過敏性腸症候群などお腹の不調を改善する食事・寝る前の習慣とは? 納豆やヨーグルトはお腹に良くない?

《2020年5月8日更新》

お腹を下しやすいのに便秘になる、お腹が張る、トイレに行ってもスッキリしない。お腹の不調を改善するために納豆やヨーグルトなど、お腹にいいものを食べてみても、かえってそれが逆効果だったり……。もしかしたらそれは“過敏性腸症候群”かもしれません。

また、加齢やストレスで腸が弱っていると、生活の質(QOL)がダウンして疲れを感じやすくなります。原因不明のお腹の不調がある人も多いのではないでしょうか。

当記事では、気になる過敏性腸症候群について、そして、眠る前にできるお腹のための生活習慣について、1日200人の胃腸を診る名医・江田 証先生に教えてもらいました。日本人の10人に1人以上、実に1800万人が悩んでいるといわれる「過敏性腸症候群」。下痢や便秘、お腹の張りなどの不調を改善するための“目からウロコの食事法”や、「ストレス腸」を回復させる生活習慣を紹介します。

《目次》
下痢や便秘をくり返す、お腹が張る……1800万人が悩む過敏性腸症候群とは?
納豆、ヨーグルト、キムチ etc. “腸によい食事”は過敏性腸症候群を悪化させていた!?
小腸で吸収されにくい4つの糖質をやめれば過敏性腸症候群は改善する!
過敏性腸症候群の人が食べてOKな食品とNGな食品 その食べ方を紹介
過敏性腸症候群の人が食べてもOKな食品
過敏性腸症候群の人にはNGの食品
眠る前の“うっとりタイム”で快腸に◎ 今夜からできるお腹の不調ケア
「ストレス腸」を回復させる生活習慣〈夜編〉

下痢や便秘をくり返す、お腹が張る……
1800万人が悩む過敏性腸症候群とは?

下痢や便秘をくり返す、お腹が張る…… 1800万人が悩む過敏性腸症候群とは?
下痢や便秘をくり返す、お腹が張る…… 1800万人が悩む過敏性腸症候群とは?

以下の症状が3つ以上あてはまるという人は、「過敏性腸症候群」の疑いがあります。

過敏性腸症候群チェックシート

□頻繁に下痢をしたり、便秘をしたりする
□下痢と便秘をくり返す
□吐き気がある
□食欲がない
□お腹がいつも張ったような感じがする
□おならがたくさん出る
□排便しても残便感がある

日本人は世界的に見ても胃腸の調子が悪い人が多いといわれていますが、そんななかでも近年急増しているのが過敏性腸症候群。上に挙げたお腹の不調があっても、「そのうち治るから」「気のせい」としてそのままにしてしまっている人は多く、また、これらのお腹の不調があって病院で検査をしても異常が見つからず、「様子を見ましょう」で済まされてしまったことがある人もたくさんいるでしょう。そして、自己流で腸によいといわれる食物繊維や発酵食品を積極的に試している人も、かなりの数いることでしょう。

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納豆、ヨーグルト、キムチ etc.
“腸によい食事”は過敏性腸症候群を悪化させていた!?

実は、過敏性腸症候群の人にとって、この“腸によい食事”こそがお腹の不調を悪化させてしまっています。

過敏性腸症候群の症状は、ある特定の食品群が原因のひとつであることが近年の研究で明らかになりました。たとえば、食物繊維が豊富なごぼうやにら、発酵食品の納豆、ヨーグルト、キムチなどは、腸に異常がない人にとっては腸を整えるすばらしい食品ですが、過敏性腸症候群の人にとっては、腸の不調をさらに悪化させてしまう食品だったのです。

オーストラリアのモナッシュ大学で発見されたそれらの食品は「高FODMAP(フォドマップ)食品」と呼ばれ、FODMAPを避けた「低FODMAP食事法」は、アメリカのハーバード大学、イエール大学、コロンビア大学、ペンシルバニア大学などでも論文が発表され、いまや欧米の大学病院ではこの食事法が盛んに取り入れられており、“科学的な根拠がはっきりした、もっとも安全かつ有効性の高い食事法”として認識されています。

過敏性腸症候群の人にとって、“腸によい食事”こそがお腹の不調を悪化させている⁉

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小腸で吸収されにくい4つの糖質をやめれば
過敏性腸症候群は改善する!

