礎研究所生活研究部准主任研究員。東京大学経済学部卒。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。1995年、日本生命保険相互会社入社。99年から同社シンクタンクに出向。専門分野は少子化対策・少子化に関する社会の諸問題。厚生労働省育児休業法関連調査等を経て結婚・出産。1児の母。不妊治療・長期の介護も経験。学際的な研究をモットーとし、くらしに必要な「正確な知識」を広めるための執筆・講演活動の傍ら、内閣府少子化対策関連有識者委員、地方自治体・法人会等の少子化対策・結婚支援データ活用アドバイザー等を務める。
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年の差婚で“圧勝”の再婚男性
年齢の離れた異性と結婚する「年の差婚」は、初婚カップルでは1割だけにとどまっています。実は、年の差婚を達成する男性には、ある統計的な特徴があります。
興味深いことに、婚姻分析を行なった結果、年の差婚においては再婚男性がきわめて有利である、という結果が示されたのです。年の差婚市場に絞って見てみると、再婚男性が初婚男性に対し、圧倒的な差を見せているのです。
初婚男性が7歳以上年下の初婚女性と結婚している割合はかなりのレアケースで、11%となっています。しかし、これが再婚男性となると、7歳以上年下の初婚女性との結婚が44%を占めています。再婚男性が初婚女性と結婚するケースでは、5組に2組以上が7歳以上年の離れた若い女性との結婚、ということになるのです。再婚男性がいかに年の差婚に“強いか”がわかります。
夫婦の平均年齢差も、初婚同士の男女では1.7歳であるのに対して、再婚男性と初婚女性の結婚では6.6歳にもなります。
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実はこの再婚男性の年の差婚獲得への動きが、日本における男性の生涯未婚率の女性に比した高さ(50歳時点で女性未婚者の約1.6倍の人数の男性未婚者)を生み出しています。
本来であれば、自然の摂理で1年間にほぼ同数の男女が生まれてきます。ですので、男女1人ずつがセットとなってカップルを形成する結婚を考えると、生涯を通して男女間で未婚率の差は出ないのではないか、ということになります。ところが、実際は男性の結婚経験者が女性よりもかなり少ない、という状況が発生しています。
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男性未婚率を上げる「タイムラグ式一夫多妻制」とは?
日本において、1人の男性が複数の初婚女性と結婚する国と同じような結果を生み出す鍵を握るのが「再婚」なのです。日本では、法的に同時に複数の妻を持つことはできませんが、時間をずらして、1人の男性が初婚女性と複数回結婚することはできます。私はこのような結婚で男女の未婚格差が生じるケースを「タイムラグ式一夫多妻制」と呼んでいます。
「タイムラグ式一夫多妻制」の仕組み
ある男女が結婚したとします。この段階では男性の未婚者が1人減り、女性の未婚者も1人減るため未婚割合はイーブン(同等)です。しかしそのあと、このカップルが離婚し、男性が初婚の女性と再婚すると、女性の未婚者は1人減りますが、男性が再婚である場合、男性の未婚者数が減ることはありません。「未婚者」とは「婚歴が一度もない人」のことを指すからです。生涯未婚率で見ると、再婚男性と初婚女性の結婚が発生するたびに、男性の未婚者数はそのままに、女性の未婚者数だけが減少し、未婚格差が広がっていくことになります。
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独身を楽しんでるけど周りがうるさい……結婚って本当にしたほうがいいの?
未婚男性が「俺はまだ若いから」と、のんびりと構えている間に、自分より7歳以上年上の結婚経験のある男性が、自分と同年代の若い女性との結婚を果たしていくという図式が浮かび上がります。この影響で、20代後半から男女の未婚割合の格差が明確に開いてくるのです。
再婚男性による「若い女性の獲得」が活発化すればするほど、男性の生涯未婚化は女性に対して大きく進展していくことになります。
(抜粋)
宝島社新書『データで読み解く「生涯独身」社会』
https://tkj.jp/book/?cd=TD292537
著者:天野 馨南子
編集/FASHION BOX
(宝島社新書『データで読み解く「生涯独身」社会』)
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