(2020年5月26日 更新)
「貧乏ゆすり」は悪いマナーとして捉えられる行為のひとつ。でも、驚くことに健康面においては、からだに血液を行きわたらせる働きがあります。板倉弘重先生が「貧乏ゆすり」が体に与える影響について教えてくださいました。
≪目次≫
教えてくれたのはこの方
板倉弘重(いたくらひろしげ)
医学博士。芝浦スリーワンクリニック名誉院長、品川イーストワンメディカルクリニック院長。東京大学医学部卒業。同大学第三内科講師、国立健康・栄養研究所臨床栄養研究部長を経て、現職。赤ワインなどに含まれるポリフェノールの抗酸化作用を世界で最初に発見。著書に『大丈夫! 何とかなります 血糖値は下げられる』(主婦の友社)『スボラでも血圧は下げられる!』(宝島社)など
【オススメ記事】
鬱や認知症リスクも! 無視できない“腸の健康”のセルフチェック法
炭水化物に含まれる糖質を摂取すると、体内でブドウ糖になり、インスリンというホルモンによって全身の細胞に取り込まれます。この働きによって血糖値は下がり、健康な状態になります。これが糖尿病を患うとインスリンの分泌が悪くなり、血糖値が下がりにくくなって、高血糖状態が続くことになるのです。
高血糖が続くと、血液がドロドロになって血流が悪くなります。それによって血管が詰まりやすくなるため、さまざまな合併症を引き起こす要因になります。動脈硬化の原因にもなるため、心筋梗塞や脳梗塞などの病気を発症する恐れもあります。
高血糖を予防する方法のひとつに、血流をよくすることが挙げられます。そこでおすすめなのが貧乏ゆすりです。
貧乏ゆすりが足の血流アップ・血圧安定に効果的
ストレスを解消できる
ずっと同じ体勢でいると、ストレスがたまります。ストレスは血糖値を上げる要因になり得るので、貧乏ゆすりをして予防しましょう。
血糖値と高血圧が安定
小刻みに揺れて大きな筋肉が刺激されるので、血液の循環がよくなり、血糖値の上昇を防いだり、血圧が安定したりします。
股関節の痛みがよくなる
股関節の痛みはクッションの役割の軟骨がすり減ることで起こります。貧乏ゆすりは細かい振動で繊維軟骨を作るため、痛みが軽減します。
ふくらはぎの血流改善
足を小刻みに上下に動かすので、ふくらはぎの筋肉を刺激し、血流をよくする効果があります。むくみの改善にもなります。
太ももには大腿四頭筋という体の中で大きな面積を占める筋肉があるため、貧乏ゆすりで動かして刺激すると全身に血液が行きわたります。イギリスでは貧乏ゆすりをよくしている人ほど死亡リスクが4割低くなるという研究結果も出ています。
【オススメ記事】
おしっこは汚くない! 健康な尿の見分け方を専門医が伝授
こんなときは貧乏ゆすりがおすすめ!
長時間座ったままのとき
飛行機や新幹線などで長時間座ったままでいるのは、エコノミークラス症候群を招いて危険。貧乏ゆすりをして足を動かし、血流を促します。
長時間のデスクワークのとき
デスクワークは長時間同じ体勢をとりがちです。こまめに椅子から立ち上がって歩き回ることが大切ですが、それもできないほど忙しいときなどは貧乏ゆすりをして血流改善します。疲労回復にもつながります。
【オススメ記事】
自宅で簡単! 女医がすすめる遺伝子検査キットとは?
渋滞にはまったとき
年末年始やゴールデンウィークなどの連休中は特に渋滞にはまりがち。サービスエリアまで距離があったら、積極的に貧乏ゆすりをして足を動かし、血流改善に努めます。渋滞によるイライラの解消にもなるでしょう。
【オススメ記事】
肉や乳製品も食べて良し! 医師の“糖質ちょいオフ”ダイエット
貧乏ゆすりは「エコノミークラス症候群」の予防にもなります。エコノミークラス症候群は長時間同じ体勢で座っていることで血流が悪くなることで起こります。血流が悪くなってできた血栓が立ち上がって血流がよくなった途端に、肺の血管に達して詰まり、突然死を引き起こすのです。できるだけ長時間座り続けないようにすることが大切ですが、できないときは貧乏ゆすりをすれば、血流が改善され血糖値の上昇を予防することが可能になります。
(抜粋)
TJ MOOK『ズボラでも運動不足を解消できる本』
https://tkj.jp/book/?cd=TD296146
監修:飯田 潔、板倉弘重、工藤孝文、木野村朱美、渡辺淳也
編集・ライティング/矢作美和、古里文香、茂木理佳、川上 萌、千葉琴莉、相澤美沙音(バブーン)
イラスト/藤井昌子
編集/FASHION BOX
(TJ MOOK『ズボラでも運動不足を解消できる本』)
※ 画像・文章の無断転載はご遠慮ください