FODMAPとは4つの糖質を表す言葉で、「F=発酵性の」「O=オリゴ糖」「D=二糖類」「M=単糖類」And「P=ポリオール」を指しています。これらの糖質は小腸で吸収されにくく、人によってはこれらの糖質を多く含む食品をとると、冒頭に挙げたお腹の不調が起こるというしくみです。

Oのオリゴ糖はパンや麺などの小麦食品と豆類、Dの二糖類は牛乳やヨーグルトなどの乳製品、Mの単糖類はフルーツやはちみつ、Pのポリオールはガムなどに含まれているキシリトールといった糖質など。過敏性腸症候群の人たちは、これらの吸収されにくい糖質を含む食品がお腹の不調を呼び込んでしまうため、これらの食品を断つことこそが過敏性腸症候群を改善する最善の策といえるのです。

小腸で吸収されにくい4つの糖質をやめれば過敏性腸症候群は改善する!
小腸で吸収されにくい4つの糖質をやめれば過敏性腸症候群は改善する!

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過敏性腸症候群の人が食べてOKな食品とNGな食品
その食べ方を紹介

実際に、過敏性腸症候群の人が食べてもOKな食品とNGな食品とはどのようなものなのでしょうか? それらの食品と食べ方をご紹介します。

過敏性腸症候群の人が食べてもOKな食品

穀物

・米、玄米  ・そば(そば粉100%の十割そば)  ・もち米、もち  ・せんべい(米菓子) など

野菜、いも、きのこ、豆

・ブロッコリー  ・ピーマン  ・にんじん  ・じゃがいも  ・もやし  ・大根  ・たけのこ  ・かぼちゃ  ・トマト  ・なす  ・レタス  ・キャベツ  ・きゅうり  ・ほうれん草  ・オクラ  ・白菜  ・ショウガ  ・豆乳  ・木綿豆腐 など

フルーツ

・バナナ  ・みかん、オレンジ  ・キウイフルーツ  ・いちご  ・ぶどう  ・パイナップル  ・ブルーベリー  ・レモン  ・マスクメロン など

乳製品

・バター  ・マーガリン(牛乳を含まないもの)  ・チェダーチーズ  ・ゴーダチーズ  ・パルメザンチーズ  ・モッツァレラチーズ  ・カマンベールチーズ  ・ゴルゴンゾーラチーズ など

肉、魚介、卵、ナッツ、スパイス

・ベーコン  ・ハム  ・牛肉  ・鶏肉  ・ラム肉  ・魚介類  ・卵  ・アーモンド(10粒以下)  ・くるみ  ・ピーナッツ  ・栗  ・バジル  ・唐辛子  ・カレー粉  ・シナモン など

飲みもの

・緑茶  ・紅茶  ・コーヒー(ストレートコーヒー1日1杯まで)  ・ココア  ・ビール  ・ウイスキー  ・ジン  ・ウォッカ  ・日本酒  ・水 など

調味料、その他

・マヨネーズ  ・オリーブオイル  ・メープルシロップ  ・しょうゆ  ・酢  ・トマトソース  ・マスタード  ・ウスターソース  ・味噌 など

過敏性腸症候群の人が食べてOKな食品とNGな食品、その食べ方を紹介
過敏性腸症候群の人が食べてOKな食品とNGな食品、その食べ方を紹介

過敏性腸症候群の人にはNGの食品

穀物

・パン  ・うどん  ・パスタ  ・ラーメン  ・ピザやお好み焼きなど小麦使用の食品  ・ケーキなどの焼き菓子全般 など

野菜、いも、きのこ、豆

・玉ねぎ  ・にんにく ・きのこ類  ・アスパラガス  ・スナップえんどう  ・カリフラワー  ・ごぼう  ・セロリ  ・さつまいも  ・ねぎ  ・にら  ・大豆、豆類全般  ・納豆  ・絹ごし豆腐 など

フルーツ

・りんご  ・柿  ・すいか  ・桃  ・梨  ・さくらんぼ  ・グレープフルーツ  ・アボカド  ・ドライフルーツ など

乳製品

・牛乳  ・ヨーグルト  ・クリームチーズ  ・カッテージチーズ  ・リコッタチーズ  ・プロセスチーズ  ・ブルーチーズ  ・アイスクリーム  ・生クリーム など

肉、魚介、卵、ナッツ、スパイス

・カシューナッツ  ・アーモンド(20粒以上)  ・ヘーゼルナッツ  ・ピスタチオ など

飲みもの

・アップルジュース  ・オレンジジュース  ・ウーロン茶  ・チャイ  ・ハーブティー(強いもの)  ・はちみつ入りジュース など

調味料、その他

・トマトケチャップ  ・はちみつ  ・固形スープの素  ・ガム  ・キャンディ など

上記は過敏性腸症候群の人が食べてOKの食品とNGの食品のリストです。
まずは、3週間、<過敏性腸症候群の人にはNGの食品>をすべてやめます。すると、お腹のさまざまな不調や不快感が消え、“お腹の声”がよく聞こえるようになります。
次の週からは1週間ごとにひとつの糖質を含むNG食品を食べ、自分のお腹の様子や排便の状態などをうかがいます。そうすることで、自分の腸にはどの食品がOKで、どの食品がNGかがよくわかるようになります。
最終的には自分だけの「OK食品リスト」がつくれるようになることを目指しましょう。

