(2020年1月20日 更新)
足のむくみの背景にあるのは、代謝や血行の悪さ。お風呂は、筋肉を温めて緊張をほぐし、血流を促します。また、リラックス効果も同時に得られます。熱すぎるお風呂は交感神経を優位にしてしまうので、お湯の温度は38~40℃くらいが適切。好きな音楽をかけたり、香りのいい入浴剤を入れたりして、リラックスしましょう。
本記事では、入浴の効果と、むくみを改善する入浴方法をご紹介します。
≪目次≫
教えてくれたのはこの方
静岡静脈瘤クリニック院長
佐野成一(さの・なりかず)先生
【Profile】
2003年、聖マリアンナ医科大学医学部卒業。2005年に東京慈恵会医科大学病院形成外科に入局し、2009年から岡山大学病院形成外科・リンパ浮腫治療班に加わる。2013年には東京医科歯科大学血管外科にてリンパ浮腫専門外来開設に尽力。2016年、地元である静岡に静岡静脈瘤クリニックを開業、リンパ浮腫と静脈瘤の専門医として治療に当たる。東京医科歯科大学血管外科・非常勤講師、リンパ浮腫療法士、日本医療リンパドレナージ協会認定セラピスト。監修書に『自分で治す下肢静脈瘤の本』 (宝島社) がある。
入浴の3つの効果
1. 温熱作用
お風呂に入って体が温まると、毛細血管が広がり、血流がよくなります。これを温熱作用といいます。体が温まることでコリがほぐれて疲れがとれるだけではなく、内臓の働きもよくなります。腎臓の機能が高まり、利尿作用が得られることも。温かい食事や湯たんぽなどでも体を温めることはできますが、お風呂は全身の血液が温まりながら循環するので、効果が高いのです。
2. 浮力作用
プールや海に入ると体が浮くのが浮力の作用です。自宅の小さな湯船に浸かっているときでも、もちろん浮力は働きます。浮力によって体重が軽くなると、筋肉や関節が緊張から解放されて、体の負担が軽くなり、気持ちもリラックス。体をねじったり、足を動かしたりする運動も軽くできるようになるので、簡単なエクササイズをするのもいいでしょう。動きすぎて、脱水症状にならないように。
3. 水圧作用
お風呂に首までたっぷり浸かると、約560㎏もの水圧が体にかかるといわれています。ウエストはなんとサイズが3~6㎝ほどもダウン。水圧は、マッサージなどと違いあらゆる角度からかかるので、足にたまった血液を効率よく心臓に押し流してくれます。また、お湯に入ると、思わず「ぷは~」と息を吐きたくなるのは、水圧で横隔膜が押し上げられるから。これも血流に効果があります。
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お風呂はこんな入り方がおすすめ
【むくみ対策】シャワーの水圧でマッサージ
体を洗うついでに、下半身をマッサージ。少し水圧を強めにして、ふくらはぎを下から上へ、ひざ裏、太もも、そけい部とシャワーを当てていきます。手を使わずに、手軽にリンパマッサージできるので、体を洗ったあとの習慣にするといいでしょう。
【むくみ対策】入浴中にマッサージ
水圧で血流がよくなっている入浴中は、マッサージによいタイミング。リンパマッサージでもいいですが、筋肉の硬くなっているところをもみほぐしたり、手首や足の指を回したりするのもいいでしょう。普段はマッサージしにくい太ももの裏なども、ほぐしやすくなります。
【むくみ対策】足はお湯で流すだけ
末端の血流が悪くなっている体は、足先まで十分栄養が行きわたらず、乾燥しがちです。せっけんを使ったり、タオルでこすったりしないでください。皮膚のバリアがなくなり、粉をふいたり、かゆくなります。
【むくみ対策】適度に水分補給を
お風呂に入っている間は、100~800mLほどの水分が体から奪われていきます。それをそのままにしてしまうと、血液の粘度が高まって血流が悪くなる原因に。入浴後に水を飲む人は多いですが、入浴前にもコップ1杯の水を飲んでおくとよいでしょう。
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(抜粋)
TJ MOOK『足のボコボコ血管・クモの巣状血管がすっきり! よくわかる下肢静脈瘤の本』
https://tkj.jp/book/?cd=TD295774
監修:佐野成一
編集:入江弘子
構成・文:田中絵真、前原雅子
イラスト:小野寺美恵
撮影:赤石 仁
WEB編集:FASHION BOX
(TJ MOOK『足のボコボコ血管・クモの巣状血管がすっきり! よくわかる下肢静脈瘤の本』)
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