相続法が40年ぶりに改正!?要点を専門家に聞いてみた

「まだ親が元気だから……」と、つい先送りしたくなる相続の問題。ふだんはあまり意識していなくても、大人世代には間近に迫っています。悩みや疑問に思っていることに、相続実務士の曽根恵子さんが回答してくれました。やはり、早め早めの準備が吉です!

[相続トラブル]遺産分割でもめる財産はお金より○○!プロが解説

曽根さんと読者で座談会を開催

相続実務士 曽根恵子さん(以下、曽)

出典: FASHION BOX

相続コーディネート業務を扱う「夢相続」代表取締役。テレビ、雑誌の取材や講演で活躍。『90分でわかる!はじめての相続』(クロスメディア・パブリッシング)など、著書多数。

Yさん(50歳)(以下、Y)

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家族構成/夫、父(他界)、母(80代)、姉(50代)

実家にて、実母、夫と同居中。母は田畑や山林などを所有していて、その相続が心配。

Nさん(55歳)(以下、N)

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家族構成/夫、娘、父(他界)、母(80代)、実姉(50代)、実弟(50代)

父親が他界後、母親は遠方で一人暮らしをしている。きょうだいは3人で、財産は実家のみのはず。

Kさん(56歳)(以下、K)

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家族構成/夫、息子、父(80代)、母(80代)、実妹(50代)

両親は健在で、相続について準備を始めている様子。夫はひとりっ子で、両親が他界しており相続を経験済み。

こんな遺言書は効力なし !?専門家に聞く相続Q&A

これからの時代、遺言書はどんな家庭でも必須です

  みなさんの中で親御さんが相続の準備をしているという方はいらっしゃいますか?

K  実家の父は、遺言書(【1】)は用意してある、迷惑はかけない!と宣言しています。母が亡くなったら自分は老人ホームに入るなど、既に考えているみたいで……。

 それは良かったですね。ただ、遺言書の書式は細かい決まりがあるので、不備があると無効になってしまうので注意が必要です。今まで、自筆遺言書は自分で保管し、死後に偽造などがないか家庭裁判所の検認を受ける決まりだったのですが、制度の改正(【2】)で、法務局に保管してもらえることになり(2020年7月〜)、手続きが楽になりました。遺言書は、どんなご家庭でも必要なものと思って、準備することをおすすめします。

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N  相続関係の制度が改正されたのは、テレビで知りました。内容はあやふやですが…。

 簡単にいうと、遺言書の扱いのほか、夫が亡くなったあとも配偶者が一定期間自宅に住み続けられる権利ができたり、葬儀費用や入院費用を個人名義の口座から仮払いできる制度などが始まりました。

N 急に相続することになっても、困らなそうで良いですね。

 そうですね。今までは亡くなってしまうと遺産分割の協議が済むまでは口座が凍結されてしまっていたのですが、これで便利になりました。ただし、仮払いなので引き出せる額には限度があります。

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座談会で出てきたkey Word【1】 遺言書

遺言書は、書面で残したものに限り法的に認められます。ビデオ動画や音声データなどは無効です。書き直しは何度でもできますが、日付が新しいものが、有効となります。筆記用具は消せないものを使い、封の部分に遺言書で使用したものと同じ印鑑を押すといいでしょう。

「自筆遺言書」は証人不要で費用もかからず手軽ですが、遺言書が発見されなかったり、偽造や改ざんといったトラブルの可能性があります。2020年7月から法務局に預けられるようになるので、ぜひ利用を。

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座談会で出てきたkey Word【2】 相続制度改正

2018年7月、新しい相続制度が成立しました。以下はそのなかでも代表的な一部です。

配偶者居住権
今までは夫名義の不動産に長年住んでいた妻が、遺産分割で住む家を失ったり、自宅を相続できても、現金が少なくなって生活に困る可能性がありました。新しい制度は所有権がなくても、配偶者居住権が認められれば、家に住み続けることができ、現金も多く相続できるという内容に改正されました。(2020年7月より)

預貯金の仮払い制度
預金口座は名義人が亡くなると凍結されるので、施設代や葬儀代などの支払いに親族が困るケースが多発。これをうけ、相続人各自が、家庭裁判所の判断がなくても、金融機関ごとに150万円を上限として引き出して、支払いにあてることができるようになりました。(2019年7月より)

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■自筆遺言書方式の緩和
これまではすべて自筆の必要があった遺言書ですが、財産目録のワープロ書きや、預金口座のコピー、登記事項証明書の添付などが認められました(本文は手書きのまま)。作成の労力を省くことで作りやすくし、病気や体が不自由な人でも遺言書の作成をしやすくするための改正です。(2019年1月より)

■特別寄与制度
介護や家業の手伝いなどをした相続人は、多めに財産を請求できる制度があります。しかし、子の配偶者は貢献しても相続権はなしでした。これを改め、6親等内の血族と3親等内の姻族に限り「特別な寄与」として、相続人に費用を請求できるようになりました。ただし、請求額は相続人の合意により決めるようになります。

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photograph_Shoko Matsuhashi
illustration_Minae Kato
text_Ema Tanaka
web edit_FASHION BOX, Satoko Ishikawa[vivace]
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