編集・文:植松まり
イラスト:石崎伸子

眠る前の“うっとりタイム”で快腸に◎ 今夜からできるお腹の不調ケア

過敏性腸症候群とは診断されていない人でも、加齢やストレスで腸が弱り、原因不明のお腹の不調に悩まされることも……。そんなときに備えて、眠る前にできる生活習慣を知っておきましょう。

大人世代に多いストレス腸とは?

大人世代に多いストレス腸は、食べたものを消化し、栄養を吸収する小腸の老化に原因があります。
「小腸で消化吸収しきれなかった栄養素が腸内に留まったり、大腸で異常発酵することで、腸内環境が悪くなります。また、更年期世代の女性の場合、お腹の痛みや張りを和らげるエストロゲンが減少することで、お腹の不調を感じやすくなることもあります」(江田先生)

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「ストレス腸」を回復させる生活習慣〈夜編〉

「ストレス腸」を回復させる生活習慣〈夜編〉
「ストレス腸」を回復させる生活習慣〈夜編〉

今日からでも気軽に始められる、ストレス腸回復のための生活習慣をご紹介しましょう。

夜食はとらない

夜遅くに食べると、睡眠中の腸の動きを妨げます。食事は寝る2時間前までに済ませて。

プチエッセイでストレスをラクに

その日にあった嫌なことを書き出してネガティブな感情を吐き出し、そのあとによかったことを書きます。ポジティブな気持ちで眠りにつくことで、腸のコンディションも整います。

音楽や香りは腸の疲れもとる

寝る前に好きな音楽を聴いたり、アロマの香りを楽しむ「うっとりタイム」をつくることで、ストレスが軽減されて腸にもよい影響が。

就寝時はスマホ・パソコン、照明を消す

スマホや照明の光は脳を覚醒させてしまいます。就寝時は部屋を暗くすることで、質のよい眠りに導くメラトニンの分泌がアップ。

全身の筋肉をゆるめる練習をする

全身にギュッと力を入れて10秒間緊張させ、一気に脱力します。布団の中で行う習慣をつけると、リラックスの感覚が身につきます。

(大人のおしゃれ手帖編集部)
illustration:Rieko Shimizu
text:Tamaki Saji

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教えてくれたのは……

江田 証(えだ あかし)先生

1971年、栃木県生まれ。医学博士。自治医科大学大学院医学研究科修了。江田クリニック院長。日本消化器病学会奨励賞受賞。日本消化器病学会専門医。日本消化器内視鏡学会専門医。日本ヘリコバクター学会認定ピロリ菌感染症認定医。米国消化器病学会国際会員。日本抗加齢医学会専門医。ピロリ菌感染胃粘膜において、胃がん発生に重要な役割を果たしているCDX2遺伝子が発現していることを世界ではじめて米国消化器病学会で発表し、英文誌の巻頭論文として掲載。毎日、国内外からの200人を超える患者の診療、胃カメラ、大腸カメラ検査を行い、原因を突き止めて胃腸の不調をなくしている。愛する故郷の人々をたくさん胃がんで失ったことから医師を志し、2017年現在、一人でも多くの胃腸で悩む日本人を救っていくことをミッションとする。海外でも翻訳された『医者が患者に教えない病気の真実』をはじめ、『病気が長引く人、回復がはやい人』『専門医が教えるお腹の弱い人の胃腸トラブル』(以上、幻冬舎)、『なぜ、胃が健康だと人生はうまくいくのか』(学研パブリッシング)、『長寿は感染する』(光文社)、『なぜ、胃が健康な人は病気にならないのか?』(PHP文庫)、『一流の男だけが持っている「強い胃腸」の作り方』(大和書房)、『パン・豆類・ヨーグルト・りんごを食べてはいけません  世界が認めたお腹の弱い人の食べ方・治し方』(さくら舎)など著書多数。

(抜粋)

TJ MOOK『自分で治す過敏性腸症候群の本』
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監修:江田 証
編集・文:植松まり
イラスト:石崎伸子

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web編集/FASHION BOX
※ 本記事は、『大人のおしゃれ手帖』、TJ MOOK『自分で治す過敏性腸症候群の本』に掲載された記事を再編集したものです
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